未経験でコンサルティングファームへ転職するための全知識

最終更新 : 2018.6.6

未経験でコンサルティングファームへ転職するための全知識のイメージ-type転職エージェント

未経験でコンサルタントを目指す方必見。
いまさら聞けないコンサルティングファームの種類や転職傾向、採用のポイントや将来のキャリアまで、すべてご説明します。

この記事の監修者
監修者の中嶋 千博

中嶋 千博エキスパートキャリアアドバイザー

航空会社で客室乗務員を経験した後、人生の重要な転機に関われるキャリアアドバイザーに魅力を感じ、「type転職エージェント」へ。 以来IT領域専任のキャリアアドバイザーとして12年にわたり転職希望者をサポート。卓越したIT領域のマーケット知識とインプットされた転職ノウハウを武器に、 転職希望者と並走するパートナーとして新しいキャリアの可能性を提案し続けている。 監修者プロフィールを詳しく見る >>

未経験でコンサルタントを採用する理由

未経験でコンサルタントを目指す人のイメージ"-type転職エージェント"

IDC Japanによると、ビジネスコンサルティング市場の市場規模は年々拡大しており、2016年の支出額は、前年比7.0%増の3,625億円と特に高い成長を遂げています。デジタルトランスフォーメーション(※1)の支援を中心とした高い需要が継続し、それに伴いコンサルティングファームでは空前の人材不足が発生。これを補うために、未経験者のポテンシャル採用を含めた積極的な採用活動が継続されています。

(※1) デジタルトランスフォーメーション

企業のデジタルテクノロジーの導入により既存のビジネスモデルや様々な業務を新しい形に変えること。
有名な事例では、Amazon.comが書籍ネット販売ビジネスを展開し書店での購入からデジタル環境での便利な購買環境を作った例などがあります。

また、コンサルタントの仕事は<クライアントの収益向上(改善)>がメイン。
そのため、企業がポテンシャル採用者に期待することとして、問題解決のためのロジカルシンキングや、クライアントやベンダーを動かすコミュニケーション能力が重要視される傾向があります。
合わせて経営者と対峙する職種であることから、大卒(大手ファームであれば有名大卒)であることも必須要件であることが多いです。

コンサルティングファームの種類

コンサルタントの種類を表すイメージ"-type転職エージェント"

大きくは、戦略系、総合系、IT系、その他に分かれます。それぞれについて具体的にご説明します。

戦略系ファーム

企業全体に関わる経営課題の調査・解決、及び事業成功のための方針立案・遂行を行うコンサルティングファーム。
具体的にはM&A戦略、グループ経営戦略、経営課題を解決するための戦略策定、市場参入戦略、新規事業戦略、新製品開発戦略、人事戦略、マーケティング戦略、IT戦略など多岐に渡ります。
採用されるターゲットは思考・基礎力を測る指針の1つとして有名大学の卒業歴を求めることも多く、入社難易度の高い企業群です。
(例:マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、A.T. カーニー等)

総合系ファーム

あらゆるインダストリーのクライアントに対して幅広いサービスを提供する、比較的規模の大きなコンサルティングファーム。
大手会計事務所(監査法人)を母体としていることが多いため、財務・金融に関する専門知識や経験を保有しています。扱う案件が多岐に渡るため、インダストリー(金融、製造、公共等)ごとの業界別チームと、戦略、会計、人事、SCMなどの機能別チームに通常大きく区別されています。
(例:PwCコンサルティング、デロイト トーマツ コンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング、アビームコンサルティング等)

IT系ファーム

本来の業務として、ハードウェアの製造やITシステムの設計・構築を行ってきた企業が、ITの技術革新に伴い、経営コンサルティグを行うようになった背景を持つコンサルティングファーム。
IT戦略、ERP、CRM、SCMの導入によるクライアントの業務改善・利益向上など、システムを絡めたコンサルティングを得意としています。
(例:アクセンチュア、IBM、フューチャーアーキテクト、ベイカレント・コンサルティング等)

エンジニアの転職傾向

ITエンジニアが採用されるコンサル領域としては、やはりITのバックグラウンドを生かせるIT系ファームが多い状況です。
未経験でもシステムの知見を生かすことができ、作るフェーズから提案するフェーズへのキャリアアップを実現することができます。

また、IT系は技術があれば学歴をあまり気にしないチームを持つところもあり、アクセンチュア、アビームコンサルティング、フューチャーアーキテクト、ベイカレント・コンサルティング、ビジョン・コンサルティングなどのITを用いた業務改善・収益向上を得意とするファームはエンジニアの転職には現在非常にチャンスがある企業です。

システムの新規導入だけではなく、運用やアウトソーシング事業などもコンサルティングファームでは非常に増えている事業であり、また、よく大手ファームなどで言われる(※2)Up or Outの環境も、技術を大事にするIT系ファームでは減りつつある印象です。

(※2) Up or Out

「昇進するか、退職するか」という意味。出世しなくても仕事を与えられる環境とは異なり、その生き残りの厳しさを表す言葉。

コンサルタントの転職難易度

コンサルタントの難易度を表すイメージ"-type転職エージェント"

コンサルティングファームの採用活動は、何らかの職務経歴のある方を中途採用するパターンが一般的であるため、ざっくり言うと8割程度は未経験者となっております。

これには理由があり、コンサルタント自体が様々な企業の課題解決を目的としているため、過去の経験・知識を生かせるという点で中途採用がメインとなっているためです。

もちろん、ファームからファームへの経験者の転職事例は非常に多くありますが、課題解決のための論理的思考・コミュニケーション力等の素養があり、生かすことのできる経験があれば未経験でも採用のチャンスは多くあります。
ただ、誰でもいけるようなものではなく、比較的転職難易度は高い傾向があります。

では、未経験からコンサルタントに転職した方の特徴とは何か。一般的に以下4つの要素があると言えます。

年齢

ほとんどは社会人3~10年目前後での採用です。
若手であれば、最低2年程度の社会人経験が必要であり、短すぎてもいけません。

高い専門知識(金融等の業界、M&A等の業種)があれば30代半ばで初めてコンサルタントに転身する方も稀におりますが、40代~50代の方が全くの未経験で採用されるケースはほぼ無いと言っていいでしょう。

理由としては、コンサルティング業界は非常に人事評価がシビアであり、逆に優秀な方であれば20代~30代のうちに責任あるポジションに昇進することも少なくないため、30代後半以降で初めてコンサルとなり、そのような優秀な部下をコントロールするということは現実的ではないためです。

学歴

基本的には大卒マスト。
稀にITコンサル系にて不問の企業もありますが、ほぼ大卒以上を求められる傾向にあります。

理由としては、対峙する相手がほぼ経営者層であり学歴を気にするレイヤーである可能性が高いこと、また、コンサルタントはプロジェクトベースで企業の業界や競合情報・市場感など膨大な知識を自ら吸収し、更に課題解決提案を行う必要があるため、相応の能力が必要とされるためです。

学歴から透けて見える能力や努力を継続する精神力などから、適正があると判断される職種と言えるでしょう。
また、戦略系や総合系の大手ファームであればあるほど、有名な上位校の方が採用される傾向にあります。

社歴

学歴ほどは見られませんが、比較的大手企業や一定以上の規模の企業に勤めていた方が多い傾向があります。

理由としては、コンサルを利用するクライアントは上場企業をはじめとした大手企業が中心であり、案件によっては数千万、数億規模のものが大半。コンサルタントは、その案件を担当するの 一流企業 と対峙していく必要があります。
そのため、同等の世界で活躍をされていた、同様の担当者と接点を持っていた、など クライアントに近い立場で仕事を経験されていた方が、親和性があり理解も早いと考えられています。

経験・能力

金融、製造、公共機関等の専門知識がある方や、IT系であれば、SAP等のパッケージ導入の経験、Oracleの認定資格を保有しているなど、いずれにせよ専門分野がある方は、コンサルタントとしての素養があると判断されることが多いです。

また、グローバル案件の増加に伴い、資格よりも英語力を重要視しているファームも非常に増えています。
目安としてはTOEIC700~800点レベルですので、コンサルタントを目指す方は英語力を磨いておくことをお勧めします。

  • ◆まとめ-未経験でコンサルに転職できる特徴4つ-
  • ・年齢:社会人3~10年目前後での採用
  • ・学歴:基本的には大卒マスト
  • ・社歴:比較的大手企業や一定以上の規模の企業に勤めていた方
  • ・経験・能力:専門分野の知識がある、TOEIC700点以上の英語力がある

コンサルタントのキャリアパス

コンサルタントのキャリアパスのイメージ"-type転職エージェント"

コンサルタントの代表的なキャリアパスとしては、
①プロフェッショナルとしてファームの上位職に就く
②事業会社への転職
③起業する
などがあります。

プロフェッショナルとしてファームの上位職(プリンシパルやマネージャー等)に付き、専門性を高め、更なる大きな案件を受注していく方や、大手企業の役員として引っ張られる・事業会社の社内SEや事業企画として活躍する方、様々な人脈を利用し自ら起業をする方なども少なくありません。

いずれにせよ、経営者層に対峙するコンサル職を目指すことは、非常に大きなキャリアの可能性を切り開くことができると言えるでしょう。

【転職失敗事例】エンジニアからITコンサルタントへ転職したものの…

コンサルタントへの転職に失敗した人のイメージ"-type転職エージェント"

そんなコンサルタントへの転職も失敗してしまう方が稀におります。

年収が高くキャリアパスの広がる世界ではありますが、それと同時にSEとは全く別のものを求められる世界であるということや、企業によっても特色があり、入社後のキャリアや働き方が変わってくることは理解しておくべきでしょう。
ここで、過去転職を失敗してしまった方々のケースをお話します。

業務内容にギャップを感じてしまったAさんのケース

不満な人のイメージ-type転職エージェント

Aさんは中堅SIerに勤める27歳。
同期の中では早々とプロジェクトリーダーを任されるなど、社内でも活躍が目覚しく、クライアントからも信頼され順風満帆な社会人生活を送っていました。

Aさんの転機は、とあるプロジェクトにて某コンサルティングファームのコンサルタントX氏に出会うことから始まります。
クライアントの難しい要求に対し様々な提案を行い、

Aさんの所属チームへも的確な指示を出すX氏。コミュニケーションひとつ取っても非常に尊敬でき、自身の更に上を行く考えを持っていました。

彼が元々SI出身ということを聞き、AさんもX氏のようなコンサルタントになりたいと思い転職活動を開始。
元々英語も得意であったため、見事大手ファームに合格されました。
他にもIT系の中堅コンサルにも内定を取っていたのですが、そのときは大手の看板に惹かれ、非常に嬉しい気持ちがあり、業務イメージも曖昧なまま入社をされました。

実際入社してみると、その企業では若手社員に関しては採用時にプロジェクトが決まっておらず、アサインについては適正が考慮されることもありますが、プロジェクトの人員不足状況で左右される場合もあり、その上最初のアサイン案件でキャリアが決まってしまう、言わば運しだいなチームでありました。

そしてAさんがアサインされた業務はSAPの運用案件。数年頑張りましたが、X氏のような顧客への提案などをバリバリとこなすイメージでコンサルを目指したはずのAさんは、やりがいを見失い、1年後再度転職活動を開始。
ただ、1社目の頃とは異なり、短期離職を指摘され、書類も中々通らず転職活動が難航。やっと内定が取れたSIerに再度転職されたのでした。

このパターンはよくあるお話で、ご自身のみの判断基準で転職先を決めてしまったため、実際にどのようなアサイン状況なのか、ご自身に合う企業はどんな企業であるのかを理解しきれないまま転職し、失敗してしまったパターンです。

いくら大手に就職できたとしても、潰しのきかない案件は山ほどあります。そこで失敗しないためにも、客観的な意見や有識者(エージェントなど)の話を聞いたうえでの慎重な転職活動が大事です。

Up or Outの環境に耐えられなくなってしまったBさんのケース

困っている人のイメージ-type転職エージェント

Bさんは大手SIerで活躍する32歳。
入社以来保険領域を専門に担当しており、大きな金額の案件にてプロジェクトマネージャーとして多忙な日々を送っていました。
忙しくともチームのメンバーやお客様に頼りにされ、やりがいを持って仕事をしていました。

そんな中、大学の友人が大手コンサルティングファームへ入社。

年俸が上がった話を聞き、現職でやりきった自負もあったBさんは、最近結婚したこともあり収入アップを希望して某コンサルティングファームに転職されました。

ですが、入社後すぐに大規模なプロジェクトへアサインになったBさんは、その環境にカルチャーショックを受けてしまいます。
常に意見を求められ、提案するもアウトプットの仕方や知識面で年下のメンバーに引け目を感じ、中々うまくいきません。

必死に追いつこうと日々書籍を読み勉強しましたが、今までの人生で出会わなかったような、どうしても勝てない優秀な人がたくさんいる環境に次第に自信を失ってしまいました。

負けず嫌いの性格もあるため、なんとか追いつこうと努力もしましたが、毎日の終電までの業務もあり、中々自分の時間も取れない日々が続き、体力的にも限界を感じたため、約2年間勤めた後再度ご転職されたのでした。

コンサル業界でよく言われるUp or Outの環境・ハードワークはやはり覚悟をする必要があるかと思います。

一方で、現在はIT系のコンサルティング企業で社風が比較的やわらかいところや、ワークライフバランスがとりやすい新興企業も増えておりますので、企業の内情や社風を知った上でご転職を希望される方はエージェントなどのご利用をお勧めいたします。公開しないためにも、情報収集は非常に大事です。

面接で見られるポイント

コンサルタントの面接のイメージ"-type転職エージェント"

最重要視されるポイントは、転職理由及び論理的思考・対話力です。

転職理由

「なぜコンサルタントになりたいのか」を非常に重要視します。
未経験の場合、「これまでの経験から、コンサルタントの仕事に興味を持った背景」及び、「これまでの経験で培った能力が生かせる」という2点を含む必要があります。

よって、ポイントは
①これまでに携わった仕事
②そこで直面した課題と自身で考え実行した解決策
③その成果
④そこから今後生かせると考えられる自身の強み
の4点を元に転職理由をお伝えしましょう。

論理的思考・対話力

大手企業の幹部が対峙する課題に対して、短期間で有効な解を提案するためには、高いレベルの論理的思考や発想力、そしてそれを提案する際の対話力が必要とされます。

ケース面接を実施し、全体明確化した上で、仮説ベースで何が本質的な問題なのかを絞り込み、解決策を考えるというプロセスを回せるかどうかなどを見ている場合もあります。

入社後のキャッチアップ、実際の働き方について

コンサルタントとして働く人のイメージ"-type転職エージェント"

未経験者の場合、まずは基本研修を受けることが一般的です。企業によっても異なりますが、ロジカルシンキングや仮説思考、レジュメの作成方法などのコンサルタントとしての基本を数週間かけて学びます。

その後、プロジェクトに入り、情報収集や分析業務、資料作成などのコンサルタントとしての基本のタスクを与えられることが多いです。
一見地味で大変な作業が多いように思えますが、コンサルタントとしての基礎を作るために非常に大事な経験となります。昇進については明確ではありませんが、一般的に2~3年で昇進することが多いようです。

コンサルタントの働き方については、作業量や学ぶべきことが非常に多く忙しい傾向があります。
だからこそ効率よく仕事を進める力が自然と身に付くこともあり、忙しい中での自己管理ができることもコンサルタントとして問われる能力の1つとも言えます。ワークライフバランスを求める方には向かない職種ですが、逆に自身の市場価値を非常に高めることのできる職種と言えるでしょう。

まとめ・迷ったらプロに相談してみるという手も

コンサルタントという職種についてご紹介してきましたが、ここで述べていることはあくまでも一般論です。
様々な転職事例がありますが、ご自身の置かれている環境や経験、ご志向によってたくさんの可能性があると言えるでしょう。

未経験者採用も引き続き需要がありますので、興味があるが一歩踏み出せない、何からはじめたらいいのか分からない、という方は、まずはエージェントに相談してみることをお勧めします。

弊社キャリアデザインセンターtype転職エージェントにも、未経験・経験者問わずコンサルタントの転職成功例が数多くございますので、ご興味があれば、1度ご相談をお勧めいたします。

まとめ

◆転職市場:ビジネスコンサルティングの市場規模は年々拡大しており、未経験者含め積極採用が続いている。

◆コンサルティングファームは主に3種類に分類される

◆転職難易度:8割程度は未経験者だが、難易度は比較的高い。
・年齢:社会人3~10年目前後での採用
・学歴:基本的には大卒マスト
・社歴:比較的大手企業や一定以上の規模の企業に勤めていた方
・経験・能力:専門分野の知識がある、TOEIC700点以上の英語力がある

◆キャリアパス
下記が代表的。
・プロフェッショナルとしてファームの上位職に就く
・事業会社への転職
・起業する

◆よくある転職失敗事例
・自己判断してしまい、案件や環境の理解が浅いまま転職を決めてしまう
・その企業の社風、働き方のハードさを理解せず入社を決めてしまう

◆面接のポイント
・転職理由(課題解決したエピソード、その成果、強み)
・論理的思考力

◆入社後のキャッチアップ
・まずは基本研修(数週間)
・プロジェクトに入り、情報収集や分析業務、資料作成などのコンサルタントとしての基本のタスク(2~3年)
効率よく仕事を進める力が自然と身に付くため、市場価値を非常に高めることができる。

◆まとめ
思考に合わせた企業選びが必須となるため、エージェント等プロへ相談することをおすすめします。

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