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最終更新日 :2024.02.05
転職を考えたことがあるWebデザイナーは多いかもしれません。「今は制作会社で働いているが、事業会社で自社サイトを作る仕事にも興味がある」「現在のクライアントは特定業界に偏っているので、もっと幅広い業界のサイトを手がけてみたい」など理由はさまざまでしょう。
ただ実際に転職するとなると、「採用ニーズはあるのか」「どんなスキルがあれば転職できるのか」など疑問や不安が出てくるもの。そこで本記事では、Webデザイナーのキャリアパスや転職市場の動向、必要とされるスキルや転職を成功させるためのポイントまで、詳しく解説します。
青柳 真理子キャリアアドバイザー部 部長
約10年に渡り、営業職やITエンジニア職の転職支援を行う。新卒就職支援やIT派遣のアドバイザー経験もあり。現在はITエンジニア・クリエイター・マーケター職の転職支援を中心に行うキャリアアドバイザー部の部長。 監修者プロフィールを詳しく見る >>Webデザイナーとは、Webサイトをデザインする仕事です。デザインしたものをHTMLやCSSを使い、Web上で表示されるようにコーディングします。会社の規模によっては、Webデザイナーとは別にコーディングを専門とするコーダーがいることもあります。
特に近年は、UI/UXと呼ばれるユーザーの使いやすさや画面の見やすさなどを考慮し、最適な形でWebサイトをデザインすることが求められています。
UIとはユーザーインターフェース(User Interface)の略で、人と製品やサービスとの接点を意味します。Webサイトであれば、ボタンやテキスト、画像など、外観のすべての情報が該当します。「フォントサイズは読みやすいか」「間違えてタップしない配置になっているか」など、ユーザーが使いやすいサイトを意識してデザインする必要があります。
UXとはユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、「ユーザー体験」などと訳されます。ユーザーが製品やサービスの利用を通じて得る経験を意味し、Webサイトであれば「デザインが美しい」「欲しい情報に辿り着きやすい」「読み込みが速い」など、使いやすさやわかりやすさだけにとどまらず、いかにユーザーがやりたいことを心地よく実現できるかを追求するのがUXの概念です。
Webデザイナーはこれらの概念を理解し、ユーザーの視点に立ったWebサイトをデザイン・設計するのが役割です。
Webデザイナーの働き方は、大きく分けて3パターンあります。1つめが自社のWebサイトのデザインを行う社内Webデザイナー、2つめがクライアントのWebサイトを作成する制作会社のWebデザイナー、3つめがフリーランスのWebデザイナーです。また自社のページを作るのか、クライアントのページを作るのかによって、業務範囲は変わってきます。
自社サイトやクライアントサイトなどのWebページをデザインし、制作する仕事です。仕事内容は主に4つのプロセスに分かれます。
ヒアリングは上流工程になるので、基本的にはWebディレクターが行いますが、小規模な企業ではWebデザイナーが担当することもあります。
デザイン設計の前に欠かせないのが「ヒアリング」です。Webデザイナーはビジュアルの良いデザインを設計することも大切ですが、最も重要なのがクライアントが持つ課題を解決するデザインの設計です。
そのため、まずはじめにクライアントからデザインの要望をヒアリングをしながら、クライアントと認識の一致をさせておく必要があります。ヒアリング内容は主にターゲット層やコンセプト、期待する効果、理想のデザイン像です。
マーケティング戦略に基づき、ユーザー体験(UX)の課題や画面デザイン、操作性(UI)などを考慮して、全体の構成やレイアウト、イメージを設計します。
①で設計した全体の世界観に沿って、色合いや装飾、ロゴやフォントなどを決め、Webサイトのデザインを作ります。グラフィックソフトなどのツールを使い、必要な素材を加工しながら制作を進めます。
Web上で設計通りにサイトが表示されるように、HTMLやCSS、JavaScriptなどの言語を使ってコーディングを行います。
仕事を進める際は、WebプロデューサーやWebディレクター、エンジニア、社内マーケター、クライアント担当などさまざまな立場の人と連携しながら、情報共有や方向性のすり合せを行います。Webサイトのリリース日や納期を目指し、スケジュールに沿って遅延がないように進捗管理するのも大事な仕事です。特にクライアントサイトは、顧客との契約に基づく案件になるため納期遵守が原則で、より厳密な進捗管理が求められます。
また自社サイトの場合は、リリース後もデザインの修正を重ねながらさらに効果を高めていく作業が発生しますが、クライアントサイトの場合は、リリースまで対応して終了になるケースもあります。どちらのサイトかによって、Webデザイナーが手がける業務範囲や役割に違いがあることを知っておきましょう。
Webデザイナーに必要なスキルには、「最低限求められるスキル」と「自分の市場価値を高めるスキル」があります。前者はWebデザイナーとして業務を進める上で必ず求められるスキルです。後者はある程度の経験を積んだWebデザイナーが、よりレベルの高い仕事をするために必要となります。
デザインの作成や素材の加工には、PhotoshopやIllustratorなどのツールを使用します。またWeb上で設計したデザインをサイトとして正しく表示するには、HTMLやCSS、JavaScriptなどの言語を身につける必要があります。
Webサイトを制作する過程では、WebディレクターやWebプロデューサー、クライアントなどさまざまな関係者との連携が数多く発生します。それぞれの相手からWebデザイナーへの要望をヒアリングし、サイトのデザインについて方向性やイメージをすり合わせて、関係者を巻き込みながら制作のプロセスを進めていく力が必須です。
多くの関係者と連携するため、時には予想外の作業が発生したり、急に追加の要望が持ち込まれることもあります。その際も臨機応変に調整や交渉を行いながら、決められた納期に合わせて進捗を管理できる能力が必要不可欠です。
すでに説明した通り、近年はUI/UXを意識したWebサイト作りが求められており、今後ますます需要が高まることが確実です。「UI/UXデザイナー」として実務をこなした経験やユーザー視点を持っていれば、採用市場でも高く評価されます。
Webサイトの制作はマーケティング施策の一部であり、より多くのユーザーを呼び込むことが目的です。マーケティングの知識があり、SEOを考慮してサイトを設計できるWebデザイナーは、企業の利益に貢献できる人材として高いニーズがあります。
サイト構築やカスタマイズを行うのは、フロントエンドのエンジニアです。フロントエンド開発に必要な言語やフレームワークなどの技術を備えていれば、活躍の場が広がります。
リーダーやマネジメント層になると、Webサイトの作成にもコスト感覚を求められます。ROI(投資収益率)などの指標を理解し、収益化を目指してできるだけ投資対効果の高いサイトを作成する意識が求められます。
Webデザイナーのキャリアパスの一つとして挙げられるのが、Webディレクターです。主にWebサイトの企画立案や制作、運用における責任者となるため、年収アップが期待できます。
Webディレクターは全体の進行管理などを担うことから、マネジメントスキルは必要な素養といえるでしょう。マネジメントスキルを養うには、日ごろの業務で相手の立場や第3者視点で思考をしたり、傾聴力を高めることを意識するのがおすすめです。
【Webディレクターについて詳しくはこちら↓】
Webデザイナーの一般的なキャリアパスとしては、次のようなものが挙げられます。それぞれのキャリアパスで得られるメリットや必要とされるスキル・経験などを理解した上で、自分に合ったキャリアパスを描くといいでしょう。
Webサイトの作成やその後の運用にあたり、プロジェクト全体の進行やスケジュールを管理するのがWebディレクターやWebプロデューサーです。Webデザイナーへの指示出しや調整作業が多いため、デザイン業務を経験した人なら活躍しやすい職種と言えます。
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Webデザイナーのスキルを高めると、活躍の場が広がります。制作会社のWebデザイナーが事業会社へ転職したり、反対に事業会社のWebデザイナーが制作会社に転職する選択肢も生まれます。
制作会社で働くメリットは、さまざまな業界や企業、サービスやプロダクトに関わりながら、デザインの幅を広げられることです。一方、事業会社で働くメリットは、ひとつの事業体の中でWebサイトが生み出す効果や利益を追求でき、昇進すれば役職がついて組織を統括するキャリアが拓けることなどが挙げられます。
Webデザイナーとして専門性を追求しつつ、活躍の場を変えることで仕事の方向性を転換するのもキャリアパスの一つです。
最近はフリーランスで活躍するWebデザイナーが増えています。経験とスキルがあれば、組織に属さなくても自分のスタイルに合わせて仕事を請けながら働いていくことが可能です。ただし個人事業主として独立すると、自力で顧客獲得に動かなくてはならなかったり、自分自身でスケジュール管理をする力や経理・会計など最低限の業務知識も求められることは知っておく必要があります。
パソコンやスマートフォンが必需品となった今の時代、インターネット広告市場は毎年2桁成長を続けています。Webデザイナーの需要は高く、求人数も増加傾向です。ただし未経験の募集は少なく、経験者の求人が中心となっています。
現在、転職市場で注目度が高まっているのは、やはりUI/UXに関するスキルや経験です。現在はUI/UXの両方、もしくはUIを求める求人が目立ちますが、これからUXに秀でたWebデザイナーが増えれば、UX単独での求人も増えることが予想されます。
また、5G時代になって動画コンテンツの人気がますます高まっていることを受け、Webデザインに加えて、動画も扱えるマルチな人材が重宝されています。
新たな注目職種としては、「アートディレクター」の求人も増えています。デザイン全般に関するディレクションを担当する職種で、企業の世界観やコンセプトを明確化し、クリエイティブに反映させる仕事です。最近はWebサイトにおけるデザインの重要性が見直される傾向にあり、それを反映した動きと言えるでしょう。
転職で成功するには、まず前提として、企業がWebデザイナーにどのようなスキルや経験を求めているのかを理解する必要があります。
ツールの発達などにより、最近は素人でもWebデザインにチャレンジしやすく、技術的に見ればWebサイトの制作は以前より簡単になりつつあります。制作課程についてもYouTubeなどを見れば情報を入手できるため、あとは専門知識がなくてもホームページを作成できるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を使えば、それなりのものが作れてしまいます。
よって企業に求められる人材になるには、単に「Webサイトを作る人」ではなく、「Webサイトを収益化できる人」になる必要があります。企業が欲しがっているのは、確実に効果を出せるWebデザイナーです。そのためには、制作スキルに加えて、前述した「自分の市場価値を高めるスキル」のいずれかを掛け合わせて身につけるといいでしょう。
「効果を出せるWebデザイナー」=「制作スキル」×「自分の市場価値を高めるスキル(以下のいずれか)」
また、制作過程の上流から下流まで精通している人は重宝されます。以下の5つのプロセスに関する経験やスキルを身につければ、企業からの評価はさらに高まります。
上記を踏まえた上で、Webデザイナーが転職に成功するためのポイントは次の通りです。
企業の求める人材像や仕事内容、スキルを理解した上で、応募企業に入社したら自分の強みや経験をどのように活かせるのかを伝えることが必要です。強みや経験は、具体的なエピソード(これまでの仕事で工夫したこと、苦労したこと、どうやって乗り越えたか)と合わせて伝えることが重要です。
強みや経験を伝える際は、実績も忘れずに伝えてください。先ほども説明したように、企業は「効果を出せるWebデザイナー」を求めています。自分が過去に制作したWebサイトによって、どれだけのバリューを発揮できたのかを数字とともに説明すれば効果的なアピールになります。
Webデザインの世界はトレンドや技術の移り変わりが早いので、それらをキャッチアップする力が重要です。企業に求められる人材になるには、常にアンテナを張り、流行のデザインやマーケティングのトレンド情報を得て、それらを吸収すべく自己研鑽を続ける努力が欠かせません。
また自己研鑽は、職務経歴書の自己PRにもかけるので自己研鑽エピソードがある人は積極的にいれましょう。
面接では、応募企業のWebサイトに対して意見を求められることがあります。 事前に企業や商品・サービスに関するホームページを確認し、良い点と改善点の両方の意見を用意しておくといいでしょう。
Webデザイナーには、制作に必要な技術に加えて、さまざまなスキルが求められます。転職を考えているなら、企業がWebデザイナーに何を求めているかを理解し、それらを身につけるための経験を積んだり、自己学習をしたりすることが大事です。転職で成功するポイントを知って、自分が目指すキャリアを実現しましょう。
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