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最終更新日 :2023.12.26
プロジェクトリーダー(PL)は、ITエンジニアのキャリアパスの一つです。一定のエンジニア経験を積むと、社内で「次のプロジェクトで、プロジェクトリーダーをやってください」と任命されることがあります。今まで一緒に働いてきたから、何となく役割は理解しているけど、具体的な仕事内容や、プロジェクトリーダーの先のキャリアまでは把握していない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、プロジェクトリーダーに初めて抜擢された方に向けて、プロジェクトリーダーの仕事内容や、スキルアップ方法、キャリアパスなどを解説していきます。
浜野 陽介エキスパートキャリアアドバイザー
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタントプロジェクトリーダーの役割は、開発プロジェクトにおける現場の責任者です。プロジェクトは「インフラ」「データベース」「ソフトウェア」など、担当領域に分かれてチームを組み、プロジェクトを進めていきます。
プロジェクトリーダーはチーム毎に配置され、進行管理を担当したり、チームメンバーとのコミュニケーションを行います。現場の成果によってプロジェクトの良し悪しが分かれてくるので、プロジェクトの成功には欠かせない存在です。
プロジェクトリーダーと似ている役職に、プロジェクトマネージャー(PM)がいます。プロジェクトマネージャーは、開発プロジェクト全体の進行管理を担当する、プロジェクトの責任者です。大企業や、大きなプロジェクトでは、いくつかのチームに分かれて業務を行うことがあります。
そのため、プロジェクト全体の管理をプロジェクトマネージャーが担い、各チームの進行管理やメンバーとのコミュニケーションは、プロジェクトリーダーが担当するケースがあります。
なお、企業やプロジェクトの規模感によっては、プロジェクトリーダーの役割をプロジェクトマネージャーが兼務することもあります。
プロジェクトによっては、プロジェクトリーダーが要件定義や設計を担当することもありますが、主な仕事内容は「チームをまとめあげる」と「タスクの作成と管理」です。それぞれ解説していきます。
開発作業はチーム一丸となって行うため、チームの統率が取れていなかったり、コミュニケーションが不足していると、悪影響をもたらす可能性もあります。そうならないためにも、プロジェクトリーダーがメンバーを巻き込みながら、目標へと導きます。
また、メンバーの経歴もバラバラな場合もあり、業務に慣れていない新人には手厚くフォローアップするなど、それぞれのメンバーを気にかけるのも仕事の一つです。このように、働きやすい環境づくりを行い、モチベーションをキープさせるのはプロジェクトリーダーの大きな役割でしょう。
プロジェクトリーダーは、メンバーのスキルセットやこれまでの開発経験をもとにタスクの割り振りを行います。タスクの作成時には、各個人の能力を最大限発揮できるよう、負担を均等に分散させて考える必要があります。タスク作成を誤ると、後々の進行遅れや、バグの発生にも繋がってしまうので、慎重かつ的確に行いましょう。
プロジェクトが進行している最中は、メンバーの進捗確認やスケジュールの管理を定期的に行います。当初のスケジュールよりも遅延や問題が発生している場合は、迅速に改善を図ることもプロジェクトリーダーの仕事です。また、メンバーのタスクが滞っている場合は、その原因を突き止め、余裕があるメンバーに振り分けたり、自身で対応するなど調整を行います。
プロジェクトの効率性を上げ、納期どおりに開発を完遂させるには、プロジェクトリーダーのタスク作成と管理は必要不可欠です。
ここまでプロジェクトリーダーの役割や仕事内容について解説してきました。これまで現場で働いてきた人は、紹介したようなマネジメント経験がないため、「自分に務まるのか?」と少し不安に感じられた方も多いかと思います。
ここでは、プロジェクトリーダーの仕事を遂行する上で、必要なスキルを解説していきます。
スケジュールのコントロールや全体像の把握とタスクの分散など、プロジェクトリーダーは、多方面でマネジメントを行わなくてはなりません。もし、プロジェクトリーダーの管理がきちんと行えていないと、予定されていたスケジュール内に開発が終わらなかったり、予算オーバーになるなど、プロジェクトの失敗に直結してしまいます。そのため、管理能力は最も必要なスキルと言っても過言ではないでしょう。
コミュニケーション能力が高いと、進捗確認の際にメンバーの状況を詳細に把握できます。
コミュニケーションが日頃からしっかりと取れていれば、進捗遅れに対しても気づきやすく、即座にフォローやタスクの分散の対応ができます。また、メンバー自身からも「今、○○○○のところでつまずいていて……。」「タスクが捌けてなくて、きついです。」と、現状について相談してもらいやすいでしょう。
プロジェクトリーダーは、チームの進行管理以外にも要件定義や設計を担当することもあります。要件定義では、顧客や社内からの要望を具体化する必要があります。また、要件定義で決定した内容を設計に落とし込む際にも、技術の知見や開発経験が必要です。そのため、プロジェクトリーダーは高いエンジニアスキルが必要と言われています。
やるからにはレベルの高いプロジェクトリーダーを目指したい方もいらっしゃると思います。ここでは、プロジェクトリーダーのスキルアップ方法を紹介します。
前述したように、プロジェクトリーダーは、マネジメントスキルやコミュニケーションスキル、エンジニアスキルが組み合わさったスキルセットが必要になります。これらの能力を磨く方法としておすすめなのが、研修やセミナーの受講です。
独学でもこれらの勉強はできますが、プロの指導を受けることで新たな気づきが生まれることは多いです。最近ではオンラインで無料で行っているセミナーもあるので、気になる方は検索してみましょう。
応用情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格です。ITエンジニアのスタンダードな国家資格として基本情報技術者試験がありますが、その合格者が次に目指す資格として、この応用情報技術者試験が挙げられます。
応用情報技術者試験の出題範囲は以下の通りです。
上記からも分かるように、エンジニアスキルを問われる「テクノロジ系」だけでなく、プロジェクトマネジメントやシステム戦略などの「マネジメント系」「ストラテジ系」の出題もあり、範囲は広いです。そのため、資格取得に向けた勉強の過程でプロジェクトリーダーに必要なスキルを伸ばすことが可能です。
プロジェクトマネージャ試験とは、プロジェクトマネージャーに必要な、予算・スケジュール・品質管理に関するスキルを証明する国家資格です。プロジェクトマネージャー向けとはなっていますが、試験内容は、IT基礎知識からプロジェクトマネジメントに関する論述など、プロジェクトリーダーの業務にも関わる内容のため、十分業務に活かせるでしょう。
ただし、プロジェクトマネージャー試験は難易度が高いのと、業務経験が問われる記述問題があるため、合格を目指す場合はそれ相応の勉強が必要になります。
プロジェクトリーダーを経験したあと、その後のキャリアはどうなっていくのか気になる方も多いのではないでしょうか。
一般的にプロジェクトリーダーを経験された方の、次のキャリアパスはプロジェクトマネージャーです。さらにその先のキャリアパス例として挙げられるのが、これまでのプロジェクトマネジメントの経験を活かしPMOや、IT技術を使って顧客の経営課題を解決するITコンサルタントです。
またプロジェクトリーダーで、マネジメントを経験してみた結果「自分はエンジニアスキルを追求したい」「開発業務に専念したい」と感じる方もいらっしゃいます。その場合は、専門分野で高いITスキルを保有し、技術力でプロジェクトを牽引するITスペシャリストというキャリアパスを選択するのがおすすめです。
現在、IT業界は人材不足という問題を抱えています。その中でも、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーのような、プロジェクトマネジメントを担う人材は、さらに不足しています。実際に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行している「DX白書2023」によると、日本の企業に対して、デジタル事業に対応する人材の「量」の確保について尋ねた結果、68%の企業がプロジェクトマネージャーの不足を感じていることが分かりました。
プロジェクトリーダーでは、開発チームのマネジメントや進行管理など、プロジェクトマネージャーに必要なスキルを身に付けられます。そのため、もし転職活動を行った場合、かなり有利になると言えるでしょう。人材不足な分、提示されている年収も高いことが多いので「年収アップをしたい」といった希望を持っている方は、プロジェクトリーダーの経験を積んだのちに転職を検討するのもおすすめです。
開発プロジェクトにおける現場の責任者をプロジェクトリーダーと呼びます。要件定義や設計といったエンジニア業務以外にも、開発プロジェクトの進行管理や、チームメンバーの統率などマネジメントを行います。そのため、プロジェクトの成功に直結する責任重大な役割です。
大変な仕事ではありますが、プロジェクトが成功した際のやりがいはとても大きいです。また、プロジェクトリーダーの経験が、のちのキャリアパスや転職にも大きくプラスの影響をもたらしてくれるので、頑張ってくださいね。
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