転職1年目、なんでも相談室
転職後すぐに「辞めたい」と思ったときに読んでほしい「短期離職」のリアルなデメリット
新しい環境、新しい仕事、新しい人間関係……。転職後、思っていたより大変で「転職先を間違えた」と後悔することがあるかもしれません。すぐにでも辞めたい、そんな気持ちになってしまっても即断は禁物! 長期的なキャリアを考えると不利になりやすい「短期離職」にならないための対処法を解説します。
公開 : 2023/09/14 更新 : ----/--/--
新しい職場・仕事で活躍するには何が必要?
転職1年目、なんでも相談室
本連載では、転職後のさまざまな壁を乗り越えて、新しい職場で活躍するためのコツをアドバイス! 入社直前の不安な気持ちから、入社後の仕事・人間関係のトラブルまで、転職後1年目に起こりうる「あらゆるお悩み」を取り上げていきます。
転職してすぐだけど辞めたい。短期離職ってどうなの?
入社して3カ月になります。実務が始まって以降、「辞めたい……」という気持ちが日に日に高まっています。理由は、業務内容が難し過ぎてぜんぜん付いていけないためです。前職でも経験のある業務なのですが、スピードもクオリティも求められるレベルが段違いでした。上司に相談もできず、つらい状況です。この失敗を教訓に、次は実力に見合った会社に転職したいと考えているのですが、短い勤務期間で転職を繰り返していると思われるのはやはり不利でしょうか?
「短期離職は転職に不利」は事実
こんにちは、『転職そのあとLABO』のねも姉です。
新しい職場での難しい業務に適応するのは、本当に大変ですよね! 何回目の転職だろうと、何歳だろうと、それは誰にとっても挑戦的なことだと思います。何よりも、「思っていたよりできない自分」と向き合わされる精神的ダメージが大きいですよね……。
まずは、辞めたいほどつらいという感情を癒すのが大事。ぜひ、家族や友人などに話を聞いてもらいましょう。ただ、家族や友人からのアドバイスは「辞めた方がいい」「すぐに辞めてはいけない」と人それぞれになることが予想されます。
そこで、転職業界歴15年の私からは、ご相談にあった「次の転職に不利かどうか」について、なぜそう言われるのか詳しく解説していきたいと思います。
短期離職を企業がどう捉えるかというと……
実際のところ、「次の転職に不利」は事実と言えます。特に、再び同じ業界、もしくは近接する業界で会社員になるならなおさらでしょう。
その理由はご想像の通りかもしれませんが、企業があなたを評価するとき、「すぐ辞めてしまう」という行動が今回限りではないんじゃないかと不安に思うからです。
採用現場の言葉では、「安定性やコミットメントへの懸念」などと表現されます。具体的には、組織への適応力の弱さ、十分なスキルや知識を習得してきていない能力不足、コミュニケーション力不足などを想起させてしまうということ。分かりやすく一言でまとめると「ストレスや変化に弱すぎるんじゃ?」と思われるということです。
また、企業は人材を採用するのに、採用費や研修期間の給与などかなりのお金と時間を掛けています。すぐに離職されてしまうと、それらが全て無駄になってしまうので、「短期離職しそうな人」の採用には慎重にならざるを得ないのです……。
転職活動がどう難しくなるかというと……
次に、転職活動でどう不利になるのか具体的にご説明します。
会う前に応募書類で「短期離職した人」と認識される
1つ目は、「書類選考が通りにくくなる」ということ。
履歴書や職務経歴書は、企業が最初にあなたを知る材料です。しかし、応募書類には退職理由などを詳しく書く欄はありませんから、人事には、「短期離職した事実」だけが伝わります。
人事経験のある知人数人に聞いてみると、「他にも多数の応募者を選考している企業からしたら、『面接で詳しい理由を聞いてみよう』と思うほどの魅力がその書類上になければ、書類選考を通る可能性は低い」とのことでした。
もちろん職務経歴書の書き方を工夫することはできますが、書類選考を通ったとしても次に立ちはだかるのが「面接」です。
面接での質問が細かくなる
「面接での質問の厳しさ」がまさに2つ目の不利な点。人事は、短期離職が繰り返されないかを見極めるために、さまざまな質問を投げかけてきます。「なぜすぐに辞めたのか」はほぼ確実に質問されるでしょうが、他にはどんな質問をされるのかを先ほどの人事経験者たちに聞いてみました。
「具体的に何があったのか」
「その解決のために何かできることはあったか」
「具体的にどんな要求をされていたのか」
→どのレベルになったら無理と判断しているのかを自社の基準と照らし合わせる
このように、辞めるに至った状況を具体的に明らかにしていくことで、その離職の再現性を探るのだそう。
ご相談者さんの例で考えてみましょう。「入ってみたら仕事が難しかった」は、「会社から要求されるレベルが高かった」と言い換えられますが、その中身が「入社1年以内にトップになろう」なのか「1日1件はアポを取ろう」なのかを聞いてみないと、自社の要求レベルに耐えられる人材かどうか分からないということです。
人事目線では他にも、「入社前には気付けなかった」のか、それとも「そういう認識はなかったが、入社後に顕在化した」も質問したくなりそう、とのことでした。こ、細かい!
中には本当にブラックな環境に入ってしまい、泣く泣く短期離職してしまう場合も当然あるとは思います。しかし、例えば芸能人のスピード離婚のニュースを見たときに、「相手もどうかと思うけど本人にも問題はあったんだろうね」と思ったことはありませんか?
転職も同様に、企業に一方的に原因があるとは思われないものです。こうした先入観を払拭して、「次は大丈夫そう」と納得される回答が必要になるので、短期離職していない人の面接より難易度が高いと言われるのはそういう所以なのです。
転職の前に状況を改善する方法はある
ここまでの説明から、転職先がよほどひどい環境でない限り、短期離職する合理的な理由はほとんどないとお分かりいただけたのではないでしょうか。
「でも、転職しないとしたらどう現状を改善したらいいの?」と悩みますよね。ここからは、転職先で仕事についていけないときのおすすめアクションをいくつかご紹介します。ぜひ試してみてくださいね!
状況を整理する
まず、辞めたい気持ちが高まっている理由をしっかりと整理してみてください。業務の難しさだけでなく、通勤のストレスや人間関係など、他の要因も関与している可能性があります。具体的に感じている問題点を紙に書き出してみるのがおすすめです。
それから、業務の難しさについても分解してみましょう。ゆっくりやればできるが時間が足りないのか、覚えるべきことが覚えられてないのか、手順が複雑でミスが起きやすい仕組みなのか、など、「どこが難しいのか」「どう難しいのか」「なぜ難しいのか」を考えてみると冷静に解決策が思いつくかもしれません。
上司や先輩同僚にサポートを求める
採用してくれた期待を裏切ってしまう気がして言いにくいですよね……。しかし、明らかに自分の業務がまわっていない、難しさを感じている場合、すぐに上司や先輩に相談した方がよいです! 上司側から「できてないよね?」と指摘されるより、自分から言った方が圧倒的に印象が良いからです。
上記で整理した「難しさを感じている点」を伝え、サポートを求めることで、現状を打破したいというあなたの頑張りも伝わるのではないでしょうか。
学ぶ努力、成長への意識を持つ
経験のある業務でも、今の自分のスキルでは足りないと早い段階で気付けたと考えてみませんか? 新しい職場での学習は、最初は難しく感じるかもしれませんが、続けていけば着実に成長していけるものです。
どんな転職先に入ったとしても、順応や成長は求められます。上司や先輩のサポートを受けながら、「自分が成長するんだ!」という意識を忘れずに。
外部のサポートを活用
上司や先輩に相談できない場合でも、人事部や他部署の同僚、先輩にアドバイスを求められないか模索してみるのはいかがでしょう?
転職エージェントを利用して転職したのであれば、今の状況をキャリアアドバイザーに相談するのもありです。前述した通り、短期離職にはデメリットも多いので、「転職せずに改善するにはどうしたらいいか」「入社時の条件と違っていないか」など、第三者視点のアドバイスをもらうことができます。
転職するかどうかは「時間」ではなく「周期」で判断を
転職をする前にできることを説明してきましたが、それでも「転職した方がいいのでは」と迷う気持ちや、「全部試したけどやっぱり辞めたい」と思う人もいるかもしれませんよね。
そんなときは、「3カ月」などの「時間」を目安にするのではなく、仕事の「周期(サイクル)」を目安に判断するのがおすすめです。
例えば、営業職など売り上げ目標がある人なら、「月間目標」「四半期目標」「年間目標」といった目標のスパンがあると思います。その一番長いものを1つの周期として、「今期の結果が出るまではやってみる」と考えるのです。ITエンジニアだったら、「プロジェクトを1つやり切るまで」などもよいと思います。
「はじめから終わりまで=1周期」を経験してみると、仕事の全体像が見えてきて景色もかわるものです。
時間の経過はどんな職種でも同じですが、「周期」は職種によって結構違うので、自分にとって必要な時間を掛けて、冷静に判断してくださいね。
上司はあなたの成長をサポートするのが仕事
1つの周期が終わるタイミングは、上司からフィードバックを得られる機会でもあります。前述した通り、会社としては「短期離職されること」は大きな損失なので、あなたに活躍してもらうことを願っています。
つまり、うまくワークできてないなという部下がいたら、活躍するための支援をするのが上司の仕事なのです。もし、ぜんぜんサポートしてくれない上司だったとしても、「この上司ダメ=この会社ダメ」ではないですよね。別の上司や同僚が助けてくれるかもしれません。
ただし、そんなことを冷静に考えられないほど差し迫った状況にある場合は「すぐ辞める」で構わないと思います。人間の幸せはキャリアだけではありません。
ここまで読んでいただいて「まだやれることあるかも」と思った方は、ぜひ今の環境でどう課題を解決していくかを考えて、前向きに頑張っていきましょう!
ねも姉
転職情報誌の編集・ライティング、求人広告営業、新卒採用人事、転職サイトのマーケティングなど、さまざまな立場で人材業界にどっぷり浸かり15年超。転職者や人事、経営者など300人以上への取材などで得た知識や自身の転職経験を生かして、転職ノウハウや転職後の活躍応援コンテンツを発信中。最近は小一の息子の忘れ物癖が直らないのが悩み