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掲載日 : 2020.05.29最終更新日 :2020.05.29
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は転職市場にも及んでいます。この時期に転職活動をしていいのか悩んでいる人も多いでしょう。そこで本記事では、新型コロナウイルスが転職市場に与えた影響をまとめました。さらに転職活動をするべきかどうかの判断基準とアドバイス、新型コロナ禍で転職活動を成功させるコツについて、詳しく解説します。
藤岡 広慧キャリアアドバイザー部 部長
約10年に渡り、営業職やITエンジニア職の転職支援を行う。現在はITエンジニアの転職支援を中心に行うキャリアアドバイザー部の部長。応募書類の添削や面接対策アドバイスにも強い。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言によって人々の外出が制限されたことで、多くの企業が活動を縮小せざるを得なくなりました。グローバルでも消費が落ち込み、人や物の流れが寸断されたことで、工場での生産や物流も滞っています。
それにより、従業員の自宅待機や一時解雇に踏み切るケースも出てきて、なかでも製造業や小売業、サービス業などは雇用面でも大きな打撃を受けています。企業の収益が落ち込み、今後の業績見通しが立たないことから、採用活動の一時中止や採用計画の見直しを行う企業も増加中です。転職市場においても、有効求人倍率の低下や求人数の減少などの傾向が見られます。
一方で、コロナ禍でも業績を伸ばしている業界では、逆に採用活動を活発化させている企業もあります。オンラインでビジネスが完結するIT業界やWeb業界、内食需要の高まりを受けたフードデリバリー企業などが代表的です。
新型コロナウイルスでビジネスが停滞する企業と、この危機をチャンスに変えて事業を拡大する企業との間で、今後は採用活動に大きな差が出てくると考えられます。
【影響を受けている業種・職種の詳細はこちら↓】
新型コロナウイルスによる影響が大きい業界や職種では、転職を希望する人が増えています。緊急事態宣言によって休業を余儀なくされたり、自宅待機になった人たちが、今後の就業に不安を覚えて転職を考え始めるケースが目立ちます。
特に増えているのは、やはり製造業や小売業、サービス業などに従事する人たちです。またIT業界の一部でも、プロジェクトの中止によって自宅待機になったエンジニアや、所属部門が廃止・縮小されることになったマーケッターやクリエイターに転職希望者の増加傾向が見られます。
将来への不安から転職を考える人が多いため、転職先選びで安定性を重視する傾向が強まっています。今回のコロナ禍のように外的要因に左右されず、長く安定的に働ける職場を求めるニーズがますます高まっています。
緊急事態宣言により、人との接触を減らす努力が企業に強く求められたことから、多くの採用面接がオンライン対応に切り替わっています。転職希望者は、自宅のWeb環境やツールを整えるなど、オンライン面接に備える必要があります。
新型コロナによる転職市場への影響については、各記事で詳しく説明していますのでご覧ください。
【新型コロナで変化する転職活動のポイントはこちら↓】
【ミドル・エグゼクティブの転職への影響はこちら↓】
新型コロナ禍の今、転職活動をするべきなのか迷っている人も多いでしょう。ここでは3つのケースについて、それぞれ考えてみることにします。
前述の通り、オンラインで事業が完結するIT業界やWeb業界はコロナ禍でも需要を伸ばしており、積極的あるいは安定的な採用活動を続けています。例えば、リモートワークを支援・促進するツールを提供する企業や、自粛生活が続く中で在宅生活を豊かにするオンラインサービスを提供する会社などは、中途採用も活気づいています。IT・Webサービスを支えるエンジニアも、引き続き高い採用ニーズを維持しています。
また、コロナ禍の影響を受けつつも、長期的な展望から必要な人材の採用を継続しているケースもあります。特にリモートワークが普及しつつある今、入社後すぐに自律的な働き方ができたり、チームをまとめる手腕に長けた管理職やリーダークラス以上の人材を募集している企業が多く見られます。
現時点で転職活動をする動機や目的が明確になっていない場合でも、「今の会社でずっと働き続けるイメージが湧かない」「今後のキャリアに対して漠然とした不安がある」という人は、ひとまず転職活動を始めてみることをお勧めします。
転職活動は、自身の市場価値を知り、今後のキャリアプランを考える良い機会になります。転職活動をした結果、「やはり現在の会社で頑張ろう」と思う人もいれば、新しい活躍の場所を見つける人もいるでしょう。どちらの選択をするにしても、転職活動を通じてキャリアの棚卸しをすることで、自分が本当に求める働き方が見えてきます。転職ありきではなくても、まず動き出してみることがより良いキャリアにつながります。
転職活動の動機や目的が明確になっていない場合でも、最低限の準備は必要です。転職活動を開始する前に、次の2点について整理しておきましょう。
採用選考を受けるということは、他の応募者と比較検討されるという意味でもあります。自分ならではの強みや培ってきた経験を理解した上で、転職活動に臨むことが大切です。
また、先ほど述べた管理職やリーダークラス以上の人材募集は、非公開求人で行われることが多くなります。転職先を検討するにあたっては、非公開求人を多く保有する転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
緊急事態宣言が出て以降、事業活動ができない小売・飲食・旅行業界は業績に大きな影響を受けました。コロナ以前から成長率が鈍化していた製造業も、さらなる停滞に陥っています。採用活動についても、一時休止または大幅縮小しているところが大半です。
ただし、今回のコロナ禍がかつてのリーマンショックと違うのは、ダメージの少ない企業では活発な採用が続いている点です。例えば小売業でも、もともとオンライン通販に力を入れていた企業や、独自のWebプラットフォームによるサービスを提供していた会社の中には、業績が好調なところもあります。また、飲食業の中でも宅配事業やフードデリバリー事業は大きく伸びているように、むしろコロナ禍を追い風として成長している企業もあります。
こうした企業では、むしろコロナ以前よりも積極的な採用に乗り出すケースも見られます。同じ業界でも、コロナ禍での採用状況は大きく二極化していると言えるでしょう。
このように同じ業界内でも、早くから時代の変化に対応したビジネスモデルを構築してきた企業とそうでない企業、あるいは危機への対応力が高い企業と低い企業の差が明らかになりつつあります。コロナ禍により、期せずして各企業の体力や将来性が浮き彫りになったと言えるでしょう。
つまり現在は、これから続く「コロナとの共生時代」に成長を期待できる企業を見極める絶好のチャンスということ。今回のような危機や外的環境の変化に左右されにくい企業へ転職するなら、今がベストのタイミングと言えます。
本来なら多くの企業が新年度の採用計画をスタートする4月と新型コロナによる自粛期間が重なったことで、コロナ禍の影響が大きかった業界では業績見通しを大きく下方修正する企業が続出し、今後の採用動向が予想しにくい状況です。一方で、今後の業績への見通しが立った企業は採用活動を再開しつつあり、これから初夏にかけて今期の採用を本格的にスタートさせます。その点でも、転職活動を始めるなら今は良いタイミングです。
現在勤めている会社が新型コロナの影響を大きく受け、休業や自宅待機となっている人たちは、十分な時間が取れる今こそ転職の好機と考えて、転職活動を始めてみるといいでしょう。コロナ禍が落ち着いて企業が採用活動を本格的に再開すれば、動き出す転職希望者も増えて、採用選考での競争が激しくなることも考えられます。その点を考えても、早めに転職活動を始めることには大きなメリットがあります。
採用活動を継続、または再開した企業でも、この時期は普段よりも慎重に採用選考を進めています。よって、書類選考の通過率を上げるための職務経歴書や履歴書のブラッシュアップ、面接力の向上などが必要です。
これらの対策については転職エージェントを活用し、キャリアアドバイザーに相談することをお勧めします。詳しくは次項目の「新型コロナ禍での転職活動のコツ」をご覧ください。
新型コロナウイルスの影響が甚大で、「自分の会社が倒産するのでは」「会社の経営状況が心配」と不安を抱えている人もいるでしょう。今すぐ退職して転職活動を始めるべきか、判断を迫られている人もいるかもしれません。いくつかの観点から冷静に判断する必要があります。
まず一番の危険信号は、給与の遅延や未払い、基本給のカットや手当の廃止などです。この場合、会社が保有している現金がなく支払いができないため、従業員への支払いにも影響が出ていると考えられます。
また、会社の経営状況を把握しているようなポストの退職が続いている場合も黄色信号だと考えられます。役員・管理職・経理など、人の動きにも注目してみましょう。ほかにも、コスト管理についての意識が今までよりも強まり、急な経費削減を行っている場合も経営状況が悪くなり始めている可能性があります。
もし開示されているようでしたら決算書を見てみるのも一つの手です。今回のような未曾有の危機が起きた場合においては一概には言えないものの、一般的には「営業利益率が高い会社」「流動負債(短期の借金)が少ない会社」「自己資本比率が高い会社」といった元々稼ぐ力が強く、企業体力に余裕がある場合には一時的に業績が悪化してもすぐに倒産する可能性は低いと判断できます。逆に、元々危うい経営をしていれば、少しでも経営環境が悪化しただけで倒産の可能性が高まると考えられます。決算書をみれば数字として把握できるので、客観的に会社の状況を判断することができます。
また、意外とあなどれないのが社内の雰囲気です。経営陣の行動や発言にも耳を傾けて、上司や同僚の何気ない会話や行動にも注目してみましょう。ノルマが急に厳しくなった、コストカットを強く求められた、取引先が減ったなど現場での変化が社内の雰囲気として現れてきます。
とはいえ、突如予告なく解雇という例は少ないため、不安だからといって転職先を見つけないままにいきなり退職されるのはお勧めしません。
使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。
引用元: 厚生労働省(労働契約の終了に関するルール)
まずは転職活動を始め、転職先を見つけてから退職をしたほうが安心です。
新型コロナウイルスをめぐる状況は日々めまぐるしく変わっています。それを受けて、企業のキャリア採用における募集状況もその時々で変化しています。ここまで説明してきた通り、同じ業界でも企業によって採用方針に大きな違いが出るなど、転職市場の動向も複雑化しています。こうした情報を個人で収集するのは、かなり難しいと言えるでしょう。
その点、転職エージェントは常にリアルタイムで転職市場や企業の最新動向を把握しています。各企業とのパイプもあるので、業界ごとの傾向だけでなく、個別の企業ごとの採用計画などの情報も入ってきます。よって新型コロナ禍での転職活動を円滑に進めるには、転職エージェントを上手に活用するとよいでしょう。
転職エージェントのキャリアアドバイザーからは、応募書類の作成や面接対策のアドバイスも受けられます。せっかく本人の強みや適性を把握しても、書類や面接でうまく企業に伝わらなければ、成功確率を高めることはできません。転職のプロであるキャリアアドバイザーは、企業のニーズに応えてアピール度を高めるための職務経歴書や履歴書の書き方、面接での対応などを熟知しています。選考基準が厳しい今だからこそ、転職エージェントから書類や面接の通過率を高めるためのノウハウを得られることは転職者にとって大きなメリットとなります。
前述の通り、コロナ禍では採用面接のほとんどがWeb面接に切り替わっています。転職活動を始めるなら、まずはオンラインでの面接環境を整えましょう。
パソコンでオンライン面接を受けるには、カメラとマイク付きであることが必要です。手持ちのパソコンにカメラとマイクが付いていない場合は、別途用意しましょう。また、インターネット通信がつながりやすい場所を確認したり、無線LANが不安定なら有線LANケーブルを用意するなどして、安定した通信環境を確保しておくことも大切です。
パソコンがない場合は、スマートフォンで面接を受けても問題ありません。ただし途中で画面がぶれないよう、しっかり固定しましょう。面接官はパソコンで対応することが多いので、スマートフォンからは相手の表情が見えにくくても、相手からはよく見えていることがありますので注意してください。
オンライン面接を受ける際は、できるだけ本人以外のものが映り込まず、シンプルな壁などが背景となる静かな場所を選びます。バーチャルで背景を変えられるツールもありますが、面接での使用は避けてください。また、なるべく明るい場所を選ぶようにしましょう。部屋が暗いと顔が黒っぽく映って表情が見えにくく、全体的に暗い印象になります。
企業によってオンライン面接に使うツールはさまざまです。事前に接続方法を確認し、当日はスムーズに面接が始められるように準備してください。いよいよオンライン面接が始まるときになって接続がうまくいかず、定刻通りに始められないトラブルも起こっているので注意が必要です。また、面接中にメールやSNSなどの通知音声が入らないように、他のソフトは閉じておきます。
服装は対面での面接と同じで構いません。企業からの指定がない限り、自宅だからといってラフな服装で臨むのは避けて、服装の乱れがないように準備してください。なお、背景と同色の服装は避けた方が無難です。女性は普段よりチークをやや厚めにすると、画面越しでも顔色が良く見えます。
オンラインでは声や表情が伝わるタイミングが少し遅れるので、相手に伝わっているか確認しながら話すようにしてください。また、通信速度の問題で声が聞き取りにくい状況が発生することもあるので、いつもよりやや大きめの声ではっきりと話すように心がけるとよいでしょう。
面接中は常にカメラ目線である必要はありませんが、対面とは違って視線を合わせることができない分、できるだけカメラを見て話すようにしてください。特に最初と最後の挨拶は、しっかりカメラ目線で対応すると相手にきちんとした印象を与えられます。
転職活動を成功させるには、選考過程でアピールできるだけの実績を現職のうちに作ることも必要です。実績とは、大きな成功体験だけを指すのではありません。成果を出すために日々の業務で意識していることや工夫していることなども、立派な実績として評価されます。与えられた業務を淡々と繰り返すのではなく、常に問題意識を持って改善や修正をしながら仕事を進められる人は、その実績が採用選考においてアピール材料になります。
また、資格取得を目指してプライベートで学習する、自宅でプログラミングの技術を勉強しているなど、実績作りに向けた努力も評価の対象となりますので、職務経歴書などに記載できるアピール材料となります。
「自分には特別な実績などない」と思っている人も、日頃の行動や業務への取り組み方を振り返り、自分なりに工夫している点や問題意識を感じている点がないか洗い出してみましょう。それが自分の強みや特長を見つける糸口になるはずです。一方、すでに豊富な実績を持つ人は、自分のコアとなるスキルはどの経験から培われたのか、どのようなスタンスや価値観で仕事に取り組んできたのかを振り返っておくと、採用面接でのアピールがしやすくなります。
これらの実績の洗い出しや振り返りについても、転職エージェントを活用するとスムーズに進みます。本人は特別な実績だと思っていなくても、キャリアアドバイザーから見れば十分に面接でアピールできると判断できるケースは非常に多いからです。自身の実績を客観的に振り返るのが難しいと感じたら、第三者の力を借りることをお勧めします。
type転職エージェントでは面接対策に力を入れており、コロナ禍でも引き続き手厚いサポートを行なっています。
カウンセリングを通じて転職者の実績や強みを洗い出し、転職理由や志望動機、自己PRなどをキャリアアドバイザーと一緒に作り上げます。さらに企業ごとの想定質問を事前に入手し、キャリアアドバイザーが面接官となって模擬面接も行なうので、本番に備えて万全の準備ができます。カウンセリングや模擬面接は電話でも受けることができますので、コロナ禍で外出を控えている転職者も利用できます。もちろん書類選考についても、履歴書や職務経歴書の内容をブラッシュアップするための添削を行なっています。
type転職エージェントは、ただ求人案件を紹介するのではなく、転職の成功確率を高めるためのマッチングに力を入れているのも特長です。コロナ禍ではどの企業も採用活動に慎重になり、採用活動を継続している会社でも普段より選考基準を厳しくするケースが増えています。この状況下で内定を獲得するには、企業のニーズと自分の強みや経験が合致する求人をいかに見つけるかがカギとなります。
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新型コロナウイルスは転職市場にも大きな影響を与えています。この時期に転職活動を円滑に進めるには、企業ごとの採用動向の把握と採用ニーズに応えるための準備が必要です。コロナ禍における転職はデメリットが多いと思いがちですが、“コロナ後”の時代を見据えて将来性の高い企業を選ぶには、むしろ今がチャンスでもあります。転職市場の現状と今後の見通しを踏まえた上で、ぜひ前向きな気持ちで転職活動に臨んでください。
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