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最終更新日 :2024.04.16
サーバーエンジニアになるために必須となる資格は存在しません。しかし、転職や商談、社内での年収交渉時に有利になるうえ、業務に関する知識を深められるため、資格の取得を考えている人もいるでしょう。
この記事では、サーバーエンジニアのスキルアップに役立つおすすめの資格を6種類ご紹介します。あわせて、資格を取得するメリットや、効率的な勉強方法、活用法と年収アップのコツもまとめました。
内山 駿介キャリアアドバイザー部 課長
新卒でキャリアデザインセンターに入社し、type転職エージェントの営業職(企業担当)として従事。数年間にわたり一貫してIT・Web業界を担当。業界トップクラスのSierや独自の自社サービスを展開する上場企業、急成長中のwebベンチャー企業などを幅広く支援。その後、キャリアアドバイザーへ転身。現在は企業担当時代の知見を活かし、IT領域のキャリアアドバイザーとして従事している。 監修者プロフィールを詳しく見る >>資格を取得すると、その分野に関する一定水準以上の知識を保有していることの証明となります。その分野のスキルや技術を求めている企業へ転職する際に有利になるでしょう。
また、資格を取るために試験勉強をすると、知識を改めて学び直せる点も大きなメリットです。スキルアップはもちろんのこと、社内外でポテンシャルを高く評価される可能性があります。
取得する資格の種類によってメリットが異なるので「OS関連」と「ネットワーク関連」にわけてそれぞれ解説します。
OS関連の資格を取得していれば、サーバーの構築や運用するスキルの証明になります。実務経験が豊富であれば、OSを操作できるスキルが身に付いているので、資格は不要だといえますが、未経験者や実務経験が浅い人にとっては知識やスキルをアピールする武器となるでしょう。
資格の取得が「即戦力」という判定に直結するわけではありませんが、IT技術に対する学習意欲の高さは多くの企業の評価対象になります。また、資格手当や、資格取得時に「合格報奨金」が支給される企業もあるので、年収アップにつながるメリットもあります。
サーバーの構築や運用において関わりが深いネットワーク分野の資格を取得すると、業務の遂行がスムーズになる点が大きなメリットです。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは、連携を取りながらプロジェクトを進める場面も多くあります。その際に、ネットワーク関連の資格を有していれば、ネットワークエンジニアの業務に対する理解が深まり、コミュニケーションも円滑に進むでしょう。
「サーバーエンジニア+ネットワーク関連知識」など、プラスαのスキルや能力を身につけることで転職時に高い評価を得られることもメリットです。
サーバーに特化した国家資格は、現時点では存在しません。企業が自社製品に関する知識が一定水準以上であることを認定するベンダー資格のみとなっています。
サーバーエンジニアにおすすめの資格としては、「OS関連」と「ネットワーク関連」の2つに分類されます。併せて、マネジメントやコンサル関連の資格も紹介するので、年収アップを目指すエンジニアの方に必見です。自分のキャリアプランに必要となる資格の取得を目指しましょう。
サーバーエンジニアの仕事に役立つOS関連の資格を2つ紹介します。ただし、サーバーエンジニアが使うOSは、プロジェクトごとに異なるので、参画しているプロジェクトで扱われているOS資格の取得を目指すと良いでしょう。
LinuCは、Linux技術者としてのスキルを身につけるための資格です。LinuCは、レベル1、レベル2、レベル3、LinuCシステムアーキテクトの4段階に分かれています。
LinuCレベル2までは、エンジニアとしての実務経験があれば合格できるレベル感だといえますが、LinuCレベル3以降はOS・クラウド・セキュリティなども含まれ、合格ラインが一気に高くなります。LinuCは、現場で活躍しているハイレベルなITエンジニアによって出題範囲策定や試験開発が行われています。そのため、現場で本当に必要とされる知識や技術を習得できることが魅力だといえるでしょう。
出題範囲 | 101試験の出題範囲 102試験の出題範囲 |
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受験資格 | 実務経験や前提資格の保有条件なし※ |
試験時間 | 90分 |
合格率(%) | 非公開 |
目安勉強時間 | 1か月~3か月程度 |
出題数 | 約60問 |
出題形式 | コンピュータベーストテスト(CBT) |
受験費 | 16,500円(税込) |
受験資格 | レベル1を取得するには「101試験」と「102試験」の2試験に合格する必要あり |
受験場所 | 全国にある試験センター オンライン受験(OnVUE受験) |
開催時期 | 選択可能 |
実施機関 | 特定非営利活動法人LPI-Japan(エルピーアイジャパン) |
公式サイト | https://linuc.org/linuc1/ |
※上位資格を取得するためには下位レベルの試験認定を取得する必要あり
マイクロソフト認定資格プログラム(MCP)は、マイクロソフト製品に関する知識や技術をレベル別に認定する世界共通の資格です。
マイクロソフト社が提供するWindows Serverは国内のシェア率がもっとも高く、多くの企業で導入されているため、知識やスキルを高めることで社内外での評価アップにつながるでしょう。
マイクロソフト社は、「Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」「Power Platform」という4つの分野で認定資格を提供しています。なかでもサーバーエンジニアのキャリアアップにおすすめの資格は、「Azure Fundamentals」や「Azure Administrator Associate」です。
どちらもWindows Serverに特化した資格ではありませんが、クラウドサービス「Azure」に関連する問題も多く出題されるため、クラウドが主流化している現代では有利な資格と言えるでしょう。
【Azure Fundamentals】
出題範囲 | クラウドの概念 Azure のアーキテクチャとサービスについて Azure の管理とガバナンスについて |
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受験資格 | 特になし |
試験時間 | 45分 |
合格率(%) | 70% |
合格ライン | 700点以上 |
目安勉強時間 | 10〜20時間程度(目安) |
出題数 | 35問前後 |
出題形式 | 選択肢形式 ドロップダウンリスト形式 クリック形式 ドラッグ&ドロップ形式 |
受験費 | 社会人/一般の方:1科目 13,200円(税込) 学生(学割):1科目 7,700円(税込) |
受験場所 | テストセンターまたは自宅 |
開催時期 | 選択可能 |
実施機関 | Microsoft社 |
公式サイト | https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/exams/az-900/ |
出典:試験対策AZ-900 : Microsoft Azure Fundamentals
出典:Microsoft Certified: Azure Fundamentals (AZ-900)
ここ数年で急速に進んでいるネットワークのクラウド化により、自社サーバーを持たない企業も増えているため、ネットワークインフラについての知識も深めておくといいでしょう。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)とは、ネットワーク機器ベンダーである「Cisco」社が主催する世界共通基準のネットワークエンジニア向けの資格です。
シスコ製品の知識に加え、ネットワークの基礎知識も学習できるので、中小規模のネットワークの導入、構成、運用に必要な知識とスキルを学びたい人に向いています。
併せて、セキュリティや、自動化に関する基礎知識も幅広く学べる資格となっています。公式が提供している「シスコ公式トレーニング」を利用すると、講義やラボ演習にて学習をスムーズに進められるでしょう。
情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、情報処理技術者としての知識や技能が一定水準以上であることを経済産業省が認定する国家試験です。
情報処理技術者試験は、IT業界で認知度の高い資格であり、サーバーエンジニアに限らず、多くのエンジニアが取得しています。ひとくちに情報処理技術者試験といっても、「情報セキュリティマネジメント試験」「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」に加え、より難易度の高い「ITストラテジスト試験」「システムアーキテクト試験」なども開催されており、「情報処理技術者試験」はこれらの総称です。
ITに関する知識を体系的に身につけたいサーバーエンジニアの方には、基本情報技術者試験がおすすめです。ネットワークやデータベースの基礎知識に加え、ソフトウェアの開発技術やプロジェクトマネジメントまで幅広い分野が出題されます。
また、高度IT人材に必要な応用的知識とスキルを身につけたい方は「応用情報技術者試験」、セキュリティ分野の知識を高めたい方は「情報セキュリティマネジメント試験」がおすすめです。
出典:令和6年度 春期情報処理技術者試験情報処理安全確保支援士試験案内書
出典:基本情報技術者試験
サーバーエンジニアに特化した資格ではありませんが、エンジニアの経験を活かしたキャリアチェンジを目指す方におすすめの資格を紹介します。
ITの活用を通じて経営課題を解決し、従来のビジネスモデルの転換を行ったり、新しいシステムを構築したりすることがIT人材には求められています。そのため、IT関連スキルを身につけていることは前提として、経営課題に親身になって向き合ってくれる人材が優遇されるでしょう。
マネジメントやコンサル系の知識があれば、技術面の支援だけではなく、本来の目的である経営課題の根本的な解決を円滑化できるため、こうした知識やスキルも重要だといえます。ここでは、マネジメントスキルやコンサルティングスキルを高められるIT系資格を紹介します。
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する「情報処理技術者試験」の1つで、システム開発プロジェクトの最高責任者であるプロジェクトマネージャ向けの国家資格です。
情報処理技術者試験のなかでは、最高難度の「スキルレベル4」にあたり、合格率は12〜15%前後となっています。未経験者が合格ラインに達するのは比較的難しいので、段階を踏んで目指すと良いでしょう。プロジェクトマネジメントに必要なスキルを得ていることを証明できるので、取得できればキャリアの選択肢の幅が大きく広がるでしょう。
ITコーディネータ試験とは、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が主催する経済産業省推進資格です。経営とITの両面に精通した人材であることが証明できます。
経済産業省が策定したスキル体系「ITスキル標準(ITSS)」では、レベル4以上に該当し、高度なスキルを持つ人材に分類されます。ITコーディネータ協会の発表によると、合格率は60〜70%程度です。ITコーディネータ(ITC)は、企業存続や組織の成長に向けた変革構想立案からシステム導入、評価改善までを一貫してサポートできるIT経営とDXを実現するプロフェッショナル人材です。幅広い業務を遂行できるため、活躍の場が広がるでしょう。
出典:ITコーディネータ試験
ここでは、効率よく試験勉強を進められるおすすめの資格勉強方法を紹介します。資格取得にあてられる費用や、スケジュールにあわせて自分に合う資格勉強法を選択しましょう。
Webサイトでの学習は、低コストで必要な情報を効率的に学べるというメリットがあります。ベンダーが提供している公式の演習問題などを活用して勉強することもできます。
Webサイト上で文章問題を解いたり、動画視聴によるインプット学習をしたり、直接コードを入力するなど、さまざまなサービスが提供されているので、自分にあうものを見つけましょう。ただし、Webサイト上には信ぴょう性の低い情報が出回っている可能性もあるので、なるべく企業や公的機関、ベンダー企業などが提供しているサービスを利用してください。
サーバーエンジニア用の講座が開講されている専門スクールもあります。スクールで学習をすれば、カリキュラムに沿って効率的に学べる点が大きなメリットです。
また、講師のサポートを受けられるので、躓いたところをすぐに解決できたり、挫折しないようにメンタル面も支えてもらえたりといったメリットもあります。なかには独立支援を実施しているスクールもあり、案件の獲得方法やポートフォリオの作成方法、確定申告の手順まで、包括的に教えてもらえるので、とくにフリーランスとして活動したい人におすすめです。
ただし、専門スクールで学習する場合は、スクール側のスケジュールや方針に従う必要があり、ほかの学習方法よりも費用が高いという欠点があります。
書籍で独学する方法は、初心者向け・中級者向け・上級者向けというように、自分のスキルレベルに適した書籍を選択して、学習を進められます。サーバーエンジニアに必要な知識が体系的にまとめられているので、順序立てて学べる点もメリットです。
書籍によりますが、サーバーエンジニアに求められる運用管理やセキュリティ設計などの基本的な知識に加え、今後普及が加速化していくクラウドや仮想化にも対応できるようになっています。構成例や図解が多数用いられた書籍を活用すると良いでしょう。
サーバーエンジニアとしてのスキルを身につけるためには、実際に環境を使用し、実践的に手を動かすことが大切です。仮想マシンを利用すれば、自宅にいながらクラウド環境を構築できるので積極的に活用しましょう。なかでも、Miccrosoft社が提供しているAzure Virtual Machinesは、俊敏性とコストパフォーマンスに優れた仮想マシンであるため、多くのエンジニアが取り入れています。
ただし、仮想マシンソフトウェアについて理解を深めるのは簡単ではなく、ハードウェアの設定やネットワークの接続などの操作も必要になるため、覚えなければならない点が多いという欠点があります。設定や接続などの作業が完了すれば、比較的簡単に環境構築ができ、実践的な学習を繰り返し行えるので、技術力の向上にもつながるでしょう。
サーバーエンジニアのキャリアパスを把握することで、資格をどのように活かしていくのかが見えてくるため、キャリア形成を図りやすくなるでしょう。
サーバーエンジニアの一般的なキャリアパスとして、スペシャリストが挙げられます。スペシャリストは、おもに要件定義や設計などプロジェクトの上流工程を担う職種です。
プロジェクトを先導していく立場のスペシャリストは、サーバーシステムに関する高度な専門知識とスキルを駆使し、高い技術力でプロジェクトを成功へと導く役割を果たします。
従来の日本ではジェネラリストのように従業員に対して、幅広い経験やスキルの獲得を推奨していましたが、近年はスペシャリストの人材を求める傾向にあります。専門性の高く、優れたパフォーマンスを発揮できるスペシャリストの需要は今後も高まると言えるでしょう。
関連記事:ITスペシャリストとは?仕事内容や向いている人、必要な資格を解説
サーバーエンジニアのプロジェクトマネージャーは、インフラエンジニアのチームを束ねるマネジメント職です。ITインフラに関連する職種を総括し、プロジェクトの立案から予算管理などを行います。サーバーに関する知識やスキルはもちろんのこと、財務諸表の管理能力やマネジメントスキルなどを身につけると良いでしょう。
今後、DXの普及やAI、クラウド技術の進化を背景として、IT人材は推進力や高度な専門性が求められます。これらのスキルを持つプロジェクトマネージャーは市場価値が高く、多様な業界・業種での活躍が期待されるでしょう。
サーバーエンジニアが資格を取得すると、その分野に精通していることの証明になったり、ポテンシャルが評価されたりして年収が上がる可能性があります。企業によっては、資格手当を受けられる場合があるので、どのような資格を取得すると、どれくらいの年収アップが見込めるのか確認しておきましょう。
現職で資格を取得し、評価されて年収アップを図るのも1つの手段ですが、転職をして年収を上げた方が効率が良い場合もあります。ここ数年では、IT人材を求める企業が増加しているので、高年収かつ好待遇で雇用契約を結べる可能性があります。
転職エージェントを活用すれば、転職活動のサポートはもちろんのこと、労働条件の交渉を代行してくれるので、自分が希望する給与額で働ける可能性が高まるでしょう。
サーバーエンジニアに転身するために資格の取得が必須ではないため、「資格を取得してから転職すべきか」「転職してから資格を取得すべきか」といった二択に悩む人も多いかもしれません。転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談すれば、自分はどちらのプランの方が合っているのか、過去の経験やスキルの棚卸しをしながらプロの視点から客観的に分析してもらえる点もメリットです。
ここでは、サーバーエンジニアの資格に関連するよくある質問に対してQ&A形式で回答していきます。
Windows Serverに関するマイクロソフト認定資格の「Microsoft Certified Solutions Associate (MCSA)」「Microsoft Certified Solutions Developer(MCSD)」、「Microsoft Certified Solutions Expert (MCSE)」は、2021年1月31日に廃止されました。
サーバー管理者になる際に必須の資格はありません。ただし、サーバー管理者は、OSやネットワークに関連するスキルを証明できる資格を保有していると、キャリアアップに役立つでしょう。
OS系の資格としては「LinuC」や「MCP」、ネットワーク系の資格は「CCNA」や「CCNP Enterprise」などがおすすめです。
サーバーエンジニアは、特別な資格を有していなくても、働くことができる職種です。しかし、資格を取得することでスキルアップに繋がったり、IT技術に対する学習意欲の高さを評価されたりといったメリットがあります。
クラウド化やAIの台頭によって、今後サーバーエンジニアの働き方は変化していくことが想定されます。将来を見据えて、OSやネットワークなどの関連資格の取得や、マネジメントスキルの向上を図り、希少価値を高めて活躍できるフィールドを広げましょう。
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