キャリアデザインはなぜ重要?設計の方法やポイントも解説

最終更新日 :2023.03.09

キャリアデザインの設計方法とポイントを解説

近年、働く人たちの意識の変化や働き方の多様化、企業との関係性の変化などがあり、キャリアデザインが注目されるようになってきました。

そこで本記事では、キャリアデザインとは何か、「キャリアパス」「キャリアプラン」などとはどう違うのか、その必要性と具体的な設計方法を解説します。

この記事の監修者
監修者の檀上 悠一

檀上 悠一キャリアアドバイザー部 部長

営業職の転職支援を中心にキャリアアドバイザーとして従事。現在は営業職や販売・サービス職の転職支援を行うキャリアアドバイザー部の部長。第二新卒向けの面接対策や、女性の転職支援にも強い。
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キャリアデザインとは

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キャリアデザインとは、将来のなりたい自分を実現するために職業人生(キャリア)を主体的に設計・構築することです。

キャリアデザインは昨今の日本の雇用状況の変化を受け、キャリアについて自律的に考えていく必要性が生まれたことにより、注目されるようになりました。

キャリアデザインは会社や上司に決定されるものではなく、自分自身で設計しなくてはなりません。そのためには自己理解を深め、今後どのようなキャリアを築いていきたいか、明確化する必要があります。

キャリアプランやキャリアパス、キャリア形成との違い

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キャリアデザインと似た言葉に、キャリアプランやキャリアパス、キャリア形成がありますが、それぞれの意味は異なります。いずれも自分のキャリアを考える上で大事なキーワードなので、違いを理解しておきましょう。

・キャリアプランとは

「キャリアプラン(Career Plan)」を直訳すると、「職歴の計画」となります。つまり、「これからの人生でどのような仕事をしていきたいか」をプランニングすることを意味します。キャリアデザインがプライベートも含めて考えるのに対し、キャリアプランは仕事にフォーカスするのが大きな違いです。今後やりたい仕事や理想の働き方を目標として設定し、それを達成するために何をするかを計画します。

【キャリアプランについての記事はこちら】

・キャリアパスとは

英語で「キャリア(Career)」は「経歴・職歴」、「パス(Path)」は「道」です。つまりキャリアパスとは、目標とする職務や職位に辿り着くまでの道筋を意味します。キャリアデザインやキャリアプランでは転職や独立なども含めた職歴をプランニングしますが、キャリアパスは一つの企業内での出世や昇進のルートを示すものであり、主に企業が社員に提示します。

【キャリアパスについての記事はこちら】

・キャリア形成とは

キャリア形成とは、なりたい自分に向かって進んでいくうえで必要なスキルを獲得していくことです。キャリアデザインで立てた人生計画を実現するために、勉強して資格を取得したり、経験を積み重ねたりして自己実現を図ります。

キャリア形成は早い段階で考えておく必要があります。なぜなら、自分が望む人生を実現するにはどのようなスキルが必要なのか考え、早めにスキル獲得のための行動をとることができれば、その後の計画実現がスムーズになるからです。

キャリアデザインの必要性

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キャリアデザインが求められる背景には、社会情勢や企業、働く人の意識や価値観が多様化したことが挙げられます。

実際に終身雇用制度や年功序列制度などを導入している会社が少なくなったことで、人材の流動性が高まっています。それにともない複数回の転職も珍しくなくなり、学歴や職歴よりもスキルや能力が重視される雇用へと変化してきているのが昨今の傾向です。
つまり、キャリアデザインを設計し、実現に必要なスキルや能力をキャリア形成しているかによって、今後の働き方や人生そのものが大きく左右される時代になっているのです。

またキャリアデザインを設計し、自分のスキルや能力、理想像を明確にしておけば、転職にも役立ちます。企業の採用面接では志望動機や転職の理由、入社後の目標などについて質問されますが、キャリアデザインが明確であれば自信を持って一貫性のある回答ができるでしょう。

年功序列や終身雇用といった従来の働き方の概念が崩壊しつつある今、働く人それぞれが自分に合ったキャリアデザインを設計することが重要です。

キャリアデザインの設計方法

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キャリアデザインを設計するには、「Can(できること)」「Will(したいこと)」「Must(やらなければならないこと)」の3つを明らかにする作業が必要となります。それぞれの作業でやるべきことは次の通りです。

【ステップ1】Can ~自分の現状を知る~

まずは「今の自分に何ができるのか」を知ることが大切です。これまでにどんな仕事を経験し、どのような成果を上げて、どんなスキルが身についたのかを振り返り、キャリアの棚卸しをしましょう。

振り返りをする際は、経験、実績、仕事で関わった人、工夫したこと、経験を通じて身についたことなどを、紙に書き出していきます。成功体験や失敗体験、やりがいを感じたことや嫌だったことなども合わせて書き出すと、自分の強みや弱みを整理できます。それぞれの項目を書き込める表を作って書き込んでいくと、情報をまとめやすくなるのでお勧めです。

  • 〈記入例〉
  • 経験:Webサイトの改善企画
  • 実績・成果:会員獲得数10万人→15万人(前年比150%)
  • 関係者:デザイナー、コーダー
  • 工夫したこと:売上を意識したサイト改善
  • 身についたスキル:アクセス解析の知識、デザイナーなど関係者との調整

【ステップ2】Will ~将来なりたい像を明確にする~

キャリアのゴールとなる「将来なりたい像」を明確にします。「裁量をもって働く」「管理職になる」「フリーランスとして仕事をする」「育児と仕事を両立させる」「世界で活躍する人材になる」など、働き方や役職、仕事内容などについて自分の理想の姿を考えてください。

同時に「なぜそうなりたいのか」という理由も考えるといいでしょう。自分が望むキャリアと描いたゴールの間にズレがないかを確認するためです。

例えば将来なりたい像を「課長になる」と設定したのに、理由が「年収が上がるから」だったら、今の会社で課長を目指さなくても、より年収水準の高い業界や会社に転職すればゴールを達成できてしまいます。よってこの場合、ゴール設定を「年収1000万円稼ぐ」などとした方が、本当に自分がなりたい像にマッチする可能性があります。

さらに、ゴールを達成するために必要な能力や経験、役割なども考えます。「年収1000万円稼ぐ」をゴールにするなら、どのようなスキルを身につけ、どんな実績を積み、どのポジションに就けばそれが実現できるのかを具体化しましょう。これは次のステップ3に進むために欠かせない作業となります。

【ステップ3】Must ~ギャップを埋めるためにやるべきことを整理する~

「Can=今できること」と「Will=将来なりたい像」のギャップを埋めるために、何をすべきかを明確にします。将来なりたい像を実現するには、現状で足りていないスキルや経験を身につけることが必要です。最終ゴールから逆算して、「何歳までに何をするか」を考え、年齢ごとの目標を設定してください。

例えば、「35歳で管理職になる」というゴールを設定し、そのために必要なスキルとして「マネジメントの経験・実績、業界の知見」を挙げたとします。現在の自分は25歳でマネジメント経験がない場合、ゴールから逆算して、「28歳までに個人の実績を上げる」「30歳で後輩育成もできるリーダー的存在になる」といった段階ごとの目標を設定します。

最終ゴールを達成するまでのキャリアステップが描けたら、最初のステップに向けて、ギャップを埋めるための具体的な行動を書き出します。28歳までに個人の実績を上げるための行動なら、「今より1日あたり5件多くアポをとる」「PDCAを回して業務効率を上げる」などの行動が考えられるでしょう。明日から実際に始められるように、行動はできるだけ具体化するのがポイントです。

キャリアデザインを設計するポイント

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・ ポータブルスキルに注目する

Can(できること)を知るために、自分の強みや弱み、身についたスキルなどを整理する際は、ポータブルスキルを意識するといいでしょう。

ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても使える汎用的なスキルのこと。エクセルで集計・分析ができる、経理の知識があるといった業務遂行能力、コミュニケーション力や調整力などのヒューマンスキルが代表的です。

人材の市場価値を決めるベースとなる要素のため、キャリアチェンジや転職を考えるなら、ポータブルスキルを身につけることが大事です。キャリアの棚卸しをする際は、「今の自分はどんなポータブルスキルを持っているか」を意識しながら紙に書き出すと、現在の自分に足りないスキルを把握しやすくなります。

・ 柔軟性を持つ

キャリアデザインは定期的に見直すことが大事です。仕事や環境が変われば自分の考えや気持ちも変化しますし、家庭の事情などで思い描いていたキャリアステップを歩むのが難しくなることもあるからです。

一度描いたキャリアデザインにこだわりすぎると、目の前のチャンスを見逃してしまうリスクがあります。「自分が次にやるべきことはこれ」と決めつけてしまうと、変化後の状況に合った仕事や役割を得る機会があっても、気づかずに終わってしまう可能性があるのです。

長い人生に変化はつきものと考え、何か変化があればキャリアデザインを見直す習慣をつけるなど、柔軟性を持って自分のキャリアと向き合うことが必要です。

・ 周囲からアドバイスを受ける

自分一人で考えたキャリアデザインが最適なものとは限りません。自分のことだからこそ先入観や思い込みがあったり、他人から見た強みや弱みに気づかないこともあります。キャリアデザインを設計したら、信頼できる友人や上司に見せて、本当に自分に合っているかを客観的に判断してもらうといいでしょう。

身近な人に相談しにくい場合は、キャリアのプロである転職エージェントに相談するのもお勧めです。キャリアアドバイザーがカウンセリングを行い、これまでの経験や実績などを一緒に振り返りながら、現状と将来なりたい像を明確にし、ゴールに向けてやるべきことをアドバイスします。キャリアデザインについてわからないことや不安なことがあれば、ぜひ一度type転職エージェントにご相談ください。

診断シート・ツールも活用してキャリアデザインを考えよう

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キャリアデザインを設計するために役立つ便利なツールや診断シートを紹介します。取り入れやすいものを活用してキャリアデザインを考えてみましょう。

マンダラチャート

マンダラチャートは、3×3の9マスの枠を使用し、自分の考えを整理する方法です。「マンダラシート」とも呼ばれ、キャリアデザインだけでなく事業計画やスケジュール作成、アイデアの整理などにも使われます。

まず9マスの真ん中にテーマを書き込みます。その周辺に関連する項目を書き入れると完成です。例えば、真ん中に将来なりたい自分の理想像を書き込み、その周辺には仕事、プライベート、家庭、学習、健康、人格などといった関連項目について具体的な行動計画を書き込みます。
真ん中に書き入れたテーマを実現するために、周辺の要素が必要であることが明確に可視化され、それらの要素は密接に繋がり合いながら構成されていることが把握できるでしょう。

価値観診断

価値観診断は、厚生労働省が提供する自己分析のためのツールです。25問の簡単な質問に答えることで、5つに分類された結果のどこに自分が該当するかわかり、自分の価値観が分析できます。

5つの分類は「専門志向」「経営管理志向」「自律志向」「起業家志向」「生活重視志向」です。質問に回答しながら点数をつけると、点数が高い志向が自分の志向であることがわかります。自分の志向を知ることで、どのような働き方を求めているのか整理するきっかけにもなるでしょう。

※出典:厚生労働省「マイジョブ・カード」

ストレングスファインダー

ストレングスファインダーは、米国ギャラップ社が開発した有料のオンラインの才能診断ツールです。177個の質問に答えていくことで、自分の才能や強みがわかります。

才能(強み)は34の資質に分けられており、その中で最も近い5つが診断結果として表示されます。キャリアデザインや転職において、自分の強みや才能を把握していることは非常に重要です。自分の強みや才能を活かして働ければ、やりがいや満足感を感じやすく、企業や社会へもより貢献できるでしょう。

※出典:JA - Gallup「クリフトンストレングスオンライン才能テスト」

キャリアデザインは柔軟に変化させることが大切

キャリアデザインを設計することは、自分に合った働き方で人生を充実させるために大切です。しかし、一度設計したからといって、後から変更してはいけないというわけではありません。

近年、テクノロジーの進化やビジネスモデルの変化などで、働く人の価値観や企業としての在り方も多様化しています。物事の移り変わりが激しい現在では変化を受け入れて柔軟に対応していくことが求められます。そのため、時代の変化に合わせてキャリアデザインも定期的に見直してみるとよいでしょう。「設計通りに目標を達成する」というよりも、「将来なりたい自分」や「どんな人生を送りたいのか」という大きなテーマに照準を合わせて、時代の変化に適応しながら、必要に応じて柔軟に考えていくことが大切です。

まとめ

キャリアデザインを設計するポイント-type転職エージェント

キャリアデザインは、将来のなりたい自分を実現するために、職業人生(キャリア)を主体的に設計していきます。

目標となる姿が明確であれば、そのためにどのようなスキルや能力を獲得する必要があり、どのような行動をとっていけばいいのか、具体的な計画が立てられます。
具体的な計画があれば、計画に沿って行動しやすくなります。行動できればその先にある理想の自分像を実現できる日が来るでしょう。

キャリアデザインの設計が難しい場合は、キャリアのプロである転職エージェントに相談するのもおすすめです。客観的立場から的確なキャリアアドバイスをもらうことができます。

将来なりたい自分を実現し、仕事もプライベートも充実した人生を送るためにも、ときには柔軟に見直しながらキャリアデザインを考えていきましょう。

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