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最終更新 : 2023.8.9
契約社員は、雇用期間に定めがある雇用形態です。雇用期間は契約時に企業との協議で取り決めるため、途中で延長したり短縮したりすることはありません。期間満了を迎えると、更新または終了のいずれかを選択します。
契約社員の場合、「5年ルール」と呼ばれる制度が雇用期間に大きく影響します。本記事では5年ルールとはどのような制度なのか、契約社員の雇用期間にどのような影響があるのかを解説します。契約社員が5年ルールを利用するメリットや注意点も解説するので、ぜひ最後までお読みください。
河村 泰子キャリアアドバイザー部 部長
インテリア業界にて販売職として4年間従事。店長を勤める。自身の経験を活かした更なるステップアップを求め、type女性の転職エージェント キャリアアドバイザーへ転職。幅広い方のご支援を実現し、管理・コンサル・企画系職種のチーム立ち上げに携わり、現在では同部門のマネジメントとして活躍。細やかで丁寧な対応が強みとなっている。契約社員とは、雇用期間に定めがある労働者です。法律上では、有期契約労働者と言います。
契約社員の契約期間は、その企業で働き始める際に、労働時間や業務範囲などとあわせて取り決められます。例えば「雇用期間は1年、労働時間は6時間」「雇用期間は3年、労働時間は8時間」といった条件があります。
ただし、雇用期間の上限は法律で定められており、それを超えた期間の契約は結べません。労働基準法第十四条第一項では、一度の契約で働ける期間は最長3年または5年と定められています。
最長5年の契約は、厚生労働大臣が定める基準に該当する高度な専門的知識を有する職種に限られています。厚生労働大臣が定める主な該当職種は、次のとおりです。
雇用期間の満了を迎えると、更新または終了のいずれかを選択します。
契約社員が一度の契約で結べる雇用期間は、最長3年または5年という決まりがあります。同じ企業で働き続けたい場合は、契約期間が満了と共に更新が必要です。
契約社員側に更新の意思があっても、企業側の都合によって契約が終了になるケースもあります。契約社員には雇用が終了するリスクがあり、雇用期間に定めがない正社員に比べて不安定な側面があります。
このような問題を解消することを目的に創設されたのが、無期転換ルールです。無期転換の5年ルールとは、同じ会社で通算5年以上働いた場合に無期雇用に転換できる制度で、労働契約法の改正により、すでに2013年4月1日から施行されています。
無期転換ルールの対象者は、全ての有期雇用契約者です。有期雇用契約者には契約社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員なども含まれています。無期雇用に転換したい場合は、雇用契約を結んでいる会社に申し出る必要があります。
有期雇用契約者が無期雇用に転換する場合は、一定の要件を満たす必要があります。満たしていない要件が一つでもあると無期雇用に転換できないため、企業に申し出る前に確認しておくようにしましょう。
無期雇用に転換するには、同じ使用者との間での契約期間が通算で5年を超えていなければなりません。この期間は、通算契約期間と呼ばれています。通算契約期間が5年を超えると、労働者側には無期転換申込権が発生します。
無期転換申込権とは、会社側に無期雇用への転換を申し出できる権利です。。例えば契約期間が1年の場合、更新を繰り返して通算契約期間が5年を超えたタイミングで無期転換申込権が発生し、無期雇用への転換を申し出ることが可能になります。
前述したように、無期転換の5年ルールには「通算5年以上」の条件があるため、最初に5年で契約した場合、5年満了時に申込権が発生すると思われがちです。でも、実際は違います。なぜなら上記の条件の他に「1回以上更新をしている」ことも無期転換の申込条件に含まれるからです。
そのため、5年契約満了時に「更新しない」となった場合、無期転換の申込権は発生しません。もし、更新する場合は新しい契約期間が何年でも、すぐに申込権は発生します。このように、何年ごとに契約更新するかによって発生タイミングが代わるので注意をしましょう。
3つ目の条件は「同じ使用者と契約していること」です。同じ使用者とは、法人や個人事業主を指し、労働契約締結の法律上の主体で判断されます。
そのため、社内で部署の異動や勤務地の変更があっても、労働契約の締結主体に変更がなければ雇用は継続しているとみなされます。例えばA社のB工場とC工場で勤務した場合、通算5年超え、契約の更新回数が1回以上あれば、無期転換ルールの対象です。
契約社員の雇用期間は、最長で3年または5年です。労働者と使用者の双方が合意すれば、雇用期間が終了しても契約を更新することが可能です。ただし、労働者側に更新の意思があっても、使用者の都合で断られるケースもあります。
契約が更新できなかった場合は職を失い、何らかの雇用形態で新たな勤務先を探さなければなりません。契約社員は一定期間ごとに更新が必要なので、雇用が安定せず、常に不安を感じている人も少なくありません。
しかし、無期雇用に転換すれば雇用期間に定めがなくなるため、雇用が安定します。雇止めの不安から解消されるため、長期的なキャリア形成を図ることも可能です。
会社側と合意できなければ転職しなければなりません。職場が変わるとその都度仕事を覚えたり人間関係を構築したりする必要があります。
しかし、無期雇用に転換すると契約期間に縛りがなくなるため、同じ場所で長期間にわたって働けます。そのため、今の職場が気に入っており、今後も働き続けたいと考えている人には、無期雇用への転換がおすすめです。
最後に、今の会社に無期転換を申し出る際の注意点を紹介します。
無期雇用への転換を希望する場合は、労働者からの申し出が必要です。雇用期間や更新回数などの条件を満たしていても、自動的に切り替えられるわけではありません。
法律上では、口頭での申し出も有効ですが、口頭では会社側と言った言わないのトラブルに発展するリスクがあります。そのため、無期雇用への転換を申し出る際には、メールや書面でやり取りするようにしましょう。厚生労働省も、書面でのやり取りを推奨しています。
無期労働契約転換申込書や受理通知書のテンプレートは、厚生労働省の「無期転換ルールについて」のページからダウンロードできるため、ご活用ください。
無期雇用への転換は、通算契約期間が5年を超える契約期間の初日から末日までに申し出ることが可能です。
ただし、すでに契約期間の終了後に更新した場合でも、一定期間内であれば無期雇用への転換を申し出できます。更新後の申し出期間は、新たな雇用契約の初日から末日までです。この期間を過ぎると次回の契約を無期雇用に転換できません。特に契約期間が1年間の方は、申込期間も短いため、申込権が発生したら忘れないうちに、できるだけ早く申し出るようにしましょう。
無期雇用への転換を申し出るには、通算で5年を超える労働期間が必要です。契約の間に空白期間があっても、6カ月であれば通算契約期間としてカウントできます。雇用契約を結んでいない期間が6カ月以上ある場合は、通算契約期間のカウント対象外です。
6カ月以上の空白期間があると、それ以前の期間はカウントがリセット(クーリング)されます。その場合、現在の雇用契約を結んだ日から通算契約期間を一からカウントしなければなりません。
無期転換ルールは、雇用期間に定めのある有期雇用契約から無期雇用契約に切り替えられる制度です。雇用形態自体は変わらないため、正社員になれるわけではありません。
正社員になりたい場合は正社員登用制度を利用するのも一つの手でしょう。ただし、正社員登用制度がある会社でも、登用実績は高くないのが現状です。
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和5年2月)」によると、令和4年2月から1年間の正社員への登用実績は、正社員登用制度がある場合でも平均40%を切っていることがわかっています。
※出典元:厚生労働省「労働経済動向調査(令和5年2月)の概況」
正社員登用制度の利用を希望する場合は、勤務先に制度が設けられているか、登用実績はあるのかなどを確認しておくようにしましょう。
もし、今働いている会社に正社員登用制度がない場合、または制度があってもこれまでに登用実績がない場合は転職で正社員を目指すという選択肢もあります。
転職して正社員を目指すなら、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは様々な求職者の転職支援を行ってきており、もちろん契約社員の正社員転職の支援ノウハウも持っています。そのため、正社員への転職に不安がある人でも安心して利用できます。
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契約社員が無期雇用に転換すると同じ会社で長期間働けるため、雇用契約が終了する不安が解消されます。ただし、無期転換ルールはあくまでも雇用期間に定めがなくなるだけで、雇用形態自体が変わるわけではありません。
契約社員の場合、昇給や昇進、賞与などの対象にならないケースもあります。無期雇用でも雇用形態が変わらなければ、キャリアアップや年収アップするかは分からないので注意しましょう。
待遇の改善やキャリアアップを希望する場合は、転職して正社員を目指すのも手段の一つです。転職エージェントを利用すれば条件に合う求人を紹介してもらえるため、納得感のある転職が期待できます。
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