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最終更新日 :2023.2.10
「転職を成功させるために、市場価値を高めたい」。しかし、そもそも市場価値とは何なのか、どのように測ればいいのか、どうやって高めればいいのかなど、わからないことも多いのではないでしょうか。そこで本記事では、市場価値の定義から市場価値を決める要素、自分の市場価値を測る方法や具体的な高め方まで、詳しく解説します。
檀上 悠一キャリアアドバイザー部 部長
営業職の転職支援を中心にキャリアアドバイザーとして従事。現在は営業職や販売・サービス職の転職支援を行うキャリアアドバイザー部の部長。第二新卒向けの面接対策や、女性の転職支援にも強い。転職市場において「市場価値が高い」とは、「企業が求める能力を持ち合わせていること」を意味します。「専門性が高い」という意味だと思っている人も多いのですが、それだけでは必ずしも市場価値が高いとは言えません。いくら専門性が高くても、その能力を求める企業が少なければ、市場価値は低くなります。
市場価値は、需要と供給のバランスで決まります。転職市場では、「需要=企業が求める経験やスキル」「供給=企業が求める経験やスキルを備えた求職者の数」を指します。ビジネス環境や手掛ける事業が変われば、企業が求める経験やスキルは変わります。また景気動向や雇用情勢が変化すれば、求職者の数も増減します。つまり市場価値とは固定されているものではなく、常に変化していくものだということです。
よって転職活動をする際は、「応募する企業が求める経験やスキルは何か」を理解し、自分にその能力があるかを把握することが重要です。特に自分と同年代の人材に対して、企業がどのような経験を求めているかを知ることが、自分の市場価値を測るための第一歩となります。
ハーバード大学教授のロバート・カッツが提唱した「カッツの3能力」によれば、仕事で求められるビジネススキルは以下の3つに分類されます。
日本語で言い換えると「業務遂行能力」のこと。担当業務を行なうのに必要な技術や知識を指します。例えば、会計や経理を担当する人にとっては、経理や財務の知識が業務遂行能力に該当します。
「対人関係能力」のこと。他者と関係を築くために必要なスキルであり、チームの一員として周囲と協力しながら働くために重要な能力です。上司や同僚と円滑に意思疎通するためのコミュニケーション能力、顧客や他部署と関係を作るための交渉力・調整力などが含まれます。
日本語に直訳すると「概念化能力」です。わかりやすく言えば「本質を把握する力」のこと。物事を概念化し、抽象化して捉える能力です。例えば、一見すると自社とは全く関係がなさそうな出来事を、より高い視点から俯瞰的・体系的に捉えて、「この部分は自社のビジネスにも共通するので、自分のチームの仕事にも活かせるのではないか」と応用できる人は、概念化能力が高いと言えます。
以上の3つの能力は、「ポータブルスキル」に該当します。厚生労働省は、ポータブルスキルを「業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力」と定義しています。これはどのような仕事に就き、どの企業で働くとしても大切なスキルであり、組織で働く上で重要となる能力です。
転職市場における市場価値は、「3つの能力」×「業界・職種」×「年齢(経験)」の掛け合わせで決まります。例えば「自分は経理に必要な業務遂行能力がある」という場合も、「どの業界で働くのか」「どれくらいの難易度の業務を担える経験があるか」によって、その人の市場価値は変わります。「基礎的な経理処理ができる20代」を求める企業が多いのか、「マネジメントもできる30代の経理経験者」を求める企業が多いのか、さらには経理の求人を出している企業はどの業界に多いのかによって、転職市場の需要が変動するためです。
よって自分の市場価値を測るときは、スキルや経験だけでなく、転職を希望する業界・職種、業務の難易度といった要素も考慮する必要があります。
市場価値を決めるベースとなるのは、先ほど挙げた「3つの能力」です。では「市場価値が高い」と評価される人材になるには、これらの能力をどのように身につけ、どのような場面で発揮できることが求められるのでしょうか。それぞれの能力について、市場価値を高めるポイントを解説します。
現在は業務の体系化や細分化が進み、一人が担当する業務範囲は狭くなりつつあります。それに伴い、以前よりも短い期間で、自分の担当業務の遂行に必要なテクニカルスキルを向上させることが可能になりました。かつてジャーナリストのマルコム・グラッドウェル氏は著作の中で「ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、1万時間の練習・努力・学習が必要である」とする「1万時間の法則」を提唱しましたが、今の時代には当てはまらなくなっています。
1つのテクニカルスキルを習得する時間が短縮された結果、同じ知識や技術を身につけた人材が転職市場に多数存在するようになりました。つまり単独のテクニカルスキルを持っているだけでは、希少性は高くないということ。よって今の時代は、複数のテクニカルスキルを掛け合わせて使える人材の価値が高まっています。しかも特定の会社や業務だけでしか使えないスキルではなく、他の会社や業務でも転用できる可能性が高いスキルを身につけることで、掛け合わせの価値はさらに高まります。
自分の市場価値を高めるには、汎用性の高いテクニカルスキルを複数身につけ、必要に応じて適切に掛け合わせて使う能力を磨いていくといいでしょう。
職場の多様化が進んだ今、自分とは年齢やバックグラウンドが異なる人たちと仕事をする機会はますます増えています。リモートワークや在宅勤務の導入が進み、同じ会社の社員同士が別々の場所で働く時間が増えるなど、就業場所や働き方も多様化しています。よってこれからは、自分とは異なる価値観や相手が置かれている立場を尊重しながら、スムーズに仕事を進める能力がより一層求められます。
特に組織を動かすマネジメントの立場になると、業務範囲が広がり裁量も大きくなって、自分の部署だけでなく、利害関係のある他部署との調整や折衝を行なう場面も多くなります。そこで必要となるのが、部署間調整力です。自分の部署のニーズやメリットだけを主張するのではなく、各部門の違いやお互いの利害を把握し、会社全体の仕事が円滑に進むよう調整するスキルが求められます。
多様性を尊重する思考や視点を養い、立場の違いを超えて協働できるだけのヒューマンスキルを身につけることが、自分の市場価値を高める必須条件と言えるでしょう。
コンセプチュアルスキルとは「本質を把握する力」だと説明しましたが、これはどの業界や職種でも必要とされる能力です。特に営業職は、クライアントの課題を本質的に理解し、解決策を提案できるスキルが求められます。
本質を捉えて課題を解決するには、数字やファクトに基づき論理的に考えるロジカルシンキングや、経験や常識に縛られず自由な発想ができるラテラルシンキング、目の前の問題を批判的に分析するクリティカルシンキングなど、多角的な思考が必要となります。なかでも論理的に考える力は、社内外の人間を動かすためには不可欠な能力です。他人を動かすには、筋道を立てて物事を説明し、相手を納得させるだけのロジックが必要になるからです。
営業職は人が相手の仕事なので、ヒューマンスキルさえ磨けば成果を出せると思われがちですが、市場価値の高い人材になるには、ロジックを使いこなして課題を解決するコンセプチュアルスキルを養うことが求められます。
今後、市場価値が高まるのは、環境の変化に柔軟に対応できる能力を持った人材です。現在はVUCA時代と言われます。これは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった造語で、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている状態を意味します。
近年は、リーマンショックやコロナ禍など、社会的インパクトを伴う予期せぬ出来事が次々に起こっています。また、スマートフォンの登場やAI・デジタル技術の進歩など、テクノロジーの発展による環境変化も加速しています。この状況下で成果を出せる人材になるには、変化に対応できる柔軟性を備えていることが必須です。
特にこれまでIT化が進んでいなかった業界では、既存事業にテクノロジーを掛け合わせた新たなビジネスモデルを展開する技術主導型の企業が登場し、業界全体にパラダイムシフトが起こるケースが続出しています。「小売×テック」からECビジネスが生まれ、「飲食×テック」からUberEatsなどのフードデリバリーサービスが誕生したのは、その代表例です。
パラダイムシフトが起これば、ビジネスのルールは変わります。その際、新しいやり方に順応して成果を出せる人材は、市場価値が高いと言えます。変化が起きた時に、従来の手法や古い慣習にとらわれず、即座に切り替えて目の前の状況に適応できる思考やマインドを身につけることが重要です。
自分の市場価値は、社内の他の人たちと比較するだけでは測れません。社内で評価されている経験やスキルは、社外でも需要があるのか。また、他の会社でも転用できるのか。この2点を意識する必要があります。
企業によって多少の差はあるものの、一般的に業界や職種、年齢によって、求められるスキルや経験は共通しています。例えば年齢別なら、20代中盤までは「個人での成功体験」が求められ、30代前半までは「リーダー経験など『個人+α』の成功体験」が、30代半ば以降は「マネジメント経験」が求められます。自分の市場価値を測るには、まずはこうした一般的なニーズと自分が持つスキルや経験を照らし合わせてみるといいでしょう。
その上で、次のような方法も試してみることをおすすめします。
業界内での自分の市場価値を知りたい時は、業界の標準年収が一つの基準になります。自分と同じ業界・同年齢の標準年収を調べて、自分の年収と比較してみましょう。標準年収より高いか、低いかによって、自分の市場価値を測ることができます。
求人広告を見ていると、「業務拡大につき」というフレーズをよく目にします。企業が業務内容の拡大を理由に求人を出すということは、その業務を担うために必要なスキルや経験のニーズが転職市場で高まっている証拠です。
よってこうした求人の募集内容と、自分が持つスキルや経験がフィットすれば、自分の市場価値も高まっていると判断できます。求人サイトなどを見て、業務内容の拡大を理由とする求人をチェックし、企業のニーズに対して自分はどれくらいのスキルや経験を備えているか測ってみるといいでしょう。
転職サイトに登録すると、スカウトやオファーを受けられるサービスがあります。それを利用し、「自分はどのような企業から必要とされているのか」「転職するなら想定年収はどれくらいか」などを知ることで、自分の市場価値を測ることができます。
自分の市場価値について、より確かな情報が欲しい場合は、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。転職エージェントは市場の動向に詳しいので、今ニーズの高い職種やスキルについて情報を提供してくれます。また、転職のプロが一緒にキャリアの棚卸しや自己分析を行い、市場のニーズと照らし合わせながら、転職やキャリアについてアドバイスをもらうこともできます。
自分一人で市場価値を測るのが難しいと感じたら、ぜひ転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
市場価値は普段の仕事の中で高めていくことが可能です。そのためには、次の2点を心がけてください。
市場価値を高めるには、前述した3つのスキルを身につけることが必要です。これらの能力は、実務を通じて高めていくことができます。
先ほども説明した通り、市場価値は需要と供給のバランスによって常に変動していくので、一度身につけたらそれで終わりにはなりません。「能力を高める→実務で成果を出す→実務経験を通じてさらに能力を高める」というステップを延々と繰り返す必要があります。
そのためには、PDCAやOODAループを意識し、日々改善を繰り返しながら成果を上げようとする習慣をつけなくてはいけません。PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(検証)」「Action(改善)」のサイクルを回しながら、継続的な業務の改善を行う手法です。OODAループは「Observe(観察)」「Orient(状況判断、方向づけ)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4つの頭文字をとったもので、迅速な意思決定と行動を実現するための手法です。
この2つの最大の違いは、PDCAが「計画を立ててから行動する」のに対し、OODAループは「状況を見てとりあえずやってみる」ところから始まる点です。例えば、既存事業の売上を伸ばしたい時は、「売上を前年比120%にする」などと計画を立て、PDCAサイクルを回していくやり方が有効です。一方で、新規事業を開発する場合など、過去の経験や実績に基づいた計画を立てるのが難しい時は、まず市場を観察し、状況に合わせて判断して柔軟に動くOODAループが向いています。
日々の仕事の中で常にPDCAやOODAループを意識し、実務で成果を上げながら能力を高めていけば、市場価値を高めることにつながるでしょう。
すでに説明した通り、市場価値が高い人材は、複数のポータブルスキルを持っています。日々の業務を通じて能力を高めていくことに加えて、新しいスキルや経験を身につけることも意識するといいでしょう。
先輩が担当している業務に必要なスキルを学んでみる、興味のある分野を独学する、セミナーに参加するなど、新しいスキルや経験に挑戦するきっかけは色々あります。何を学んでいいかわからない時は、自分の業務に近い求人を参考にしましょう。求人票には企業が求めるスキルや経験、人物像などが記載されているので、今の自分に足りない要素があれば、それが学ぶべきテーマになります。
それでも自分が何に挑戦すべきか判断がつかない場合は、転職エージェントに相談してみるといいでしょう。市場価値を高める方法についても、具体的なアドバイスや情報がもらえます。
昔は30歳までにリーダー、35歳までにマネジャーを経験すると市場価値が高まると言われましたが、現在は転職市場のニーズも多様化し、年齢で明確に区切るのは難しくなっています。ただし前述の通り、企業が求める年代別のスキルや経験はある程度共通しているので、今の自分は年代に見合った能力が身についているかを意識すれば、より前向きな気持ちで仕事に取り組めるでしょう。
ここからは、年代別に必要な経験とスキルを改めて紹介します。「市場価値を高めるには、何歳までにどのような経験を積み、どんなスキルを身につければいいか」を知るための参考にしてください。
なお営業職に限っては、上記の経験に加えて、成果の再現性を期待できる人材が求められています。成功体験があるのは前提として、その成功は何によって実現できたのかを理解し、定量的な数字や具体的な取り組みを挙げながら成功の理由を説明できれば、他の会社に転職しても同じ成果を再現できる人材だと評価されます。
ただし、1度や2度の成功体験では再現性があるとは見なされないことが多いので、転職の面接で企業側を納得させるには、ある程度の経験の回数や長さが必要になることを知っておきましょう。
周囲と円滑に仕事を進めるコミュニケーション能力は、社会人として基礎となるスキルであり、この土台がしっかりしていなければ市場価値を高めていくことはできません。普段の仕事で上司や先輩、顧客などと接する際は、どうすれば相手にわかりやすく伝わるか、連絡ミスや誤解のない正確な意思の疎通ができるかなどを意識して、コミュニケーション能力を磨いていきましょう。
この年代で市場価値が高い人材と評価されるには、一人前の業務ができて、なおかつ成功体験があることが条件です。仕事で成果を出し、成功体験を積み重ねるには、課題を解決する能力が不可欠です。さらには、考えた解決策を実行し、結果が出るまでやり遂げる業務遂行力も求められます。「市場価値を高める方法」の項目で紹介したPDCAやOODAループを意識し、日々の業務の中でこれらの能力を高めていくことが必要です。
30代で市場価値を高めるには、ヒューマンスキルを身につけることが重要となります。この年代は組織の運営に関わる仕事が増えるので、マネジメント能力や部署間調整力が必須です。個人としてはもちろん、チームとしてより大きな成果を出すことが求められる立場であることを意識しながら、これらのスキルを磨いていくことが大切です。
市場価値はさまざまな要素によって左右され、しかも需要と供給のバランスによって常に変動します。市場価値の高い人材になるには、その時々のニーズを把握し、企業が求めるスキルや経験を身につける必要があります。今の時代に求められるポータブルスキルをベースにしながら、変化に対応する柔軟性や年代別に期待されるスキルや経験を身につけて、自分の市場価値を高めていきましょう。
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