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最終更新日 :2023.02.06
最近よく「キャリアパス」という言葉を耳にするようになりました。しかし、その意味をはっきりと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。「キャリアプランやキャリアデザインとはどう違うの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。そこで本記事では、将来のキャリアを考える上で重要なキャリアパスについて詳しく解説します。
中嶋 千博キャリアアドバイザー部 部長
【保有資格】米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー英語で「キャリア(Career)」は「経歴・職歴」、「パス(Path)」は「道」です。つまりキャリアパスとは、目標とする職務や職位に辿り着くまでの道筋を意味します。目指すキャリアに向けて、どのようなステップをどのような順序で踏んでいくのか。そのプロセスを示したものがキャリアパスとなります。一つの企業内での出世や昇進のルートを示すものと言い換えてもいいでしょう。
キャリアパスは主に企業側が社員に提示するものであり、近年は人事制度の一つとして「キャリアパス制度」を設ける企業が増えています。ステップごとに必要なスキルや能力を磨くための研修の機会を設けたり、昇給の条件や仕組みなどを明らかにして、目標に辿り着くまでの道筋を具体化します。キャリアパスを示すことで、働く人たちは「どのくらいの期間で、どのような業務経験やスキルを身につければ、どのポストに就けるのか」というキャリア上のチャンスを知ることができます。
キャリアパスを明確にすることは、企業と社員の双方にメリットがあります。それぞれの社員が仕事における目標を定め、達成への意欲を持って働けば、会社は社員の成長やモチベーションの向上が期待できます。社員にとっては、自分自身のキャリアについて考える良い機会になり、高い意欲や目的意識を持って仕事に取り組むことで成果につながりやすくなります。会社が期待する成果を出して評価されれば、自分が希望するキャリアパスの実現も近づきます。
「キャリアプラン(Career Plan)」を直訳すると、「職歴の計画」となります。こちらは一つの企業内でのキャリアにとどまらず、転職や独立なども含めた職歴をプランニングすることを意味します。
【キャリアプランについての記事はこちら】
「キャリアデザイン(Career Design)」は、仕事だけに限定せず、プライベートも含めた人生全体を設計することを意味します。例えば、結婚や出産、子育て、住宅の購入といった将来のライフイベントを踏まえてキャリアを考えます。
これら3つの言葉は似ていますが、キャリアデザインは「人生の設計」、キャリアプランは「仕事の計画」、キャリアパスは「企業内での道筋」と、それぞれの意味合いが異なることを理解しておきましょう。
【キャリアデザインについての記事はこちら】
キャリアパスを思い描いても、必ずしもその通りに行くとは限りません。一度描いた道筋にこだわりすぎると、逆に目の前のチャンスを見逃してしまうリスクがあります。「自分はこうしたい」という理想のキャリアパスを描きつつも、同時に柔軟性を持ち、環境や自分の気持ちの変化などを考慮して、少々の回り道は許容する心のゆとりを持つことが大事です。
仕事の状況や職場の環境が変われば、自分自身の考え方や気持ちも変わります。また健康上の理由や家族の事情などの理由から、キャリアパスを見直す必要が生じることもあります。少なくとも一年に一度は、自分が描いたキャリアパスが現状に見合っているかどうかを点検してください。
自分一人で考えたキャリアパスが、最適なものとは限りません。信頼できる上司や同僚、友人などに相談し、キャリアパスが自分に合っているかを客観的に判断してもらうといいでしょう。その際は、自分で描いたキャリアパスを紙などに書き出して伝えると、相手も理解しやすくなり、的確なアドバイスがもらえます。周りの人に相談しづらい場合は、キャリアのプロである転職エージェントに相談するのもお勧めです。
キャリアパスは職種ごとに異なります。職場でモデルケースになる人を見つけると、将来の働き方がより具体的にイメージできるでしょう。その人の持つスキルや能力を観察することで、「あと何年でどのような業務経験や必要か」などもわかるので、やるべきことが明確になります。
一例として、ここでは営業職とエンジニアのキャリアパスを紹介します。
営業職なら、「生涯に渡りプレイヤーとして現場で活躍し続ける」「マネジャーとして組織をまとめる」などのキャリアパスが代表例となります。また、営業での経験を活かし、マーケティングや営業企画など別の職種に進む道筋も考えられます。
エンジニアの場合は大きく分けて、特定の領域を極めるスペシャリストと、幅広い領域でスキルや経験を積むジェネラリストの二つのキャリアパスがあります。エンジニアは専門的な技術や知識を極めたいと希望する人が多い傾向にあり、スペシャリストとしてのキャリアパスを用意する企業が増えています。一方で、色々な技術に興味があったり、いずれはプロジェクトマネジャーになりたいと考えるエンジニアには、多くの企業がジェネラリストのキャリアパスを用意しています。
近年はキャリアパスの必要性が増しています。その背景にあるのが、長らく日本企業に根付いていた終身雇用や年功序列などの人事的慣習が機能しなくなったことです。
終身雇用や年功序列が前提だった時代は、会社がどの社員に対しても一律のキャリアパスを与えれば、誰もが同じような道筋を辿って、昇進や昇給を叶えることができました。しかし現在ではこれらの古い慣習が崩れ、個人の価値観や希望する働き方は多様化しています。よって会社が一つのキャリアパスを全社員に当てはめようとすることはなくなりました。
よって今の時代は、働く一人一人が自分のキャリアパスを描き、目標とするゴールから逆算して、「今この会社で何をやるべきか」を明確にすることが求められます。みずから能動的にキャリアパスを描き、日々の仕事に取り組めば、結果的にパフォーマンスは上がり、会社から評価され、自分が希望するキャリアパスを実現すやすくなるという好循環が生まれます。自分らしいキャリアを実現したいなら、キャリアパスを描くことは必須と言えるでしょう。
転職活動の面接で、「この会社で何年後にどうなっていたいか」「将来のキャリアについて聞かせてください」などと、キャリアパスを聞かれることがよくあります。面接官がキャリアパスを質問する理由は、主に2つあります。
1つめは、入社後に長く働くつもりがあるかを確認するためです。長く働きたいと考えているなら、目の前の仕事だけでなく、数年後のキャリアにも興味を持って具体的なイメージを持っているはずです。よって将来のキャリパスについて質問し、しっかりと答えられる人なら、自社で長期的に働いてくれると判断します。すぐに辞めてしまう人を採用したいと考える企業はありませんから、重要な確認事項としてこの質問をするケースが多くなります。
2つめは、自社が用意できるキャリアパスと、本人が描いているキャリアパスがマッチしているかを確認するためです。例えば、企業側は「数年後に組織をまとめる管理職として活躍できるリーダー候補を採用したい」と考えているのに、本人は「マネジメントより現場のプレイヤーとしてキャリアを積みたい」と考えていたら、入社後にミスマッチが生じます。企業と個人のお互いにとって残念な結果を招かないためにも、面接でこの質問をして、双方のキャリアパスがどれくらい一致するかを確認したいと考える企業が増えています。
先ほども述べた通り、キャリアパスは一度描いたら終わりではなく、環境や自分の気持ちの変化に合わせて、定期的に見直すことが大事です。今の会社のキャリアパスだけでは、希望するキャリアを実現するのは難しそうだと気づいたら、転職も選択肢に入ってくるでしょう。転職を考えるなら、自分の市場価値はどれくらいか、他の会社で求められるスキルが身についているかなどを、客観的に振り返る視点も必要となります。
転職市場の動向やキャリアに関するトレンドは、一般的なニュースの中からも掴むことができます。例えば、よく目にする業界や用語があれば、それがニーズや注目度の高さを意味します。まずは短い時間でいいので、毎日ニュースに目を通すことから習慣にするといいでしょう。
それが難しい場合は、転職エージェントに相談してみることをお勧めします。キャリアカウンセリングのプロから、転職市場の動向を踏まえたアドバイスをもらえるのが大きなメリットです。
type転職エージェントでは、単なる求人紹介だけでなく、転職によって叶えたいことや将来のキャリアビジョンをていねいにヒアリングし、一人一人に寄り添った転職サポートを行っています。将来なりたい姿に近づくため、それまでに経験すべきことや身につけるべきスキルなどを伝えて、一緒にキャリアプランを作成することもできます。自分一人で求人情報を検討していた時には見落としていた企業でのキャリアパスを提案できることも多く、転職の選択肢を広げることが可能です。
現在の会社でのキャリアパスについて迷っていることやわからないこと、将来について不安に思うことがあれば、ぜひtype転職エージェントに相談してください。
キャリアパスを描くことは、自分が将来なりたい姿を実現するために欠かせません。目指すゴールとそこに至るプロセスが明確になれば、「今やるべきことは何か」もはっきりして、日々の仕事におけるモチベーションや成果の向上にもつながります。自分らしいキャリアを歩むためにも、キャリアパスをしっかりと描くことが大事です。
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