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最終更新 : 2022.12.28
転職活動をしてようやく内定がもらえたのに、いざ今の会社に退職したいと告げたら、上司から「辞めないで欲しい」と強く引き止められて困っている。そんなケースが最近増えています。なぜ会社は退職希望者を引き止めるのか、そして引き止められたらどんな対策をとれば良いのか。スムーズに退職するために知っておきたいポイントを解説します。
中嶋 千博キャリアアドバイザー部 部長
【保有資格】米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー会社が人を雇うには、コストがかかります。求人広告を出して書類選考や面接を行い、入社後は研修・教育をして現場に送り出すまでには時間も手間もお金もかかります。その社員が仕事で実際に成果を上げ、会社の売上や利益に貢献するようになるまでは、さらに時間がかかります。社員が辞めてしまうと、それまでにかけたコストが無駄になってしまうので、会社としてはできるだけ社員に長く働いてもらい、その人を採用・育成するためにかかったコストを回収したいと考えています。
また、社員が一人辞めれば代わりの人員補充が必要となります。しかし今はどの業界や会社も人手不足で、退職した社員と同じレベルの経験やスキルを持つ人材がすぐに見つかるとは限りません。人員が補充されないまま残ったメンバーだけで仕事を回そうとすれば、一人の社員が抱える業務量や労働時間が過重になり、職場環境が悪化して連鎖的な退職を引き起こす可能性もあります。退職希望者は「自分一人くらい辞めても構わないだろう」と考えるかもしれませんが、会社や組織全体に与える影響は決して小さくないことを理解しておく必要があります。
部下が退職すると、直属の上司は会社から「管理職としてマネジメント能力が足りない」という評価を受ける可能性があります。最近は誰もが働きやすい職場作りや残業時間の抑制など、働き方改革に関する現場の責務を中間管理職が負うことが多いため、部下の退職に対する会社の目は以前にも増して厳しくなる傾向にあります。
また、現場の統括責任者である管理職は、常に「今いる人員でチームをどう運営して行くか」を考えています。よってメンバーが一人減れば、上司はそのプランをいちから立て直すと同時に、少ない人数でチームを回すという難しいマネジメントを要求されることになり、管理職としての負担は増大します。それでなくても、手塩にかけて育てた部下が辞めてしまうことは、上司の心理的にもつらい出来事です。こうした理由から、上司が退職希望者を強く引き止めるケースが出てくるのです。
なかには、上司や先輩が本心から「今ここで会社を辞めると、あなたのキャリアのためにならない」と考えて引き止める場合もあります。「自分はこれをやりたい」という明確な目標があり、それが今の職場で叶わないのであれば転職という選択は妥当ですが、「何となく今の職場がイヤ」「目の前の仕事からとにかく逃げたい」といった安易な理由で転職しても、結局は次の職場でも同じような問題に直面することになります。部下から退職理由を聞いた上で、上司が「転職してもその問題は解決しない」と判断した場合は、本当に相手のためを思って退職を引き止めるケースもあることを知っておきましょう。
「このまま退職せずに働き続ければ、いいことがあるかもしれない」と期待させるパターンです。ただし、多くの場合は上司の個人的な意向として伝えるだけで、会社に残ったとしても実際にその約束が守られるとは限りません。引き止めるために口先だけで良いことを言っている可能性があるので、舞い上がらず冷静に受け止めることが必要です。
「あなたが退職すると会社やチームに迷惑がかかる」と告げることで、「辞めてしまったら周囲の人たちに申し訳ない」と思わせようとするパターンです。そう言われると、本人も「今まで上司や同僚たちにお世話になってきたのだし、もう少し我慢して働き続けた方がいいのだろうか」と迷いが生じることもあるでしょう。しかし、一時的な感情に流されるのは良くありません。こちらの場合も冷静に相手の言葉を受け止めて、「自分はなぜ転職したいのか」に立ち返ってみることが大事です。
退職を申し出ても届出を受理してもらえなかったり、「そんな話は聞いていない」と無視されたりするパターンです。最近はどの会社もコンプライアンスを重視するので、明らかな脅しやパワハラに該当するような対応は減りましたが、上司によっては法令違反ギリギリの強硬策に出るケースもあります。しかし、職業選択の自由は憲法に定められた権利であり、就業規約に沿った手順を踏めば誰もが退職・転職することが可能です。この場合の具体的な対応については、後半の「退職引き止めが過剰なケース」で詳しく解説します。
まず前提として、退職の意向を上司に伝えるタイミングは「転職先が決まってから(転職先から内定をもらった後)」をお勧めします。転職先が決まらないうちに、上司に会社を辞めるつもりがあることを知られてしまうと、それこそあの手この手で引き止めようとされる可能性が出てきます。まだ内定が出ていない段階で強く引き止められると、本人の決意も揺らぎやすくなり、結局退職できずに職場に残るという結果になりかねません。
よって引き止めリスクをできるだけ減らすためには、転職活動をしていることは職場に伏せておき、転職先から内定をもらって初めて退職の意向を上司に伝えるのが基本です。その上で、次の2点を実行するようにしてください。
退職の意向を告げると同時に、「○月○日をもって退職したい」という退職日をはっきり伝えてください。「退職したいが、いつ辞めるかはまだ決めていません」という曖昧な言い方をすると、上司は退職日を何とか引き延ばそうとするからです。しかし、すでに転職先への入社日が決まっていて、「この日までに退職しなければいけない」という期日がはっきりしていれば、上司もそれを受け入れるしかありません。
上司に口頭で「退職したい」と伝えただけでは、「そんな話は聞いていない」「今は忙しいからまた後で」などとはぐらかされて、いつまで経っても退職を受け入れてもらえない可能性があります。こうした事態を避けるため、初めて退職の意向を上司に伝える際に、同時に退職届も提出しましょう。書面に退職を申し出た日付と退職日の日付を明記して上司に提出すれば、「この時点で会社に対して退職の申し入れをしました」という根拠になります。たとえ上司が「いったん自分のところで預かる」と保留にしても、少なくとも「言った、言わない」のトラブルは防げます。
ただしこの2点を実行しても、「勝手に退職日を決められたら困る」「引き継ぎが間に合わない」などの理由で受け入れてもらえない場合があります。そうなることを防ぐために、転職活動をしている段階で次の点を確認しておくようにしてください。
民法では、雇用期間に期限の定めがない正社員の場合、当事者はいつでも労働契約の解約の申し入れができて、なおかつ申し入れてから2週間で雇用が終了するとしています。つまり民法上は、退職日の2週間前に雇用主に申し出ればいいということです。ただし会社によっては、就業規約で「退職希望日の1ヶ月前までに申し出ること」などと独自の期限を設定しているケースがあるので、まずは自分の会社の就業規約を読んで退職申し入れの期限を確認してください。その期限を守って申し出れば、上司が「引き継ぎに時間がかかる」などと引き止めても、契約上は希望の退職日に辞めることが可能です。
とはいえ、強く引き止める上司を振り切って勝手に辞めてしまうと、前の職場に悪い印象を残すことになります。また、その人が担当していた業務の量や内容によっては、申し出た退職日までに引き継ぎを済ませるのが本当に難しいケースもあります。そこで退職日を決める交渉をスムーズに進めるために、あらかじめ自分の会社で過去に退職した人の事例を調べて、「引き継ぎにどれくらい時間がかかるか」「退職日を決める交渉が長引く可能性がありそうか」などを把握しておきましょう。
もし就業規約で「退職希望日の1ヶ月前までに申し出ればいい」と定めていても、過去に退職した人が引き継ぎに2ヶ月かかっていたなら、自分も2ヶ月かかると想定して早めに退職の申し出をすることが必要です。また、過去の事例から自分の上司がしつこく引き止めるタイプだとわかっていれば、最初は退職希望日を繰り上げて伝えるという手もあります。
例えば、本当は10月末日に退職すればいい場合でも、わざと少し繰り上げて「9月末日に退職したい」と伝えます。そして想定通り、上司が「勝手に退職日を決められたら困る」などと引き止めてきたら、「では皆さんにご迷惑がかからないよう、何とか10月末日までは働けるよう調整します」といった譲歩の姿勢を見せれば、相手もそれ以上は強く出られません。
ただし、この交渉術を使うには、転職先に入社する日から逆算してゆとりを持ったスケジューリングをする必要があります。そのためにも、転職活動中から退職を申し出る時のことを考え、適切な段取りを組むことが円満に退職する秘訣です。
なお、上司に退職を申し出る際は、伝え方にも気を配りましょう。「転職したいから辞めます」と自分の都合だけを一方的に伝えれば、相手はカチンときて退職の交渉がこじれる可能性があります。退職の意向を伝える際は、同時にこれまでお世話になったことへの感謝と、自分が退職することによって上司やチームのメンバーに影響を与えることへのお詫びを伝えて、相手を立てるようにしましょう。辞めるからといって、職場や上司への不満や愚痴を口にするのはもってのほかです。相手も人間ですから、上司である自分へのリスペクトや気遣いが感じられれば、「気持ちよく送り出してあげよう」という気になるものです。
会社や上司に退職を申し出ると、必ずその理由を聞かれます。そこでどう答えるかで、相手が納得するかどうかも変わってきます。
相手が納得し、かつ引き止めることができない退職理由とは、「自分にはどうしてもやりたいことがあり、それはこの会社ではどうしても実現できない」と示すことです。「これまで販売職として頑張ってきましたが、将来を考えて事務職に挑戦したいと考えています。ただ、今の会社では販売職から事務職に異動した前例がないので、自分の夢を叶えるために思い切って転職を決意しました」などと伝えれば、上司も無理に引き止めることはできません。
一方、「人間関係がうまくいかない」「残業が多い」といった退職理由は、「今の職場にいても改善できること」なので上司も引き止めやすくなります。「だったら配置換えを検討するよ」「うちの組織も働き方改革を進めて残業を減らすようにするから」などの改善策を提案され、「これなら君が抱えている問題も解消するよね」と言われたらなかなか反論できません。よって上司に伝える退職理由は、「今の会社では絶対に実現できないこと」であることが何より重要なポイントだと心得てください。
前述の通り、最近はコンプライアンスが重視されるようになったので、法令に違反するような悪質な引き止めは減りましたが、それでも一部にはまだ過剰な対応をする会社があるようです。「辞めたら損害賠償請求をすると脅された」「会議室に何時間も缶詰にされ、上司や先輩に囲まれて延々と説得を受けた」「退職願を受け取ってもらえない」などの強硬策を取られたという事例もあります。
しかし、労働者が会社を辞める権利は法律で守られています。先ほども説明した通り、就業規約に沿った手順を踏めば誰でも退職できますし、民法でも退職の自由が認められています。もし直属の上司が過剰な引き止めをしたり、退職届を受け取らないなら、より経営層に近い上層部や人事に直接退職の申し出をしてください。直属の上司が過剰な引き止めをした場合は個人の問題で片付けることができても、上層部や人事が同じことをすれば会社として法令違反をすることになり、社会的な信用を失う大きな問題になりかねません。それほどのリスクをおかしてまで社員を引き止めようとはしないはずですから、直属の上司が退職の申し出を受け入れないなら、さらに上の立場の人に退職届を提出するのが適切な対応です。
会社や上司が退職希望者を引き止めるのは、それなりの理由があります。それを理解した上で、職場に迷惑をかけないよう配慮した退職の段取りと相手が納得せざるを得ない退職理由を用意することが、退職の引き止めを避けるコツです。
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