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最終更新 : 2023.8.9
契約社員は、有期契約労働者の一種です。給与や業務内容などの労働条件は、契約時に決められます。これから契約社員で働くか考えている場合、ボーナスがあるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、契約社員でもボーナスが支給されるのかを解説します。契約社員として働くメリット・デメリットや収入をアップさせる方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
青柳 真理子キャリアアドバイザー部 局長
約10年に渡り、営業職やITエンジニア職の転職支援を行う。新卒就職支援やIT派遣のアドバイザー経験もあり。ITエンジニア・クリエイター・マーケター職から各種販売サービス系職種まで幅広い領域と得意とする。結論、契約社員はボーナスが支給される場合もあれば、されない場合もあります。ここではその理由と、契約社員のボーナスの実情、支給がされるかどうかの確認方法を解説します。
労働基準法では、従業員の業績に応じて定期または臨時で支給される賃金をボーナス(賞与)と定めています。※出典元:e-GOV法令検索「労働基準法」
しかし、労働基準法で定められているのは、ボーナスを支給する場合の就業規則や支給回数の記載に留まっています。労働基準法をはじめとするどの法律にも、企業にボーナスの支給を義務づけるものはありません。つまり、契約社員に限らず正社員でも、ボーナス支給の有無は企業の判断に委ねられています。
契約社員にボーナスが支給されるかどうかは、勤務先によって異なります。ただし実際には、契約社員にボーナスを支給しない企業が多いようです。
東京都産業労働局の「契約社員に関する実態調査(令和2年3月)」によると、令和元年度にすべての有期雇用の契約社員にボーナスを支給した企業は37.6%、無期転換社員は52.9%だったことがわかっています。
ボーナスの支給状況 | 有期雇用の契約社員 | 無期雇用の契約社員 |
---|---|---|
全員に支給 | 37.6% | 52.9% |
一部に支給 | 21.7% | 11.8% |
未支給 | 32.7% | 19.3% |
無回答 | 8.0% | 16.0% |
※出典元:東京都産業労働局「契約社員に関する実態調査(令和2年3月)」
また、契約社員にボーナスが支給されても、正社員に比べて金額が低い傾向にあります。厚生労働省の「令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)」では、正社員と比べて賞与の金額が低いと回答した契約社員(有期)が43.7%だったことがわかっています。
正社員と比較した賞与の水準 | 割合 |
---|---|
正社員と比べて高い | 1.1% |
正社員とほぼ同水準 | 4.5% |
正社員と比べて低い | 43.7% |
わからない | 14.0% |
制度がない | 34.9% |
無回答 | 1.8% |
「正社員と比べて高い」と「正社員とほぼ同水準」を併せても5.6%に留まっており、契約社員は正社員と同等以上の賞与金額は期待できないようです。
※出典元:厚生労働省「令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)」
労働基準法第十五条では、使用者は労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定められています。
この明示すべき項目は、絶対に明示しなければならない「絶対的明示事項」と、定めている場合に明示しなければならない「相対的明示事項」に分けられており、ボーナスは相対性明示事項に当たります。そのため、ボーナスが支給される場合は就業規則で支給条件の確認が可能です。
なお、就業規則や契約書にボーナス支給が明記されているにも関わらず、支給されない場合は、契約違反となるため、従業員は企業を訴えることができます。
※参考:e-GOV法令検索「労働基準法」
2021年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が全面施行されたことで、全ての企業に「同一労働同一賃金」が適用されました。
同一労働同一賃金とは、雇用形態によって不合理な待遇差が生じないよう「業務内容や責任の範囲などに違いがなければ、同等の賃金を支払わなければならない」という概念です。正社員と契約社員やパートなどの非正規雇用者の不合理な待遇差を禁止しています。
同一労働同一賃金が導入されたことで、正社員との待遇差は解消されている傾向にあります。しかし現時点(2023年5月時点)では、違反した企業に罰則などが科せられる決まりはないのが現状です。
年収を重視しない場合は、ボーナスがなくても契約社員として働くメリットがいくつかあります。主なメリットは、次のとおりです。
契約社員は、勤務時間や業務内容などの労働条件を契約時に取り決めます。フルタイムが必須ではないため、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できます。例えば幼い子どもがいる場合は、夕方までに終業できるよう勤務先と交渉し、時短で働くことも可能です。
また、契約社員は契約ごとに勤務地が決まっており、基本的には転勤がありません。単身赴任や引っ越しが不要なので、家族のライフスタイルにも影響がなく、安心して仕事に取り組めます。
さらに正社員に比べて残業が少なく、定時で終業できるケースが多い傾向にあります。プライベートの時間を多く確保することも可能です。
契約社員として働くメリットがある一方、ボーナスが無い以外にもいくつかのデメリットもあります。契約社員のデメリットは以下のとおりです。
正社員の場合、成果を出せば昇給や昇進があるケースがほとんどです。昇給すると年収アップにつながります。また、昇進すると重要なポジションにつけるため、業務経験の幅が広がり、さらなるスキルアップが期待できます。一方で契約社員の場合、基本的に昇給や昇進がないため、モチベーションが維持しにくいかもしれません。契約社員は有期契約労働者なので、契約期間の満了を迎えた後に更新されない場合は、契約終了とともに失職します。
また、契約社員は業務内容が限定的なケース多く、希望しても責任のある業務に携われない可能性があります。正社員と同等の業務内容を希望する場合は、契約社員だと物足りなさを感じるかもしれません。
ボーナスがない場合、契約社員のまま収入をアップさせる方法と正社員になって収入をアップさせる方法があります。
現在、ボーナスが支給されていないなら、勤務先と交渉することで、支給対象になる可能性があります。その場合は、いかに自分がボーナスを支給する価値があるか、実績や貢献度を添えてアピールしましょう。
ボーナスの支給対象にならない場合でも、交渉次第では次回の更新時に給与が見直されるかもしれません。
契約社員にボーナスを支給していなくても、正社員には支給している企業があります。この場合は今の勤務先で正社員になればボーナスが支給され、収入をアップさせることが可能です。契約社員から正社員を目指すなら、正社員登用制度を利用する方法があります。
正社員登用制度とは、非正規労働者を正社員に登用する制度です。試験や面接に合格すれば、契約社員から正社員に登用されます。ただし、全ての企業が正社員登用制度を設けているわけではないため、勤務先の制度を確認する必要があります。
近年、大企業を中心に従業員の副業を認める企業が増えています。勤務先が副業を禁止していない場合は、契約社員として働きながら副業をすることで、収入アップを目指すことが可能です。
また、正社員には副業を禁止していても、契約社員には認められるケースも多い傾向にあります。契約社員は正社員に比べて残業が少なく、プライベートの時間を多く確保できるため、その時間を副業に費やすのも手段の一つです。
ただし、契約社員としての業務に支障のない範囲で取り組むようにしましょう。
契約社員が収入を増やすには、正社員になる方法があります。しかし、今の勤務先に正社員登用制度があるとは限りません。
また、登用制度があったとしても実績がなければ、難易度がとても高いということかもしれません。その場合は、別の企業に転職して正社員になり、収入アップを目指しましょう。
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契約社員は勤務地や業務内容が限られており、契約時に勤務時間を調整することも可能です。しかし、正社員に比べるとボーナスが支給されるケースが少なく、支給されても正社員より金額が少ない傾向があります。
契約社員がボーナスを貰うには「企業に交渉する」のも一つの方法です。しかし、勤務先に交渉しても必ず受け入れられるとは限りません。
ボーナスの支給を含めた年収アップを目指すなら、正社員登用制度の利用または転職で正社員になる方法もあります。本記事で紹介した方法を参考に、収入アップを目指しましょう。
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