転職しても退職金はもらえる?退職金の基礎知識とかかる税金

最終更新 : 2023.1.18

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転職を考えた時、気になるのが「会社を辞めたら、退職金はいくらもらえるのか?」ということ。退職金があれば、転職活動や新生活を始めるための資金として活用できます。もし退職したら自分はどれくらいもらえるのか、きちんと確認しておきましょう。

退職金とは?どういう制度?

退職金制度を良く知らない人のイメージ-type転職エージェント

退職金とは、勤めていた会社から退職を理由に支払われる手当のことです。

ただし、会社が従業員に退職金を支払う義務はありません。退職金は法律で定められた制度ではないため、誰もが必ずもらえるものではなく、会社ごとの判断で取り扱いが異なります。

以前の日本企業では、定年まで勤め上げる従業員が多かったため、会社側も「社員が長年勤務してくれたことに対する報酬」や「老後の生活の保障」として退職金を支払っていました。

しかし近年では、転職をしながらキャリアアップする人が増えたため、退職金制度に対する会社の考えも変化しています。

厚生労働省が平成30年に行った「退職給付(一時金・年金)の支給実態」調査では、退職金制度がある企業は全体の約80%で、5年前の調査より約5%増加しました。

これは、景気の後退や団塊世代の大量退職によって、従来のような退職金制度を維持するのが難しくなったためと考えられています。

また同じ調査では、従業員が1000人以上の企業では93%が退職金制度を導入しているのに対し、30人から99人の企業では72%に留まっています。つまり中小企業では、大企業よりも退職金をもらえる可能性は低くなるということです。

自分が退職金をもらえるか、あるいはいくら支払われるかは、会社の就業規則を確認すればわかります。

就業規則で退職金について記載がなければ、会社が退職金を払わなくても違法にはなりません。

「会社を辞めるときは誰でももらえる」と思い込んでいると、いざ退職するときになって、その後のライフプランに影響が出ることも考えられるので、在職中に一度きちんと就業規則を読んでおくことを勧めます。

  • ・退職金をもらえるかどうかは、会社の規定によって異なるため、しっかり就業規則を確認すること
  • ・近年では退職金制度がある企業は減少傾向(5年前の調査より約12%減少)
  • ・中小企業は大企業に比べ退職金制度を導入している企業が少ない

退職金の仕組み

退職金の仕組みを調べる人のイメージ-type転職エージェント

退職金の種類について

退職金には、主に「退職一時金制度」と「企業年金(退職年金)制度」の2種類があります。多くの会社では、どちらか一方ではなく、2つの制度を併用しています。

退職一時金制度とは退職時に一度にまとめて全額支払われる制度です。

企業年金(退職年金)制度とは、企業が社員のために任意で加入する年金制度です。確定拠出年金制度(DC、401kなど)、厚生年金基金などを活用します。

退職一時金を支払うのは会社側の負担が大きいことに加え、もし会社が倒産した場合は従業員への支払いができなくなるといった課題もあるため、近年では確定拠出年金制度へ移行する企業が増えています。

また、「前払い制度」など、その他の仕組みを採用している企業もあります。

前払い制度の場合は、毎月の給与やボーナスに上乗せてして退職金が支給されます。

ただ、これも単独で採用する企業はそれほど多くはなく、退職一時金制度とどちらかを選べるケースが増えています。

退職金制度の違いを説明するイメージ-type転職エージェント

退職金の算出方法

退職金の算出方法も、時代とともに変化が見られます。

終身雇用が当たり前だった時代は、勤続年数に応じて退職金が増える「年功型」が中心でしたが、最近は会社への貢献度に応じて金額を計算する「成果報酬型」が増えています。

例えば、勤続年数だけでなく、職能や役職などに応じてポイントを加算し、退職時の合計で金額を決める「ポイント制退職金制度」は、成功報酬型の一つです。

裏を返せば、在職期間が短くても、その間に高い成果を出せば、退職金の金額に反映されるということです。

なお、一般的に退職金は、「自己都合退職」のほうが「会社都合退職」より金額が低く設定されています。
転職をする場合は自己都合退職になるので、その点も頭に置いておきましょう。

  • ・年功型:勤続年数に応じて退職金が増える
  • ・成果報酬型:勤続年数だけでなく、職能や役職など会社への貢献度に応じて金額が決まる

勤続年数別 退職金の相場・平均!いくらもらえるの?

退職金を受け取って喜ぶ人のイメージ-type転職エージェント

では実際のところ、世間の人たちは退職金をいくらもらっているのでしょうか。

平成30年の厚生労働省「就労条件総合調査結果の概要」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(大学卒)に対して支払った退職金の平均額は、定年退職の場合は1,983万円、自己都合退職の場合は1,519万円でした。

また、早期優遇制度を利用した退職した場合は、同じく大学卒で2,326万円となり、定年退職者よりも多くなっています。

勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(大学卒)に対して支払った退職金の平均額
定年退職の場合 1,983万円
自己都合退職の場合 1,519万円
早期優遇制度を利用した退職した場合 2,326万円

一方、勤続年数が短い人は、退職金をどれくらいもらっているのでしょうか。

東京都に限ったデータになりますが、東京都産業労働局が発表した令和4年版の「中小企業の賃金・退職金事情調査」のなかの「モデル退職金」では、大学卒の従業員が自己都合で退職した場合、勤続年数3年で23万8000円、5年で47万円、10年で112万2100円でした。

大学卒の従業員が自己都合で退職した場合
勤続年数3年 23万8000円
勤続年数5年 47万円
勤続年数10年 112万1000円

もちろん、会社の規模や従業員数、人事制度など、会社の事情によって金額は変わってきますが、勤続年数が短く、若いうちに会社を辞めた場合でも、ある程度まとまった金額をもらえるケースも多いことがわかります。

ただし、同じ東京都産業労働局の調査によれば、自己都合で退職する場合、3年以上勤務しないと退職金が出ない企業が50%あることもわかっています。 よって、就職して3年以内に会社を辞めた場合、退職金が出ない会社も少なくないことを知っておきましょう。

公務員の退職金はどのくらい?

続いて、公務員の退職金についても見てみましょう。国家公務員については、内閣府人事局が退職金の支給実績を公開しています。

「令和3年度 退職手当の支給状況」によれば、60歳以上で定年退職した人の平均支給額は2106万円、自己都合で退職した人の平均支給額は274万円、早期退職制度に応じた人の平均支給額は2540万円となっています。勤続年数別のデータについては、以下の表で確認してください。

勤続年数 定年の場合の平均支給額 応募認定の場合の平均支給額 自己都合の場合の平均支給額
21,064 25,407 2,740
5年未満 1,572 2,300 237
5年~9年 4,139 3,491 871
10年~14年 6,942 x※ 2,735
15年~19年 11,391 13,993 5,096
20年~24年 12,211 18,059 8,982
25年~29年 16,112 20,958 13,426
30年~34年 19,758 26,453 16,712
35年~39年 22,999 27,320 19,232
40年以上 22,350 24,219 21,440

※「x」は、当該数字を秘匿したことを示す。

出典:内閣人事局「令和3年度 退職手当の支給状況」

先ほど紹介した民間企業のデータと比べると、定年退職の場合は国家公務員がやや高いことがわかります。自己都合退職については、国家公務員が勤続年数について5年ごとのデータしか公開していないので比較が難しいのですが、例えば「勤続5〜9年で871万円」と民間企業の「勤続年数5年で47万円」と比べると、やはり国家公務員の方が高い傾向にあると言えそうです。

自社の退職金の調べ方

自社の退職金制度を確認するイメージ-type転職エージェント

先ほども説明した通り、自社の退職金制度を調べるには、就業規則を確認してください。

そこに退職金に関する規定が記載されているはずです。

この規定は、会社の経営状況や社会情勢によって変更されることもあります。
「入社した時に確認した」という人も、最新の規定をきちんと調べておきましょう。

もし就業規則に退職金に関する記載がなければ、総務や人事に問い合わせてみてください。

もし転職を検討していて、そのことを伏せたいなら、「住宅購入を考えている」「結婚を考えている」といった理由を伝えた上で、「将来の資金計画のために確認したい」と言えば問題ないでしょう。

退職金に税金がかかる?その計算方法とは?

退職金にかかる税金に驚く人のイメージ-type転職エージェント

退職一時金としてまとまった金額を受け取ると、所得税がかかります。


ただし、退職金については税制を優遇する仕組みがあるので、過剰に心配する必要はありません。
例えば「退職所得控除」を受けると、収める税金は最小限で済みます。

控除額の計算方法は、次の通りです。

控除額の計算方法

■勤続年数20年以下の場合

勤続年数×40万円(※80万円に満たない場合は、80万円とする)

■勤続年数20年超の場合

(勤続年数−20年)×70万円+800万円

例:「勤続10年、退職金100万円」の場合、「10年×40万円=400万円」が控除されるので、100万円の退職金は控除額の範囲内に収まり、所得税はかかりません。

ただし、退職所得控除を受けるには、「退職所得申告書」を会社に提出する必要があります。
この書類を出せば、会社側で手続きをおこなってくれるので、源泉徴収などの面倒な作業を個人でやる必要はありません。

しかし退職所得申告書を提出しなかった場合、退職所得控除を受けることができず、もらった退職金がすべて課税の対象になります。

その場合、退職金から源泉徴収をした金額の20.42%を税金として収めなくてはいけません。
そのぶん手取りでもらえる額は低くなるので、退職時には必要な手続きを忘れないようにしましょう。

まとめ

退職金の支給は義務ではないため、勤めている会社によって事情は大きく異なります。

また、退職する時期やタイミングによって、もらえる金額が変わることもあります。
転職を検討する際は、就業規則を確認したり、総務や人事に問い合わせるなどして、正しい情報を把握しておくことが大事です。

まとめ

■退職金をもらえるかどうかは、会社により異なる。
退職金制度の有無や金額については、就業規則を確認したり、人事・総務に問い合わせて正しい情報把握を。

■近年の傾向
・退職金制度がある企業は増加傾向
・中小企業は大企業に比べ退職金制度を導入している企業が少ない。

■退職金の仕組み
「退職一時金制度」や「企業年金(退職年金)制度」、「前払い制度」などがあり、併用している企業が多い。

■退職金の算出方法
勤続年数に応じて退職金が増える「年功型」から、最近は会社への貢献度に応じて金額を計算する「成果報酬型」が増えている。

■退職金の相場・平均額
勤続年数や会社の状況などによって異なるが、自己都合で退職する場合は3年以上勤務しないと退職金が出ない企業が50%ある。

■退職金にかかる税金
退職金には所得税がかかるが、「退職所得控除」を受けると、収める税金は最小限で済む。
控除を受けるには「退職所得申告書」を会社に提出する必要があるため、忘れないよう注意。

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