【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方

掲載日 : 2020.11.19最終更新日 :2020.11.19

【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方

今年に入って世界中に広まったコロナウイルスの感染拡大。日本国内でもまだ収束の兆しは見えず、いつコロナ禍が終わるかも現状ではわかりません。人と人との接触を減らすwithコロナの時代となり、私たちの仕事や生活は大きく変化しました。さまざまな事情から、このタイミングで転職を考える人も増えているでしょう。そこで本記事では、新型コロナウイルスが転職市場に及ぼしている影響やコロナ禍における転職理由の変化、コロナ禍を理由に転職する場合の面接での伝え方について詳しく解説します。

この記事の監修者
監修者の斉藤 由梨

斉藤 由梨キャリアアドバイザー部 部長

一橋大学卒。求人媒体の営業職から「type転職エージェント」キャリアアドバイザーへ転身。 コンサルタント・PM・SI・ベンダーと幅広い領域でのIT業界従事者の転職サポートを行い、 現在は役職経験者の方や組織のリーダークラスを中心に多くの転職者を中心に転職を支援している。 監修者プロフィールを詳しく見る >>
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新型コロナの転職市場への影響(2020年10月末時点)

【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方-type転職エージェント

新型コロナウイルスは転職市場にも大きな影響を与えています。東京商工リサーチの調査「新型コロナウイルス」関連破たん【10月27日16:00 現在】によると、新型コロナ関連の倒産は2月からの累計で全国626件に達しています。6月に103件の倒産が発生した後、7・8月は前月を下回っていましたが、9月には再び増加し100件と高い水準になりました。10月も月間100件のペースで推移しています。

倒産件数を業種別で見ると、飲食業が104件と突出して多く、次いでアパレル関連が65件、宿泊業が53件と続きます。外出自粛や休業要請により、利用客や買い物客が大きく落ち込んだ業界が打撃を受けた結果となりました。また工事計画の見直しなどを受けた建設業が38件、飲食業の不振に関連した飲食料品卸が33件、食品製造業が27件に達しています。

一方で、9月の有効求人倍率は1.03倍と、前月を0.01ポイント下回りました。 これらのデータから、倒産により多くの人が職を失い、新たな職場を求めて転職市場に流入した反面、求人の数は増えていないことがわかります。

新型コロナの影響が少ない業界・職種の転職市場の変化

緊急事態宣言直後は先行きの不透明さから、あらゆる業界・業種で中途採用の中止や見合わせが相次ぎ、4月・5月はここ数年で最も少ない求人数となりました。一方で、勤務先の業績不安を理由とした転職希望者は増加し、求人数と転職者数の不均衡から、選考通過率はコロナ前の半分程度の数値まで下がりました。

ただし、コロナ禍による転職市場へのマイナスの影響は5月で底を打ち、8月中旬頃から求人数や書類選考の通過率は順調に回復して、10月後半には求人ニーズはコロナ前の85%まで回復しました。採用を控えていた営業職の未経験採用も少しずつ再開され、特に法人向けSaaSを提供する企業や、金融・不動産、人材業界の一部で増加が見られます。再流行の懸念はあるものの、これらの業界・職種では、引き続き求人数や採用数について回復傾向が続くと考えられます。

なかでも、新型コロナウイルスによる影響が少ない領域は次の2つです。

【IT・WEB業界】

IT・WEB業界では、エンジニア職種の採用が引き続き堅調です。特に「DX推進」「5G通信」「リモートワーク推奨」などのキーワードに関連した求人数が増加し、選考通過率もコロナ前の水準に戻りつつあります。

【ミドル・エグゼクティブ】

管理職を担うミドル層の採用数は、コロナ禍でも大きな変化は見られませんでした。新型コロナウイルスによる環境変化が大きい時期だからこそ、ITやWEBを活用して新たな事業や取り組みを始める企業が増え、リーダーやマネジメント人材を社外に求める企業が積極的な採用を行なっています。

ただし入社後のポジションと本人のスキル・経験とのマッチ度は、コロナ前より高いレベルで求められるようになりました。ミドルが転職活動をする際は、自分の強みと応募するポジションが十分にマッチしているかを注意深く検討する必要があります。

新型コロナの影響が大きい業界・職種の転職市場の変化

現在も引き続きコロナ禍で大きな影響を受けている、小売、飲食、旅行、製造業の一部では、求人募集を行なっている企業はかなり少ない状況です。また新型コロナの影響が大きい業界・職種からは、非常に多くの転職希望者が出てきている現状があります。よってこれらの業界・業種への転職は、現時点ではおすすめできません。

このように、企業の採用熱は業界・業種によって大きな差があります。転職活動を始めるなら、まずは「どの業界の採用ニーズが高いのか」を調べることをおすすめします。

2020年版転職理由ランキング

コロナ禍の前と後で、人々の転職理由はどのように変化したのでしょうか。type転職エージェントが実施した「転職理由ランキング」の2018年版と2020年版を比較してみましょう。

【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方-type転職エージェント 【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方-type転職エージェント

*2019年9月~2020年8月までにtype転職エージェントで面談を実施した約1万名の転職理由(重複回答あり)

2018年は「業務内容」が1位でしたが、2020年は「年収・待遇」がトップになりました。2020年版のランキングにはコロナ前の集計データも含まれるので、より正確にコロナ後の変化を確認するため、2020年1月以降に絞った集計データも見てみましょう。

【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方-type転職エージェント

*2020年1月~2020年8月までにtype転職エージェントで面談を実施した約7千名の転職理由(重複回答あり)

転職理由の1位はやはり「年収・待遇」で、5位に「コロナ関連」が登場しています。2018年版で3位だった「年収・待遇」が1位になったのも、コロナ禍の影響で自社の経営や事業にマイナスの影響があり、それが収入に影響したことを転職理由として挙げた人が多く含まれると考えられます。

では転職理由を「コロナ関連」と回答した人たちは、具体的にどのような事情で転職を考えるようになったのでしょうか。回答のコメントをいくつか紹介します。

  • ・緊急事態宣言によって外出自粛やリモートワークが進む中、毎日出社しているが手当もなく不安。非常事態でも自分の身を守れる企業に移りたい
  • ・コロナの影響で売上が減少し、賞与が出ず、給与もカットされた
  • ・ コロナ禍により事業が縮小し、自分が所属していた部門がなくなり、やりたい仕事ができなくなった
  • ・ コロナの影響で会社が倒産し、解雇を言い渡された
  • ・ コロナの影響で業績が悪化し、会社の将来が不安になった
  • ・ 会社経営が悪化し、社内で自主退職を募り始めたため転職活動を始めた
  • ・ 業界全体がコロナの影響を受けているため、別の業界へ転職したい
  • ・ 在宅勤務で時間ができたため、転職を考え始めた

やはりコロナ禍の影響で給与や賞与への影響が出たことを挙げる人が多かったほか、事業縮小や業績悪化をきっかけに、会社の将来や働く環境、非常事態に対する会社の姿勢などに不安を覚えた人が目立ちました。また在宅勤務になって時間に余裕が生まれ、自分のキャリアや働き方をじっくり考える機会が増えたことが、転職を考えるきっかけになった人もいました。

転職理由の面接での伝え方

転職活動の面接では、必ず転職理由を聞かれます。なぜなら、その人の価値観や志向性がよくわかる質問だからです。転職理由は前職を辞めた理由と直結しているので、面接官はこの質問をすることで、「この人は何を嫌だと感じるのか」「仕事や働き方において何を重視するのか」を確認し、自社の理念やビジョン、カルチャーや仕事の進め方にフィットするかを判断します。

前職を辞めた理由について嘘をつくのはNGです。会社を辞めるという重大な決断についてごまかすような人物は、一緒に働く仲間として信用できないと判断されます。面接でネガティブな退職理由を答えると印象が悪くなると思っている人は多いのですが、無理にポジティブな理由をひねり出しても、本心でなければ面接官に見抜かれて、かえって「信用できない人間だ」と思われるだけです。

転職理由を答える際に重要なのは、転職理由と志望動機に一貫性があることです。転職理由で「前職では叶えられないこと」を話し、志望動機で「御社ならそれが叶えられると考えた理由」を伝えて、「転職理由→志望動機」をつなぐことが面接官を納得させるポイントです。

また転職理由の前段となる退職理由についても、面接に備えて整理することが必要です。無理にポジティブな理由を答える必要はありませんが、かといって「年収が上がらないから」「待遇が悪いから」とだけ伝えればいいわけではなく、面接での伝え方には工夫が必要です。

きっかけが待遇や年収だったとしても、「それをなぜ個人の力では改善できないのか」という構造的な原因と、それを裏付ける客観的な事実を説明することが求められます。それができないと、「年収や待遇が悪いのは、本人の努力が足りないだけでは?」と思われてしまうからです。構造的な原因まで掘り下げて退職理由を伝えれば、たとえ表面的にはネガティブな理由だったとしても、面接官の評価は下がりません。むしろ冷静な客観的視点や分析力がある人材として高く評価される可能性もあります。
転職理由の伝え方について詳細は下記記事をご覧ください。

【転職理由の伝え方に関する情報はこちら↓】

では、コロナ禍が原因で転職する場合は、面接でどのように転職理由を伝えればいいのでしょうか。次の項目で、具体的な伝え方をケース別に解説します。

コロナが原因で転職する場合

【2020年転職理由ランキング】コロナ禍による転職理由の変化と面接での伝え方-type転職エージェント

① 転職理由が「業績悪化」「経営不振」

会社がコロナ禍によって業績悪化や経営不振に陥り、会社や業界の先行きが不安だったり、現に給与に影響が出ていたりする場合は、そのまま率直に伝えて構いません。その際は、「実際にどの程度、業績が悪化したのか」について、リストラや給与遅延などの具体的な事例とともに伝えると、説得力が増します。会社の業績悪化や経営不振によって、自分の業務や生活に及んでいる影響を明確に伝えることができれば、転職理由として問題ありません。

単に「業績が悪くなって不安」と話すだけでは、面接官に「もしうちの会社の業績が少しでも悪くなったら、また不安になってすぐ辞めそうだ」と思われるリスクがあります。ただ不安な感情を伝えるのではなく、自分がどのような影響を受けているのかを客観的事実とともに伝えることが大事です。

② 転職理由が「リモートワーク」「在宅勤務」

コロナ禍でも会社がリモートワークや在宅勤務を認めてくれないので、働く環境を変えたい。それが転職を考えた理由になった人もいるでしょう。ただ現時点では、それだけを単独の転職理由として面接で伝えるのはお勧めしません。

今のところ、リモートワークや在宅勤務をどのように運用するかは、企業それぞれの方針や考え方に委ねられています。つまり社員のリモートワークや在宅勤務を認めなくてはいけない法的根拠はないということ。よって面接官がこれを正当な転職理由と判断するとは限りません。また応募先の企業が、中途入社の社員にもリモートワークや在宅勤務を適用しているかどうかは、事前に確認する必要があります。

リモートワークや在宅勤務を希望するコロナ禍以外の理由があるなら、それを伝えることで面接官が納得できる場合もあります。例えば「通勤がなければ、家族を介護しながら働ける」といったケースです。しかし、コロナ禍を契機に働き方を変えたいと考え始めた場合、「ラクをしたいから」「効率が上がりそうだから」といった浅い考えが理由なのではないかと面接官に疑われるリスクがあります。

コロナ禍の働き方が転職を考えたきっかけだったとしても、そこからさらに転職理由を掘り下げて会社の仕組みや体質などの構造的な原因を見つけ、面接ではそれを主要な退職理由として伝えて、リモートワークや在宅勤務はあくまで二次的な要素として話す程度に留めたほうがいいでしょう。

③ 転職理由が「倒産」「解雇」

倒産や解雇などの会社都合で転職する場合は、面接でそのまま伝えて問題ありません。転職せざるを得ない状況ですから、むしろ面接官も納得できる転職理由として受け止めます。コロナ禍による倒産や解雇が、転職者個人の責任だと考える面接官はほとんどいないはずです。

ただし一つだけ注意したいことがあります。それは、「会社の状況が厳しい中で、自分が奮闘したプロセスや成果」をセットで伝えること。困難な局面でも、自分にできることを全力で前向きに取り組む人材だと理解してもらうことで、より高い評価につながります。会社都合の転職が業績悪化によるものだとしても、会社のせいにばかりするのではなく、自分もその一員だったのだという謙虚な姿勢は忘れないようにしてください。

また、倒産や解雇にまで至らない段階で、それを転職理由にするのは注意が必要です。「業績が悪い」「ビジネス環境が良くない」といっても、今はコロナ禍の影響を受けていない業界を探すほうが難しい状況です。この段階で業績や環境の悪化だけを転職理由にすると、面接官に「環境が悪くなったらすぐ会社を見切る人物で、自社に定着するかどうか懸念がある」と判断されてしまう可能性があります。

withコロナ時代の転職成功のポイント

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「新しい生活様式」を踏まえ、「自分が仕事に求めるもの」を改めて整理してみることをおすすめします。コロナ禍で働き方に対する考え方が変わった人が多いのと同時に、企業が社員の働き方を見直す事例も多く、ワークスタイルでも多様性が広がっています。選択肢が増えたことにより、これまでは実現できなかった働き方が手に入る可能性も出てきました。だからこそ「自分は何を大切にしたいのか」をきちんと整理した上で、何を選択するかを考えることが、転職を成功させるポイントになります。

コロナ禍によってさまざまな業界がダメージを受けましたが、一方で良い変化も起こっています。劇的な変化によって古い商習慣や技術が一気に更新され、新たなビジネスチャンスが数多く生まれています。世の中が切り替わる今のタイミングは、キャリアチェンジの大きなチャンスでもあるのです。

新たなビジネスチャンスがどこにあるのかを見極め、これから伸びる業界・業種を選択肢に入れることが、転職でより良いキャリアを実現するための秘訣です。コロナ禍による変化のポイントは、3つに集約できます。

  • ①コロナをきっかけに売上の成長を見込める分野・業界が発生
  • ②就業時間、働く場所の見直しが常態化
  • ③デジタル化(DX) / 自動化 / 通信5G化+料金引き下げへの急激な切り替えによる仕事・生活環境の変化

コロナ禍によってしばらくは経済も停滞が続くと思いがちですが、成長が見込める分野はたくさんあります。自動運転やドローンを中心としたIoT、新素材開発、遠隔診療を含む医療系、物流・倉庫業向けテクノロジーなど、すでに大きな伸びを見せている領域も数多く存在します。

よって転職する業界や企業によっては、大きくキャリアを伸ばせる可能性があるということ。これだけの飛躍が期待できるのは、数十年に一度のチャンスと言っていいでしょう。

ただしそのためには、転職市場の変化を正しく捉えるだけの情報量が必要です。また中途採用もオンライン面接が主流になっているため、新しい採用スタイルへの対策や準備も不可欠です。

type転職エージェントでは、常に転職市場や各業界の最新情報を豊富に揃え、転職希望者に提供しています。加えて、オンラインを含めた面接対策も手厚く行なっています。コロナ禍における転職でわからないことや悩んでいることがあれば、ぜひtype転職エージェントにご相談ください。

まとめ

コロナ禍で先行き不透明な状況が続く一方、転職市場や企業の採用状況には明るい兆しも見え始めています。業界や職種によっては、むしろ積極的な採用を行っているところもあります。コロナ禍が理由で転職する場合も、業界・職種ごとの採用動向を把握し、面接で納得感のある転職理由を伝えることができれば、希望する企業に転職できる可能性は十分あります。転職を考えている人は、改めて転職理由を整理し、前向きな気持ちで転職活動をスタートしましょう。

参照:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について
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