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最終更新日 :2023.11.22
出社や退社の時間を柔軟に調整できるフレックスタイム制。「自分もフレックスタイム制の会社で働きたい」と考える人も多いのではないでしょうか。とはいえ、働く時間のすべてを自由に決められるわけではなく、一定のルールの上で運用されていることを理解する必要があります。またメリットが多い一方で、思わぬデメリットも。そこでフレックスタイム制の仕組みや特徴について、詳しく解説します。
フレックスタイム制とは、一定期間についてあらかじめ決められた総労働時間の範囲内で、始業や終業の時間を労働者が自由に決められる制度です。いわゆる「9時から5時」のように勤務時間が固定されず、働く人たちが自分の都合に合わせて働き方を柔軟に調整できます。
そのため仕事とプライベートのバランスも取りやすく、ワーク・ライフ・バランスを推進するための取り組みとしてフレックスタイム制を導入する企業が増えています。また、労働時間を効率的に配分することが可能になるため、生産性や業務効率の向上にもつながると期待されています。
一般的なフレックスタイム制では、1日の労働時間の中で「フレキシブルタイム」と「コアタイム」を設定した上で運用します。
フレキシブルタイムとは、その時間帯の中であれば、いつでも出社・退社してもよい時間帯のことです。一方のコアタイムとは、必ず勤務しなくてはいけない時間帯のことです。ただし、コアタイムは必ず設けなくてはいけないわけではなく、すべての労働時間帯をフレキシブルタイムにしても構いません。
またフレックスタイム制を導入した会社では、労使協定によって「清算期間」が決められています。これは従業員が労働すべき時間を定める期間で、例えば「毎月1日から月末までの1ヶ月」などと定められています。この清算期間の中で労働時間をカウントするので、フレックスタイム制における基準範囲のようなものだと考えてください。
清算期間内で働くべき「総労働時間」も決められていて、清算期間を平均したときに、1週間の労働時間が40時間(特例措置を受けた会社は44時間)以内でなければいけません。また、「標準となる1日の労働時間」も定められています。例えば有給休暇を取得する場合は、この標準労働時間をもとに算出した賃金が支払われます。
なお、以前は清算期間の上限が1ヶ月でしたが、2018年に「働き方改革関連法」が成立したことにより、2019年4月から上限が3ヶ月間に延長されました。これにより、働く人たちはより長い期間内で労働時間を調整できるようになり、さらに柔軟な働き方が可能となりました。また、上限が延長されたことに伴い、1ヶ月を超えて清算期間を設定する場合は、「1ヶ月ごとの労働時間は週平均50時間を超えない」というルールも決められました。これには、忙しい月だけ極端に労働時間が長くなるといった偏りを避ける狙いがあります。
ただしこれはあくまで上限であって、実際は賃金の計算期間に合わせて清算期間を1ヶ月とする会社が多いようです。自分の会社や転職を考えている会社にフレックスタイム制が導入されていても、細かい制度設計や条件はそれぞれ異なりますので、詳細は就業規則で確認するようにしてください。
フレックスタイム制の最大の特徴は、従業員が出社や退社の時間を自分で決められることです。必ず決まった時間に働かなければいけないという縛りがないので、働き方の自由度は高まります。
ただし説明した通り、コアタイムが設定されている場合は、その時間は必ず勤務しなければいけません。例えば、「午前10時から午後3時までの間は所定の労働に従事しなければいけない」と就業規則で定められていたら、午前10時より遅く出社したり、午後3時より早く退社したりすることはできません。
またフレキシブルタイムについても、労働できる時間帯は労使協定で決められています。例えば、「始業時刻の時間帯は、午前6時から10時までの間」「終業時刻の時間帯は、午後3時から7時までの間」などと定められていたら、その範囲内で出社や退社の時間を決めることになります。働く時間を自由に決められると言っても、24時間いつでも働いていいという意味ではありませんので注意しましょう。
「フレックスタイム制は残業代がもらえないのでは?」と誤解している人も多いようですが、働いた時間が一定の労働時間を超えた場合は、会社はその分の残業代を支払わなければいけません。
労働基準法では、「労働時間は1日8時間・週に40時間以内」と定められています。これを「法定労働時間」と言い、法定労働時間を超える労働時間のことを時間外労働(残業時間)と呼びます。
ただしフレックスタイム制の場合は、法定労働時間を超えただけでは時間外労働とはみなされません。フレックスタイム制で残業時間が発生するのは、「清算期間内における総労働時間よりも、実際に働いた時間が長い場合」です。よって残業代が支払われるのも、この条件に該当する場合となります。
例えば、清算期間が1ヶ月・総労働時間が160時間と定められている会社の従業員が、実際には1ヶ月で180時間働いたとします。この場合は、総労働時間と実働時間の差である20時間がフレックスタイム制における時間外労働(残業時間)となります。
残業代の計算方法は、この残業時間が「法定労働時間内の残業(法内残業)」か「法定労働時間を超える残業(法外残業)」かによって異なります。先ほど説明した通り、労働基準法では法定労働時間を「週に40時間以内」と定めているので、フレックスタイム制における残業時間がその範囲内か、あるいは超えたかによって、残業代の扱いが変わるということです。法内残業の場合は一般的な残業代と同じ計算式で算出されますが、法外残業の場合は1.25倍の割増率が適用されます。
逆に、総労働時間よりも実際に働いた時間が短い場合は、賃金の決め方に2通りの方法があります。1つは、不足時間分の賃金を控除して支払うこと。つまり、足りなかった分の賃金がカットされます。もう1つは、不足分を繰り越して、次の清算期間の総労働時間に合算すること。ただし、合算した後の時間(総労働時間+前の清算期間における不足時間)は、法定労働時間の範囲を超えてはいけません。
このように、適切な賃金を支払うためには、フレックスタイム制であっても会社は従業員の労働時間をきちんと把握しなければいけませんし、従業員も自分の総労働時間を意識しながら働くことが求められます。働く時間帯を自由に設定できるからこそ、自覚を持って労働時間を管理することが必要です。
フレックスタイム制のメリットとして真っ先に挙げられるのは、通勤ラッシュを避けられることでしょう。通勤時間のピーク時を避ければ、満員の電車やバスで窮屈な思いをすることなく、快適に通勤できます。余計な体力を消耗することもないので、出社後も仕事に全力で取り組めます。
早朝に出社して、オフィスに人が少ないうちに集中して仕事を片付ければ、業務の生産性や効率は高まります。反対に早起きが苦手な人なら、遅めの時間にゆっくり出社することもできます。通勤ラッシュを避けつつ、自分のタイプに合わせて最もパフォーマンスが上がるワークスタイルを組み立てられるのもフレックスタイム制ならではです。
満員電車を避ければ、通勤時間も有効活用できます。人が少ない車内は静かで落ち着いていて、座席に座れる確率も高くなるので、通勤中の読書や勉強もはかどるでしょう。また、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症が流行した場合も、できるだけ人の少ない時間帯を選べば感染リスクを下げられるメリットもあります。
フレックスタイム制は出社や退社の時間を自由に決められるので、プライベートの時間を多くとることや、私的な用事に合わせてスケジュールを組めるのが大きなメリットです。
子育て中の共働き夫婦なら、保育園への送り迎えのために遅めに出社したり、早めに退社したりできます。平日しか開いていない役所や金融機関に行かなければいけないときも、立ち寄って用事を済ませてから出社することが可能です。急に体調が悪くなって念のために医師の診察を受けたいときも、フレックスタイム制ならいちいち会社に連絡を入れる必要がなく、病院に寄ってから遅めに出社すればいいだけです。
また一定期間の中で労働時間を調整すればいいので、週単位や月単位で仕事とプライベートのバランスを取りやすいのもフレックスタイム制のメリットです。例えば「火曜と金曜は社会人大学に通うために早めに退社し、残りの曜日は多めに働いて取り戻す」といったスケジュール調整もできます。週末に旅行する予定があるときは、「金曜は早く退社し、月曜は遅めに出社する」といったスケジュールを組めば、週末の時間をたっぷり使うことができます。
プライベートが充実すれば、気力や体力が充実し、仕事にも良い影響をもたらします。フレックスタイム制を上手に活用すれば、公私ともにより質の高い時間を過ごすことができるでしょう。
自分が働く時間は自由に決められますが、代わりに仕事で関わる他の人たちの勤務時間と合わない可能性が出てきます。もし自分が「今日は午後4時で退社する」と決めても、取引先の担当者がそれ以降も働いていたら、退社後に電話やメールで連絡が入ることもあります。営業など顧客対応をメインとする職種の場合は、自分が休もうと思っていた時間帯にアポが入ることもあるでしょう。
すべてのプロセスが一人で完結する仕事はほとんどないので、フレックスタイム制とはいえ、関係者の勤務時間やスケジュールをまったく無視できるわけではないことを知っておきましょう。
フレックスタイム制の職場では、メンバー全員が社内に揃う時間が少なくなります。会議や打ち合わせをセッティングしようとしても、それぞれの勤務時間がバラバラなので調整しづらいといったデメリットはどうしても生じやすくなります。同じ職場の上司や先輩と顔を合わせる機会が減れば、ちょっとした報告や相談を気軽にするといったコミュニケーションも少なくなりがちです。
社外とのコミュニケーションもとりづらくなる場合があります。自分の勤務時間中に連絡を取りたいと思っても、相手が出社前や退社後だったら、翌日まで待たなくてはいけません。先ほど「勤務時間外に仕事の連絡が来ることがある」というデメリットを挙げましたが、逆のパターンもあるということです。
フレックスタイム制で社内外と円滑なコミュニケーションを図るには、お互いのスケジュールを共有するなどして、連絡をとりやすい体制を作る工夫が必要となるでしょう。
厚生労働省が発表した「令和4年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業は8.2%となっています。企業規模別でみると「1,000人以上」が31.2%、「300~999人」が17.0%、「100~299人」が8.4%、「30~99人」が6.6%と、企業規模が大きければ大きいほど、フレックスタイム制が導入されてることが分かります。
つぎに業界別のフレックスタイム制導入企業率です。厚生労働省が発表した「就労条件総合調査(令和3年)」によると、1位が「情報通信業」で30.0%、2位が「金融・保険業」で14.7%、3位が「電気・ガス・熱供給・水道業」で14.2%という結果でした。
また、職種別だと特にシステムエンジニアやプログラマーなどの専門技術職の方は、個人の裁量で業務進行できる場合が多いため、他の職種よりもフレックスタイム制が導入されやすいようです。一方、クライアントとの打ち合わせや、やり取りをする営業職は、先方の営業時間内に合わせて業務を行う必要があるため、フレックスタイム制が導入しづらい職種と言われています。
上記のようにフレックスタイム制が適用されている企業でも、部署によっては適用されないケースもあります、フレックスタイム制を目的として入社したら、配属された部署が実は適用外だったということがないよう、選考段階で企業側に確認を行うのを忘れないようにしましょう。
元々フレックスタイムに興味があったけど、ここまでの記事を読んで「フレックスタイムの企業で働きたい!」とさらに意欲が高まった方もいるのではないでしょうか?
しかし、フレックスタイムを目的とした転職には注意点もあります。というのも、フレックスタイムという条件だけで求人を選んでしまうと、経歴や就業条件などとミスマッチがあり、入社してから「会社の雰囲気に合わなかった」「フレックスタイムのために未経験の職種に転職したから、業務についていけなくて大変」と後悔する可能性があるからです。
「フレックスタイムさえ叶えられれば、他の条件は気にしない」という方なら問題ありませんが、自分の中で譲れない希望条件がいくつかあり、それらを満たした会社で働きたいという方は、求人選定を慎重に行う必要があります。
自分にマッチした求人票を見つける方法としておすすめなのが、転職エージェントの利用です。最初のキャリアカウンセリングで、これまでの経験や保有スキルなどを棚卸しして、一緒に今後のキャリアの志向などを確認してくれます。
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フレックスタイム制は柔軟な働き方を可能にし、ワーク・ライフ・バランスを推進する制度です。上手に活用すれば、仕事とプライベートの両方の時間を充実させることができます。自分らしい働き方を手に入れるための一つの選択肢として、制度の正しい知識を理解しておきましょう。
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