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最終更新日 :2023.11.27
SE(システムエンジニア)はIT業界における代表的な職種です。とはいえ「具体的にどんな仕事をするのか」「プログラマーとは何が違うのか」など、SEについてよく知らない人もいるかもしれません。そこで本記事では、詳しい仕事内容からプログラマーとの違い、必要なスキルや将来のキャリアパス、転職を成功させるポイントまで、SEについて徹底解説します。
藤岡 広慧キャリアアドバイザー部 部長
【保有資格】米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー情報システムやソフトウェアを設計・開発する職種です。開発プロセスにおいて「上流工程」と呼ばれる領域を担当し、システムの全体像を考える要件定義や仕様書の作成などを行います。
SEには、自社のシステム構築や運用保守などを行う「社内SE」と呼ばれる働き方もあります。自社の業績アップや業務改善などの経営課題を解決するためにシステムを企画・立案したり、社員からシステムやPCに関する問い合わせがあれば対応したりするのが主な仕事です。システムの開発については、社内SEが担当する場合と外注する場合があります。運用や保守も行うため、システムを作れば終わりではなく、一つのサービスに企画から運用まで長く関われるのが社内SEの特徴です。
ソフトウェア開発においてどのようなシステムを作るのかを考えたり、プログラムの仕様書を作成したり、納期に合わせて進行管理などを行ったりと、主に企画・設計や顧客対応、プロジェクトマネジメントなどを担当するのがSEの仕事です。一方のプログラマーは、SEが作成した仕様書に基づいて、実際にプログラミングの作業を行います。このように、SEとプログラマーは担当する業務範囲が明確に分かれています。プログラマーとして下流工程の経験を積んだエンジニアの、次のキャリアパスがシステムエンジニアです。
プログラマーになるには?仕事内容やキャリアパス、必要なスキルなどを解説
システム開発の工程はいくつかのプロセスに分かれます。SEが担当する仕事内容は次の通りです。
クライアントの要望をヒアリングし、システムの全体像を考えます。顧客や関係者と打ち合わせを行い、「現在の課題は何か」「実現したいことは何か」などを把握した上で、クライアントが求める課題解決や目標達成を実現するために必要な要素を整理します。
要求分析・要件定義で整理した内容をもとに、システムの基本的な仕様や機能を決めます。操作方法や画面表示などのインターフェースを含め、クライアントやユーザーから見える部分を設計するのがこの段階です。
基本設計で決めた仕様や機能をシステムに実装するための具体的な設計を行い、プログラマーの作業に必要な仕様書を作成します。
SEが作成した仕様書に基づいてプログラマーがプログラムを作成します。SEはプログラマーへの指示出しや進捗管理など担当します。
プログラミングしたシステムが設計通りに動くかをテストし、不備やバグはないかを確認します。
開発したシステムのメンテナンスや障害対応など安定的に稼働させるための対応を行います。また、既存システムの変更点・改善点等を洗い出し、改修(保守開発)を行うこともあります。
以上の開発工程に加え、関係者との調整、納期に合わせた進行管理などもSEの仕事です。また案件によっては、SEが自分でプログラミングを行うケースもあります。
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、システムエンジニアの平均年収は約550万円です。国税庁が2023年9月に発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」によれば、国民の平均年収は約458万円(男性:約563万円、女性:約314万円)のため、システムエンジニアの平均年収は全体平均よりも約90万円も高いことが分かりました。
現在、IT業界は深刻な人材不足という課題を抱えています。そのため、優秀な人材確保のためにスキル次第では、年収1,000万円以上の高い年収を提示するといった企業もあります。ITエンジニアの年収について詳しく知りたい方は、下記の記事をチェックしてみてくださいね。
SEの仕事の最大のやりがいは、自分が携わったシステムを多くの人に使ってもらえることです。それによって人々の暮らしが便利になったり、困っていた問題が解決して、ユーザーから感謝されるのは何より嬉しい体験です。
特に一般消費者をユーザーとするtoCの場合、日本中の人が利用するような大規模サービスの開発に携われるチャンスもあります。また、法人や自治体をユーザーとするtoBの場合、公共インフラを安定的に稼働させたり、人々の生活になくてはならない民間サービスを支えるためのシステムに関わることも多く、「自分が作ったものが社会を安全で快適なものにしているのだ」という自負が持てます。
仕事のゴールが明確で、達成感を得やすいのもSEの仕事の魅力です。たとえ開発の工程で大変なことがあっても、新しいシステムが稼働した瞬間は「これまでの苦労が形になったのだ」と思えるので感慨もひとしおです。
現在はテクノロジーの進化が加速しているため、新しい技術に次々とチャレンジできるのがSEの面白さです。最新の情報や知識を吸収し、それを実際の仕事に活用して成果につなげることで、自分が日々成長している実感を得られます。
ITやデジタル技術が人々の生活や企業活動に不可欠となった今、SEは社会にとってなくてはならない存在です。技術力を磨けば、自分の市場価値をどんどん高められます。SEはキャリアパスも豊富なので、スキルや経験があれば将来の選択肢は大きく広がります。
基本設計の内容をプログラマー向けの仕様書に落とし込むため、自身もプログラミング技術を求められるのが一般的です。
システム開発はクライアントの業務課題の解決やビジネス上の目標達成のために行われるため、業務知識も必要です。なかでも生産・販売管理や会計、財務など、企業活動の柱となる基幹業務の知識を持つSEは重宝されます。
業界によってビジネスの仕組みや経営環境は大きく異なるため、クライアントを理解するには業界知識が求められます。特に金融や製造業など、クライアントとなる企業数が多い業界の知識が豊富なSEは、転職市場でも高く評価されます。
クライアントが求める品質・コストのシステムを納期までに完成できるように、プロジェクト全体をマネジメントするのもSEの大事な仕事です。クライアントの要望を実現するために社内調整を行ったり、スケジュール通りに開発が進むように進行管理したり、プログラマーに適切な指示を出して人を動かしたりする能力が必要となります。
SEが転職活動をするなら、企業の面接で評価されやすい資格や言語、スキル・経験があることを知っておくといいでしょう。まだ取得していない資格や身につけていないスキルがあれば、これらを意識的に学習したり、経験を積んだりすることで、転職活動を有利に進められます。
情報処理に関する国家資格です。システム開発と運用、ネットワーク、セキュリティなど技術に関する問題から、経営戦略やシステム戦略、プロジェクトマネジメントまで、出題範囲は多岐に渡ります。入社後3年以内の取得を促す会社もあります。
情報処理に関する国家資格です。一般的に、基本情報技術者試験の合格者が次に目指す試験として位置づけられています。基本情報技術者試験と同様、出題範囲は幅広く、より深い知識が問われます。試験は午前・午後に分けて行われ、午後の試験では論述式の問題が出題されます。
プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。この資格を取得することで、プロジェクトマネジメントの専門性があることが証明されます。
情報セキュリティ分野の国家資格であり、取得すれば高度な知識や技能が認定されます。2016年に創設され、それ以前に実施されていた「情報セキュリティスペシャリスト」の後継資格に位置づけられています。
シスコシステムズ、SAP、マイクロソフト、Amazon、オラクルなどの民間企業が実施する認定資格です。代表的なものに、シスコシステムズがネットワークエンジニアの技能を認定する「CCNA」、SAPが自社製品の知識や技術を認定する「SAP認定コンサルタント資格」、AmazonのクラウドサービスAWSの技術認定を行う「AWS認定資格」などがあります。
ITエンジニアにおすすめの資格について詳しく知りたい方は、下記の記事をチェックしてみてくださいね。
関連記事:ITエンジニアの転職に有利な資格は?職種別におすすめな資格も紹介
SEはプロジェクトマネジメントを担う立場なので、企業も技術力だけでなく、プロジェクトを管理した経験を求めるケースが増えています。特にQCD(品質・コスト・納期)管理や進捗管理、他部署との調整力が重視されます。またリーダーとしてメンバーを育成した経験があると、高く評価される傾向があります。
関連記事:プロジェクトリーダー(PL)とは?仕事内容や必要なスキルを解説
SEの仕事では、クライアントとの打ち合わせやヒアリング、納期やコストに関する調整などが欠かせません。相手の要望をただ聞くだけではなく、こちらからも技術的な提案や条件提示をしながら顧客折衝の経験を積んできた人なら、即戦力として評価されます。
自発的に業務改善に取り組んだ経験があるSEは、企業も高く評価します。新たな開発ツールの導入やレビュー方法の見直し、プロジェクトを円滑に進めるための積極的なアイデア出しなどを行ったなどの実績があれば、面接官も「より高い成果を追求し続ける人材」として評価します。
近年はUI・UXなどユーザー視点を意識したシステム構築が求められており、今後ますます需要が高まることは確実です。サービスやシステムを利用する人が何を求めているのか、現状では何が不足しているのか、どうやったらそれを解決できるのかなど、ユーザーの視点を持つことが必須です。
SEとして経験を積み、プロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)へキャリアアップしていくのが一般的なキャリアパスです。会社によっては、SEのまま専門性や技術力を追求し、スペシャリストを目指すキャリアパスも用意されています。
リーダーやマネジメントを目指す以外に、他の職種へ転換する道もあります。例えば、次のようなキャリアパスが考えられます。
関連記事:ITエンジニアのキャリアプランはどう設計する?キャリアパスの例とスキルアップ方法を紹介
関連記事:プロジェクトマネージャーになるには?向いている人の特徴や、転職がおすすめなケースを解説
書類や面接で経験をアピールするには、事前にキャリアの棚卸しをして、自分の言葉で的確に伝えられるように準備することが不可欠です。これまでの経験を振り返る際は、次の点を意識して情報を整理するといいでしょう。
選考を受けるときは、その会社の事業内容だけでなく、募集しているポジションの業務内容や求められる経験・スキルについて、事前にできるだけ詳しく調べる必要があります。この下調べをしなければ、「自分の経験の中でどれをアピールすればいいか」を把握できないからです。
例えば、運用業務をメインとする求人にも関わらず、募集ポジションで求められていない要件定義の経験をアピールしてしまうと、面接官は「この人物はミスマッチだ」と判断します。こうした事態を防ぐには、まず「企業が何を求めているのか」を理解することが欠かせません。
また、「入社後にその企業でどのようなキャリアパスを描けるのか」についても、しっかり調べることが必要です。面接では必ず「なぜ転職するのか」「入社後にどのようなキャリアを積みたいのか」を質問されます。その答えが応募企業では実現が難しいものであれば、やはり面接官は自社にミスマッチな人材と判断します。入社後に担当できる業務範囲や働き方などをよく調べた上で、応募企業に合った回答を準備することが大事です。
面接で志望動機を聞かれて、「上流工程の経験を積みたい」「社内SEになりたい」などと答える人は多いのですが、これらの目的を実現できる会社は他にもあるので、面接官からすると「それならうちの会社でなくてもいいのでは?」と感じてしまいます。
「どうしてもこの会社に入りたい」という意欲や熱意を伝えるには、志望動機をできるだけ具体的に伝えることが必要です。上流工程の経験を積みたいなら、「なぜ上流工程の経験を積みたいと考えているのか」「それを実現できる場として、なぜこの会社を選んだのか」を詳しく話せるように準備してください。またその会社の志望度が高いなら、「私は御社が第一志望です」とはっきり伝えると効果的です。
ITエンジニア面接での志望動機について詳しくは下記の記事をご覧ください。
コロナ禍の今はオンライン面接が主流です。初めてオンライン面接を受ける人は、事前に一度ZoomやGoogle Meetなどの企業側が指定したツールにつないで、画面の角度や映り方などをチェックしてください。
自宅にいるからといって、部屋でくつろぐときと同じ感覚で普段着のまま面接を受ける人がいますが、「社会人として身だしなみに問題がある」という理由で選考を通過できないケースも出ているので注意が必要です。オンラインであっても、面接はあくまでビジネスの場であり、身だしなみは第一印象を大きく左右します。対面と同様、スーツもしくはオフィスカジュアルなどの節度ある服装で臨みましょう。
Web面接のマナーについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
SEは社会のIT化を推進するために欠かせない大事な仕事です。企業からの採用ニーズも高く、技術力やプロジェクトマネジメント経験を高めれば、将来の選択肢も広がります。必要なスキルや面接で有利になる資格などを知り、しっかり準備をして転職活動に臨めば、SEとしてのキャリアが大きく拓けるでしょう。
エンジニア転職を成功させるポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事をチェックしてみてくださいね。
関連記事:ITエンジニア転職を成功させるには?よくある失敗ケースと、転職成功事例を解説
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