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最終更新 : 2021.2.1
転職活動の面接において、必ずといっていいほど聞かれるのが「退職理由」です。面接官はなぜこの質問をするのか、どんな回答が良い印象を与えるのかなど、退職理由に関する疑問に答えます。
後藤和弥キャリアアドバイザー部 部長
総合人材サービス企業で人材紹介・派遣事業の運営、人事に従事。2004年よりtype転職エージェントへ。現在はキャリアアドバイザー部門の統括を務める。転職希望者が「会社を辞めたい」と思う理由は、どんなものが多いのでしょうか。アンケート調査による「退職理由ランキング」を見てみましょう。
※本アンケートは重複回答可。1人あたり平均2~3件の希望が含まれています。
今回の調査では、転職者の退職理由のうち、もっと多くの転職者が挙げた理由は「年収・待遇」となりました。「年功序列で昇進がない」「年収が上がらない・ボーナスが減った」などがこれに当たります。
2位は「業務内容」、3位は「キャリアチェンジ」と続いています。
「今よりも裁量のある仕事がしたい」「新しいことにチャレンジしたい」「違う職種・業界に転職したい」などの理由が続きます。
4位「労働時間・残業時間」、5位「コロナ関連」まで含めた5つの退職理由が、2020年の退職理由における大半を占めています。
この点を踏まえて、こうした退職理由をどのように伝えるべきなのか。次の項目よりご説明していきます。
ちなみに前職の会社を辞める際は、自分の上司にはどのように理由を伝えればいいでしょうか。
一番良くないのは、ある日いきなり「転職したいので、○月×日で辞めます」と一方的に伝えることです。これでは上司を怒らせても無理はありませんし、計画的な引き継ぎもできず、職場に多大な迷惑をかけることになります。
できれば、その前の段階で「今の仕事の内容が自分に合っていないように思えて悩んでいます」「自分の頑張りが会社から評価されていないと感じるのですが」といった相談を上司に持ちかけて、事前に相手にそれとなく退職を考えていることを伝えるとよいでしょう。
その上で「課長にアドバイスを頂いて、私なりに努力してみたのですが、やはり状況を変えるのはどうしても難しいとわかりましたので、転職を考えてみようかと思います」などと伝えるのが理想的です。
退職の意思を上司に伝えるときに必ず聞かれるのが「退職理由」です。事前に相手が納得するような退職理由を準備しておくことが大切です。上司が納得し引き止めが難しいと思わせることが重要です。よくある退職理由の伝え方を紹介します。
「突然で恐縮ですが、退職させていただきたいと考えております。今まで成長させてもらい大変感謝しております。3年間販売職として頑張ってきましたが、挑戦したかったエンジニアとして次の転職先が決まっており、〇月〇日入社となります。つきましては〇月〇日までに退職させていただきたく、業務の引継ぎを進めさせてください。」
上司に対してお礼と感謝の気持ちを伝えて、あくまでも自分がやりたいことを実現するために転職するという伝え方を心がけましょう。上司が納得し引き止めることが難しい転職理由は、やりたいことが現職ではどうしても実現できない場合です。職場環境の改善を理由としてあげると上司は引き止めやすく改善案を提案される可能性もあります。もしかしたら留まってくれるのではと期待させるような伝え方にならないように気を付けてください。
また、退職の意向を伝えるタイミングも重要です。「転職先から内定をもらった後」をお勧めします。内定が出ていない段階だと強く引き止められる可能性があります。
「このたび結婚をすることになり退職を決意いたしました。仕事を続けるつもりでしたが、配偶者の転勤も決まり家族で転居することになりました。」
親の介護や結婚・出産など家庭の都合で退職する場合は、上司からこの条件なら続けられるのでは、サポートをするなど引き止めをされる可能性があります。感謝の気持ちを伝えた上で、「続けたい気持ちはあるが、どうしても続けることができないこと」をはっきりと伝えましょう。
まずは直属の上司に退職の意思を伝えることは、円満に退職する秘訣の一つです。直属の上司が知る前に「同僚に先に伝えてしまい退職を考えているのが広まってしまった」「直属の上司を飛び越えて事業部門のトップや人事部門に伝えてしまった」など上司の顔をつぶすことになりかねません。きちんと手順を踏んで退職までのプロセスを進めていきましょう。
退職の基本は「立つ鳥跡を濁さず」。これまでお世話になった会社の悪口や不満を退職理由にすることは控えましょう。会社に残る上司や同僚はあまり良い気持ちはしません。あなたの印象が悪くなり余計なトラブルの火種になる可能性があります。引き止めがしにくい転職理由を準備しておき、お世話になったお礼とあわせて伝えるのが大切です。
面接のマニュアル本やネットのノウハウ記事では、「面接で退職理由を聞かれたら、ネガティブな回答をしてはいけない」とよく書かれています。
「給与が少ない」「残業時間が多い」といった理由だと、前の会社の悪口を言うことになり、面接官に「うちの会社に入っても、同じように悪口を言うのでは」とか「どんなこともネガティブに考える人なのだ」と思われてしまうというのがその理由です。
しかし実際、面接官は「退職理由はポジティブでなくてはいけない」などとは考えていません。むしろ、前向きな理由ばかり並べられると、「ネガティブな理由はないのに、なぜ今の会社を辞めなくてはいけないのか?」と疑問を感じます。
ネガティブではない退職理由を見つけ出そうと悩んだ末に、多くの人が行き着くのは「キャリアアップのため」という回答です。しかし、退職理由を知りたい面接官にとって、「この人はこちらの質問に答えていない」というマイナスの評価にしかなりません。
会社を退職するという大きな決断をするからには、前職の会社に何か受け入れがたいことがあり、「働く場所を変えなければ、その問題は解決しない」と判断するに至った理由が必ずあるはずです。
それが人間関係なのか、仕事の内容なのか、給与や昇給といった待遇なのかは人それぞれ異なりますが、いずれにしても何らかのメリットを得たいから前職の会社を辞めて転職するのであり、そんなことは面接官も最初から承知しています。
その本当の理由を隠そうとして、「前職も大変良い会社でしたが、キャリアアップのために退職を決意しました」と言われても、面接官にしてみれば「回答になっていない」と判断するしかありません。
一見ポジティブな言葉でごまかそうとするほうが、かえって「何か人に言えないような理由を隠しているのではないか」と思われてしまい、面接官に与える印象は悪くなるのです。
面接官が退職理由を質問する最大の狙いは、「この人は一緒に働く仲間として信用できるか」を判断することです。
「会社を辞める」という人生において重大な決断に関わることをごまかすようなら、ビジネスや仕事においても嘘をついたり、隠しごとをしたりするのではないかと思われても仕方ありません。
退職理由を聞かれるのは、たいていの場合、面接が始まってすぐの段階です。ここで面接官に悪い印象を与えてしまうと、その後の質疑応答で印象を覆すのは相当ハードルが高くなります。
「退職理由を聞かれるのは、話の前振り程度だろう」と考える人は多いのですが、実はここが合否のカギを握る山場になることも少なくありません。
まずは「退職理由はポジティブでなくてはいけない」という思い込みは捨てて、無理に前向きな理由を作り出そうとしないことを大前提としてください。
とはいえ、退職理由が「待遇が悪いから」「上司と気が合わないから」といった場合、そのまま伝えればいいわけではありません。当然ながら、面接での伝え方には工夫が必要です。
面接官の「退職理由は何ですか」という質問は、その裏にある本当の意図をわかりやすく言い換えると、「あなたが思い描くキャリアプランをなぜ前の会社では実現できないのか、その構造をわかりやすく説明してください」という意味だと理解してください。
会社を辞めたいと考えたきっかけが給与や人間関係だったとしても、それは表面的な理由でしかありません。その裏には、その問題や不満を生み出している構造的な原因が必ずあるはずです。
例えば、ある業界で働いている20代の若手社員が、「どんなに頑張っても昇進できないから、会社を辞めたい」と考えたとします。これだけを聞くと、「昇進させるほどの成果を上げていないからでは?」「まだ若いのだから、もう少し頑張るべきだろう」などと感じるかもしれません。
しかし、この人が昇進できない理由を探っていくと、実はその会社に「中間層に与えるポジションがない」という会社の組織構造に辿り着くことがあります。
例えば小売業界などでは、20代半ばで店長を任されるものの、その上のポジションであるエリアマネジャーになれるのは40代になってからで、その間の役職が用意されていないことも少なくありません。しかも店長は全国に数百人いるのに、エリアマネジャーはわずか10人程度ということもよくあります。
よって、この人が「これから10年以上も社内でステップアップできない上に、今より責任ある仕事を任せてもらえるチャンスもない。これでは将来のキャリアプランが描けないので、会社を辞めて転職したい」と考えたとしても、本人に非はありません。
ですからこの場合は、会社の構造的な問題をきちんと説明した上で、「前職の会社では若手に昇進のチャンスがないので、退職を決意しました」と伝えれば、面接官も「それなら退職を考えるのももっともだ」と納得します。
「昇進できない」という理由も、それを裏付ける客観的な事実があれば、ネガティブには受け取られないということです。
会社の組織構造について伝えることは、単なる事実の説明であって、その会社の悪口を言うことにはなりません。むしろ、退職を決意するに至った構造的な理由をわかりやすく説明できれば、面接官は「そこまで掘り下げて考えられる洞察力や論理的思考力があり、コミュニケーション力も高い人物だ」と評価します。
また、大事なことをごまかしたり、隠そうとしたりしない姿勢を見せることで、「率直で信頼できる人物だ」という印象も与えられます。つまり、説得力を持って退職理由を答えれば、強力な自己アピールになるのです。
退職を考えたきっかけを深く掘り下げていけば、必ず構造的な問題は見つかります。ですから、まずは「自分がなぜ会社を辞めたいと思ったのか」を紙に書き出して整理してみましょう。
それをさらに掘り下げるためには、前職の業界や会社の仕組みやルールがどうなっているのかを調べます。「給与が低い」「昇進できない」といった表面的な現象の裏には、必ずその結果を生み出している構造的な原因があるからです。
そこまで詳しく分析するのが難しいなら、同じ会社で働いていた上司や先輩などのロールモデルを見つけて、その人のキャリアを聞いてみるのもよいでしょう。「30歳の時は、どんなポジションでどんな仕事を任されていたか」「35歳の時はどのような待遇だったか」といったことを知れば、自分が直面している問題が将来解消される見込みがあるかどうかを客観的に判断できます。
そして見込みがないとわかれば、その事実を面接で伝えることで、説得力のある退職理由になります。
業務内容から年収、社風まで、退職理由は人によって様々です。では、それを面接で聞かれたらどう答えればいいのでしょうか。
【伝え方例】
前職の会社は年功序列で、30代後半になるまで課長になれません。私が所属していた法人営業部では、クライアントに対する主担当はすべて課長が一任し、私から見て非常に優秀な先輩社員でも、サブ担当として補佐的な業務しか任せてもらえませんでした。
しかし、同業他社で働く同世代の話を聞くと、すでに大きなクライアントをメインで任されている人が多いことがわかりました。ですから私も、成果を出せば若手にも責任ある仕事を任せてくれる会社で働きたいと考え、退職を決めました。
【掘り下げのポイント】
仕事を任せてもらえないのは、会社の仕組みや組織風土によるものなのか、それとも自分の実力やスキル不足によるものなのかを考えます。
身近なロールモデルを観察し、明らかに能力があって成果を出している社員でも、年齢や社歴を理由に補佐的な仕事しか与えられていないのであれば、それは会社の人事や評価の仕組みに構造的な問題があると判断できます。
あるいは、他社で働く同世代の人に話を聞いてみると、それが自社以外の会社に転職すれば解決する問題なのか、あるいはどこの会社に転職しても同じなのかも判断できます。
前職の業界ではマネジャーでも年収が400万円で、どんなに高い成果を出してもインセンティブはありませんでした。
その理由を私なりに調べたところ、この業界のビジネスモデルは利益率が低く、社員の給与水準を低くしないと会社が収益を出せない構造になっているとわかりました。
もちろん仕事をするのはお金のためだけではありませんし、接客という仕事そのものは大好きです。だからこそ、頑張って努力をすれば、その成果をきちんと認めてくれる業界で働きたいと考えましたでした。
【掘り下げのポイント】
個人の給与が上がらないだけなら、その人のスキルや実力不足という可能性もありますが、全社的な給与水準が低い場合、業界や組織に構造的な問題がある場合がほとんどです。
自分の会社のビジネスや事業がどのように利益を上げているのか、なぜその利益が社員の給与に回されないのかを調べてみると、給与が上がらない根本的な原因が見えてくるでしょう。
【伝え方例】
前職の会社では、月に100時間残業していました。
その理由は、『上司が会社に残っている間は、部下は退社してはいけない』という不文律があったからです。
しかし私は、短時間で最大のパフォーマンスを上げるために努力を続けてきました。ですから、私のような働き方を評価してくれる会社であれば、もっと組織のために貢献できると考えて、退職を決意しました
【掘り下げのポイント】
「残業を減らしたい」という理由はネガティブなものと考えられがちですが、前職でどれくらい残業していたかによって、面接官の受け止め方は異なります。
この回答例のように、月に100時間もの残業であれば、厚生労働省が定める時間外労働の基準をはるかに超えており、それを減らしたいと希望することをネガティブだと捉える面接官はいないはずです。
また、前職の会社で残業時間を減らすことが難しかったとしても、仕事の効率を上げる努力や工夫をしていたのであれば、その経験は高く評価されます。
ただラクをしたいから残業を減らしたいのではなく、「自分は生産性の高い仕事をするために転職するのだ」と示すことができれば、面接官に対するアピールになります。
退職考えたときにまず確認しておきたいのが、就業規則です。民法上は、会社に退職の申告をしてから、最短で2週間後には退職できるとしていますが、企業によって退職の〇ヶ月前に申し出る必要があるなど、社内規定がある場合があります。事前にいつまでに退職を伝える必要があるか確認しておきましょう。
一般的な退職までのスケジュールとしては、退職の意思を伝えたあとに「退職願」を提出し、退職が認められたあとに「退職届」を提出します。ただし、実際には円満退職の場合、「退職願=退職交渉」となり、退職願を提出せずに進むことが多いです。会社の規定によっても異なります。退職届は会社によって所定のフォーマットが用意されている場合も多いです。
詳細は「退職願・退職届の正しい書き方」をご覧ください。
次の転職先が決まっておらず退職する方は、健康保険の切り替えや失業保険の申請などの手続きを行います。失業保険は、勤務先を退職した人が再就職までの間に国から失業手当が給付される保険・仕組みのことです。申請に必要な書類を会社に用意してもらう必要があります。申請の方法や必要な書類などを事前に調べておきましょう。
詳細は「知らないと損。失業保険をもらう手続きと計算方法」をご覧ください。
客観的事実にもとづく根拠を示せば、どんな退職理由でも説得力をもって面接官に伝えることができます。
「退職理由はポジティブでなくてはいけない」といった表面的なマニュアルにとらわれず、本当の退職理由をごまかしたり隠したりしようとしないで、誠意を持って率直に伝えることを心がけてください。
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