失業手当(失業保険)はいつから・いくらもらえる?もらう手続きと計算方法を解説

更新 : 2023.08.01

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前の会社を退職した後に転職活動をする場合、生活の支えになるのが失業手当です。ただし、失業手当をもらうには一定の条件を満たしている必要があります。どのような仕組みなのか、正しい情報を知っておきましょう。

失業保険を知らないと損

失業保険とは?

失業手当の基本的な仕組み-type転職エージェント

失業保険とは、何らかの事情により勤務先を退職した人が再就職するまでの間、国から失業手当が給付される保険・仕組みのことを指します。正式には「雇用保険」という名称の公的な社会保険制度で、従業員として働いている間に給与から保険料が天引きされています。

失業保険の目的は、「失業中の生活を守ること」と「失業中の再就職活動をスムーズに果たせるようにすること」です。

会社を退職すると、多くの人にとって唯一の収入である給与がもらえなくなります。よって、最低限の生活を維持するためのライフラインとして、国が失業手当を給付します。

また、収入が途絶えたまま再就職活動をすると、生活への不安から十分な検討をしないまま急いで就職先を決めてしまい、入社後にミスマッチが生じてしまい、結局また短期間で勤務先を退職するなどのリスクもあります。逆に、当面の生活費を稼ぐためのアルバイトなどに追われ、再就職活動の時間がとれず、失業期間が長期化する可能性も生じます。

よって、こうした事態に陥らないように失業手当を給付し、失業者が安心して再就職活動に集中できるようにすることも、失業保険の重要な役割です。

このように、失業手当を受け取ることは労働者の権利であり、会社を退職後に転職活動をする人にとっては大きなメリットがあります。失業手当の受給に向けた手続きをとらなければ、大きな損をすることになると言っても過言ではありません。

失業手当をもらえる条件

会社を辞めたら誰でも失業手当をもらえるわけではありません。受給するには、いくつかの条件を満たし、ハローワークから失業認定を受ける必要があります。

失業手当をもらえる条件の3つを図解-type転職エージェント

1 : 本人に働く意思と能力がある

雇用保険では、「失業=退職」ではありません。前の職場を退職した人でも、再び就職しようとする気持ちと、いつでも就職できる能力がなければ、「失業中」とは見なされません。

よって、「専門学校に通うため」「結婚したのでしばらく家事に専念したい」といった理由で退職した人は、失業手当は受け取れません。

また、病気やけがで療養中の人や、妊娠・出産・育児のためすぐに働けない人も、失業手当の対象外です。

2 : 積極的に求職活動をしている

1に加えて、「積極的に就職活動をしているが、職業に就くことができない状態」であることも、失業手当を受け取る条件になります。

つまり、仕事探しをあきらめてしまった人は、たとえ失業中でも対象外になってしまいます。

3 : 離職日以前の2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上ある

「被保険者期間」は、1ヶ月の間に働いた日が11日以上ある月を「1ヶ月」として数えます。

退職した日からさかのぼって2年間のうちに、この条件に該当する期間が1年以上あれば、失業手当がもらえます。

なお、リストラや倒産など会社都合による退職の場合は、「離職日以前の1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上あること」が受給条件となります。

自己都合による退職であっても、家族の介護や配偶者の転勤に伴う離職など正当な理由と見なされる場合は、会社都合の退職と同じ受給条件になります。

退職理由によって、受給日も変わるので注意!

会社都合退職や自己都合退職でも正当な理由がある場合は、ハローワークで受給資格を与えられてから7日間の待機期間後すぐに給付が開始されますが、転職や起業を目的とした自発的な退職の場合は、待機期間終了の翌日からさらに3ヶ月の給付制限期間があり、この間は失業手当が支払われないので注意が必要です。

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ハローワークでの受給手続き

受給手続きに必要なもの

失業手当をもらうには、最寄りのハローワークで手続きが必要です。初めてハローワークの窓口へ行く時は、次のものを持参しましょう。

  • ・ 雇用保険被保険者離職票−1
  • ・ 雇用保険被保険者離職票−2
  • ・ マイナンバーを確認・証明できるもの(マイナンバーカード、通知カード、住民票など)
  • ・ 本人確認証明書(運転免許証、マイナンバーカード、年金手帳など)
  • ・ 印鑑
  • ・ 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
  • ・普通預金通帳

受給までの流れ

失業手当受給までの4ステップを説明-type転職エージェント

ハローワークでは、まず求職の申し込みをします。

① 必要書類を提出

申込書に再就職先の希望条件やこれまでに経験した仕事を記入し、前職の会社からもらった雇用保険被保険者離職票とともに窓口に提出します。

② 面談をする

ハローワークの担当職員がそれらを確認し、必要に応じて簡単な質疑応答をした上で、その人の受給資格の有無を判定します。問題がなければその場で受給資格が与えられます。ただし、これですぐに失業手当がもらえるわけではありません。

③ 説明会に参加する

初回の手続きから早ければ1週間後、遅くても3週間後までに、「雇用保険受給説明会」がハローワークで行われます。

日時はハローワークが指定し、受給者は必ず参加しなくてはいけません。

説明会では、失業手当の仕組みや受給に関する注意点などが説明されます。その際に「求職活動計画書」が交付されるので、求人募集をしている会社への連絡や面接などの予定を記入しながら、求職活動をすることになります。

また、失業手当を受け取るために必要な「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」も配布されます。

この雇用保険受給説明会から1〜3週間後に、第1回目の失業認定日となります。ここでようやく失業手当が給付されますが、一括でもらえるわけではありません。

④ 定期的に面談をする

その後、4週間に1回のペースで書類申請と面談が行われ、「求職活動をしているにも関わらず、失業中である」ということをハローワークに認定してもらう必要があります。

失業中と認定されれば、4〜7日後に指定の口座へ失業手当が振り込まれます。

受給金額の計算方法を知っておこう

失業手当の受給金額は、「基本手当日額 × 所定給付日数」で決まります。

基本手当日額

基本手当日額とは、「賃金日額(退職前の6ヶ月の賃金総額÷180日)」×「給付率」で計算できます。

この給付率は、その人の年齢や賃金日額によって16通りに分類されていて、45%から80%の範囲で決まります。正確な数字を出すには複雑な計算式を使う必要があるので、ハローワークに問い合わせて確認するとよいでしょう。

所定給付日数

所定給付日数とは、失業手当を受給できる日数です。こちらは、退職理由によって変わります。

失業手当の計算に用いる、一般受給資格者の図解-type転職エージェント

自分から退職を願い出た自己都合退職の場合は「一般受給資格者」と呼ばれ、雇用保険に加入してきた期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日となります。

失業手当の計算に用いる、特定受給資格者の図解-type転職エージェント

リストラや倒産などによる会社都合退職の場合は「特定受給資格者」と呼ばれ、雇用期間に加入していた期間と退職時の年齢で決まります。

例えば、雇用期間が1年以上5年未満の場合、退職時の年齢が30歳未満なら90日、30歳以上35歳未満なら120日、35歳以上45歳未満なら150日です。雇用期間が5年以上10年未満の場合、退職時の年齢が30歳未満なら120日、30歳以上35歳未満なら180日、35歳以上45歳未満なら240日となります。

この所定給付日数は、「失業手当がもらえる最長期間」でもあります。この期間を過ぎると、たとえ再就職が決まらなくても、失業手当はもらえなくなるということです。

失業手当をもらう際の注意点

失業者にとってメリットの多い失業手当ですが、デメリットがないわけではありません。

多くの場合、失業手当でもらえる額は、前職の給与の5割から8割です。また、失業手当の受給額を決める基本手当日額は年齢によって上限が決まっていて、30歳未満なら6945円、30歳以上45歳未満なら7715円です(2023年8月現在)。

よって当然ながら、失業期間をもうけず、すぐに就職して働いたほうがより多くの収入を得られます。

また、失業手当をもらえることで安心してしまい、就職活動の期間がダラダラと長引いてしまう可能性もあります。

失業手当をもらうことを前提とせず、退職後すぐに再就職して働くことを目指したほうが、結果的にメリットが大きい場合もあることを知っておきましょう。

まとめ

やむを得ない事情で退職した人や、退職後にじっくり腰を据えて転職活動をしたい人にとって、失業手当は心強い味方です。

そのメリットを最大限に活用するためにも、転職活動の計画を立てる際は、失業手当の仕組みをきちんと理解することをおすすめします。

  • ・失業手当とは、勤務先を退職した人が再就職するまでの間、国から失業手当が給付される保険制度のこと
  • ・失業中に最低限の生活を維持するためのライフラインの役割を持っている
  • ・受給するには、条件を満たし、ハローワークから失業認定を受ける必要がある
  • ・失業手当の受給金額は、「基本手当日額 × 所定給付日数」で決まる
  • ・失業手当を受給することによるデメリットもある
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