離職票とは?書き方、手続き、届かない場合のトラブル対策も!

掲載日 : 2020.4.7最終更新日 :2022.6.21

離職票とは?書き方、手続き、届かない場合のトラブル対策も!

離職票はハローワークで雇用保険の失業給付の手続きをする際に必要となる大事な書類です。離職票がなければ失業給付を受け取れず、転職先が決まるまでお金の不安を抱えて過ごすことになります。また、離職票内の離職理由によっては退職後の国民健康保険の一部を減額できることもあります。退職後に速やかに離職票を受け取れるよう、発行に必要な手続きや書類の書き方、離職票が届かない場合の対処法などを詳しく解説します。

この記事の監修者
トモ社会保険労務士事務所 社会保険労務士 朝田夏代さん

社会保険労務士 朝田夏代さんトモ社会保険労務士事務所

大手エネルギー系列会社にて約15年社会保険関係業務を経験後、福岡市博多区にて開業。強みは、1名〜2000名規模企業までの労務実績を活かした幅広い知識で、各種相談から手続き、給与計算、助成金等々、会社のパートナーとして精力的に活動している。創業支援としても、起業時の助成金、事務部門の立ち上げ等のノウハウが好評 企業プロフィールを詳しく見る >>
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離職票とは?

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離職票とは、退職者が雇用保険の失業給付(基本手当)を受け取る際に必要となる書類です。退職者から求められた場合、会社は離職票を発行する義務があります。一般的には、退職してから10日前後までに会社から本人に渡されます。

離職票には、「離職票Ⅰ」と「離職票Ⅱ」があります。「離職票Ⅰ」には、氏名やマイナンバー、失業給付の振込先などの記入欄があります。「離職票Ⅱ」は「離職証明書」とも呼ばれ、退職理由や過去半年間の給与、出社日などの記入欄があります。

なんのために必要なもの?

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離職票は、失業給付を受け取るために必要なものです。これがなければ、退職後に失業給付が支払われません。また、退職後は多くの方が国民健康保険に加入することになりますが、倒産やリストラ、雇い止めなどの非自発的な失業者に対して国民健康保険の一部を減額する制度があります。その場合、失業給付を受けるための所定の手続きを行った後に交付される雇用保険受給資格者証が必要となりますので、忘れずに所定の手続きを行ってください。

一方、退職後すぐに転職して次の職場で働き始めた場合は、失業給付を受け取る機会がないので、離職票をハローワークに提出する必要もありません。

ただし万が一、転職先の内定が取り消しになったり、事情があって急に入社を辞退することになったら、予想外の失業期間が発生する可能性もあります。その場合は離職票がないと失業給付がもらえないので、退職時に次の会社が決まっているときも、離職票を受け取って手元に保管しておくようにしましょう。

離職票と退職証明書の違い

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離職票と混同されがちな書類に「退職証明書」があります。これはその名の通り、会社を退職した事実を証明するための書類です。こちらも退職者から求められた場合、会社は退職証明書を発行する義務があります。

退職証明書が必要となるのは、転職先などから提出を求められたときです。その人が複数の企業に所属していないこと、雇用保険や厚生年金保険などの被保険者資格を前の会社で失っていることなどを、転職先の会社が確認するためなどに使われます。

離職票と退職証明書は、ともに退職時に発行される書類という点では共通していますが、この二つには大きな違いがあります。離職票は国がハローワークという公的機関を通して発行する公文書ですが、退職証明書は会社が個人に発行する私文書です。よって離職票は書式のフォーマットや記入の仕方が細かく指定されていますが、退職証明書には特に決まった書き方はありません。労働基準法で決められた事項である、①使用期間、②業務の種類、③その事業における地位、④賃金、⑤退職事由が記載されていれば、それぞれの会社が自由な書式で発行できます。

離職票については、後々になってトラブルなどが起こらないように、希望のあるなしに関わらず、すべての退職者に発行する会社も少なくありません。それに対し、退職証明書は希望があった場合だけ発行する会社がほとんどです。

ただし、離職票については法的な決まりがあるものの、実際には離職票も退職証明書も会社によって対応は異なります。どちらについても、発行を希望する場合は必ず会社にその旨を伝えた上で、社内的に必要な手続きや流れについて担当者に確認するようにしてください。

離職票の書き方

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「離職票Ⅰ」は次のような書式となっています。

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画像出典: ハローワークインターネットサービス

上部にある氏名や被保険者番号などは、手元に届いた時点ですでに記載されています。退職者が事前に記入するのは、下部にある「求職者給付等払渡希望金融期間指定届」の欄です。本人名義の振込先の通帳をハローワークに持参して手続きすれば、「金融機関による確認印」は必要ありません。

また、上部の記入欄のうち、「個人番号(マイナンバー)」はハローワークに行ってから記入します。

また、上部の記入欄のうち、「個人番号(マイナンバー)」はハローワークに行ってから記入します。

もう一つの「離職票Ⅱ(離職証明書)」は、次のような書式となっています。

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画像出典: ハローワークインターネットサービス

左側の会社や退職者の情報、退職日以前の賃金支払い状況については、会社が記入してくれます。ただし、記載内容に間違いがないかは自分できちんと確認しましょう。

退職者が記入するのは、右側の部分です。「離職理由」のうち、該当する理由の 「離職者記入欄」に丸をつけてください。次にその下にある「具体的事情記載欄(事業主用)」を確認し、会社が記載した内容に異議がなければ、「具体的事情記載欄(離職者用)」に「同上」と書きます。もし異議がある場合は、そのことを記載してハローワークに提出します。

さらに、「離職理由」の「事業主記入欄」を見て、どの項目に会社が丸をつけたかを確認します。そして一番下の「離職者本人の判断」の欄にある、異議の「有り・無し」のいずれかに丸をつけてください。

最後に自分の氏名を署名し、印鑑を押せば記入の作業は終了です。もし記入方法でわからないことがあったら、ハローワークに相談しましょう。

現在は電子申請で手続きをする会社も増えています。その場合、上記のように手書きする代わりに、「離職証明書の記載内容に関する確認書」への署名を求められることがありますので、会社の指示にそって対応しましょう。

離職票発行手続きの主な流れ

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【1】「離職票Ⅱ」を記入する

会社に退職の意思を伝えると、「離職票Ⅱ(離職証明書)」を渡されます。前の項目で紹介した書き方に従って、退職者は必要な情報を記入してください。

【2】「離職票Ⅱ」を会社に提出する

必要事項を記入したら、「離職票Ⅱ」を会社に提出します。もし退職前に渡された場合は、人事などの担当部署に直接提出して構いません。退職後に手続きをする場合は、郵送で会社に提出します。

【3】会社がハローワークで手続きを行う

退職者が「離職票Ⅱ」を提出すると、会社はハローワークで必要な手続きを行います。手続きが終わると、処理された「離職票Ⅱ」が会社に返されます。同時に「離職票Ⅰ」がハローワークから発行され、こちらも会社に渡されます

【4】会社から「離職票Ⅰ」「離職票Ⅱ」が郵送される

ハローワークから会社に離職票が返されると、今度は会社から自分に「離職票Ⅰ」「離職票Ⅱ」が郵送されます。手元に届いたら、間違いなく2枚とも同封されているか確認しましょう。

【5】ハローワークで失業給付の申請手続きをする

届いた離職票をハローワークに持参し、失業給付を申請します。離職票の他に、証明写真、マイナンバーを証明する書類、本人確認書類、振込先の通帳などを持っていく必要があります。

離職票が届かない!そんなときは?

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このように、離職票が発行されるまでに会社とハローワークの間で手続きが発生するため、自分の手元に届くには退職後10日から2週間ほどかかるのが一般的です。

もしこの期間を過ぎても離職票が手元に届かなかったら、何もせずに放っておくのはNG。申請手続きが大幅に遅れると、失業給付を受給できなくなるからです。

失業給付が支給される日数は、雇用されていた期間や離職時の年齢、離職理由などによって決まります。失業給付を受給できる期間は、原則として1年間となっていますが、これは「手続きをした日から1年間」ではなく「離職日の翌日から1年間」です。そのため、手続きが遅れた場合はその分だけ遅れて受給できる期間も短くなってしまい、最悪の場合、受け取れるはずだった全ての日数分を受け取れないまま打ち切られることになります。

離職票が届かなかったら、まずは会社に問い合わせましょう。離職票がまだ届いていないことを伝えて、離職票を発行する手続きがどこまで進んでいるのか確認します。会社は従業員が退職した翌日から10日以内にハローワークに必要書類を提出する義務があり、もし手続きを怠っていたなら会社は法律に違反したことになります。よって退職者が問い合わせるのをためらったり、遠慮したりする必要はありません。

問い合わせた結果、会社がすでに手続きをしていたら、ハローワークの手続きが遅れている可能性があります。その場合は、会社を管轄するハローワークに問い合わせてみるといいでしょう。特に退職する人が多い3月や9月はハローワークの繁忙期に当たるため、離職票の発行手続きが遅れていることも考えられます。

また、ハローワークは会社が手続きしてくれない場合の相談窓口にもなります。「会社がなかなか離職票の手続きを進めてくれない」と相談すれば、ハローワークから会社に進捗状況の確認や手続きの催促をしてくれるでしょう。

それでも離職票が届かなかった場合、失業給付の受給開始も遅れて、無収入の期間が長く続くことになります。それでは困るため、離職票がなくてもハローワークで失業給付を申請できる仮手続きの制度があります。

仮手続きは、退職日から12日が経過しても離職票が手元に届かない場合に可能となります。ハローワークで求職者登録を行い、退職証明書など退職日がわかる書類を持参する必要があります。ただし仮手続きの運用はハローワークによって異なりますので、事前に自分の住所を管轄しているハローワークに、手続きの流れや必要書類を確認しましょう。

仮手続きが完了しても原本の提出は必要なので、会社やハローワークに必要な問い合わせや催促をして、なるべく早めに離職票を発行してもらってください。

まとめ

離職票は、失業給付を受けるための重要な書類です。失業期間のお金の不安を解消するためにも、必ず発行の手続きをしましょう。万が一紛失してしまった場合は、退職した会社かハローワークで再発行することもできます。スムーズに手続きを進めるためにも、離職票の書き方や発行されるまでの流れを正しく知っておきましょう。

  • まとめ
    1. ◆離職票とは
      ・離職票は、失業給付を受け取るために必要な書類のため、退職前に勤務先に確認しておくこと。
      ・離職票には、「離職票Ⅰ」「離職票Ⅱ」とある。内容に相違がないか確認をし、必要事項を記入すること。
    2. ◆離職票と退職証明書との違い
      ・離職票は公的機関が発行する公文書であるのに対し、退職証明書は会社が個人に発行する私文書。
      ・退職証明書は会社によって形式が異なる。
      ・離職票も退職証明書も会社によって対応は異なるので、確認する。
    3. ◆離職票が届かない場合
      ・申請手続きが大幅に遅れると、失業給付を受給できなくなる。
      ・離職票が届かなかったら、まずは会社に問い合わせをする。
      ・会社に確認しても届かない場合は、管轄のハローワークに相談する。
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