管理職経験は異業種転職で有利になる? 業界未経験をカバーする転職面接のポイント

掲載日 : 2022.05.09 最終更新日 : 2022.05.09

管理職経験は異業種転職で有利になる? 業界未経験をカバーする転職面接のポイント

管理職まで上り詰めた人の中には、さらなるステップアップを目指して別の業界に転職したいと考えるケースもあるでしょう。とはいえ「30代半ばを過ぎたし、この年齢で異業種に挑戦するのは難しいかもしれない」と迷っている人がいるかもしれません。

では実際のところ、管理職経験者が未経験業界へ転職することは可能なのでしょうか。 type転職エージェントのキャリアアドバイザーが詳しく解説します。

この記事の監修者
監修者の斉藤 由梨

斉藤 由梨キャリアアドバイザー部 部長

一橋大学卒。求人媒体の営業職から「type転職エージェント」キャリアアドバイザーへ転身。コンサルタント・PM・SI・ベンダーと幅広い領域でのIT業界従事者の転職サポートを行い、現在は役職経験者の方や組織のリーダークラスを中心に多くの転職者を中心に転職を支援している。 監修者プロフィールを詳しく見る >>
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そもそも管理職とは

管理職とは、組織マネジメントを担うポジションです。 主に部下を管理してチームの成果を最大化し、ビジネスの成長に貢献します。 企業によっては、高度な専門性や豊富な知見を持つ専門職に対し、管理職の肩書きや権限を与えるケースもあります。

管理職(マネジメント)経験者は未経験業界には転職しにくい?

転職市場において、管理職を経験した人が未経験業界へ挑戦するのは難しいとされます。 なぜなら、特定の業界で管理職になれるほど高いスキルを持つのであれば、その経験を活かして同じ業界へ転職する方が有利だからです。 また管理職になって長く現場を離れていた人が、新たな業界で現場の業務から経験を積むことになった場合に、いちから頑張れるのかという企業側の懸念もあります。

ただし、管理職経験者は誰もが不利かと言えば、そんなことはありません。本人の年齢とマネジメントする職種によっては、未経験業界へ転職できる可能性は十分あります。 そのカギを握るのは、「業界をまたいで活用できる経験・スキル」を保有しているか否かです。

例えば今はどの企業も、高い技術を持つITエンジニアやDX関連のプロジェクトで活躍できる人材を必要としています。こうした専門スキルに加えてマネジメント経験がある人材なら、業界を問わず求人があります。 また人事や経理などのバックオフィス部門はあらゆる企業に存在するため、これらの職種について専門性を持った管理職経験者なら、他業界へ転職できるチャンスは多くなります。

一方で、自分が保有する経験・スキルが、特定の業界でしか活かせない場合、未経験業界への転職は難易度が高くなります。 業界特有の知識や技能のみで仕事をしてきた人は、これまでのキャリアを棚卸しして、業界をまたいで活用できる経験・スキルがないかを洗い出してみることが必要です。

とはいえ、どんなスキルや経験が他の業界で通用するのか分からない人もいるでしょう。その場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談するのも一つの方法です。 転職市場や企業の人材ニーズに詳しいプロがキャリアの棚卸しからサポートしてくれるので、経験・スキルを洗い出す作業もスムーズに進みます。

管理職の立場から未経験業界へ転職する際の注意点

①給与や待遇が下がるケースもある

管理職として異業界へ転職する場合、最初から管理職として採用されるケースと将来的な管理職候補としてメンバー採用されるケースがあります。 後者の場合は特に給料が下がる可能性もあるため、 「自分は何を実現するために転職するのか」という軸をしっかり持ち、将来のキャリアのためなら一時的に給与や待遇が下がっても許容できるかを考えることが大切です。

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②家族の理解が必要

管理職世代は家庭がある人も多いため、転職後の給与や待遇は家族にも大きな影響を与えます。 本人が納得しても、家族の理解が得られなければ転職は難しくなるため、 転職先を決める際は家族とよく話し合うことをお勧めします。

③年下の上司、年上の部下といった人間関係が生じやすい

管理職経験者であっても、転職先では新たな人間関係を築いて行かなければいけません。 しかも管理職ではなくメンバーのポジションで転職した場合、その業界や会社での経験が長い年下の人物が上司になることもあります。 プライドを捨てて部下の立場に徹し、これまで築いてきた仕事のやり方を変えなければいけない場面も多々あることを理解しておきましょう。

④これまで培ってきた人脈やノウハウが役に立たないことも

会社が変われば、組織のカルチャーや業務の進め方も変わります。 そのため今まで培ってきた人脈やノウハウをそのまま活かすことが難しく、場合によってはいちから仕事のやり方を構築し直す必要が生じます。 新たな人間関係やスキルを作ることにストレスを感じず、転職先で活躍するために必要なプロセスなのだと前向きに捉えて、 楽しみながら挑戦するマインドと行動力が求められます。

⑤即戦力への期待が高いためプレッシャーを感じる

企業が管理職経験者を管理職として採用する場合、即戦力を求めるケースがほとんどです。 たとえ業界未経験であっても、「マネジメントを経験しているなら、若手とは違って早期に高いパフォーマンスとリーダーシップを発揮してくれるはずだ」という期待があります。 よって入社後は、即戦力として活躍しなければいけないことへのプレッシャーを感じる場面もあるでしょう。

会社の期待に応えるには、面接や内定後の面談を通じて、入社前に組織の課題や自分に求められているミッションを把握することが重要です。 双方の認識にギャップがあった場合、管理職として求められる成果を出すのが難しくなる可能性もあるので、事前にしっかり確認する作業が不可欠です。

管理職の立場から未経験業界へ転職する魅力

管理職の未経験業界への転職には厳しさやプレッシャーもありますが、一方で魅力も数多くあります。自分の可能性を広げたい、人材価値を高めたい、と考える管理職経験者にとって、チャレンジしがいのある選択肢と言えるでしょう。

①前職では得られないチャンスが巡ってくる

同業界への転職と比較して、異業界への転職は現職や前職では想像できなかったようなチャンスが巡ってくる可能性があります。 とくに市場規模が大きくなると予想される成長業界や企業では、キャリアップや挑戦の機会が増えることが期待できます

②ノウハウを応用して「自分ならでは」の価値を発揮できる

管理職の経験がある人は、その業界で成果を上げてきたからポジションを得たのであり、有益なノウハウや成功体験を数多く持っているはずです。 未経験業界で前職のノウハウをそのまま活かせる機会は減るかもしれませんが、転職先の企業や業界に合わせてアレンジを加えれば、今までにない成果や他の人にはない自分ならではの価値を発揮できる可能性があります。

③さまざまな業界を知ることで視野が広がる

一つの業界しか知らない人と、複数の業界を知っている人を比較すれば、後者の方がビジネスパーソンとして視野が広がりやすいのは明らかです。 特に今後は70歳まで働くのが当たり前の時代になり、労働年数が長期化するため、 さまざまなビジネスを経験して視野を広げることは、人生における大きな資産になります。

面接時のポイントと対策

①業界・企業研究は念入りに

管理職経験者ともなれば、年齢は30代以上という方が多いでしょう。 第二新卒の転職なら、面接でうまく答えられないことや多少ずれた回答があっても「社会人経験が浅いから」で済みますが、社会人経験が長ければ厳しい目で見られます。

面接官の質問に的確に応えるには、業界研究や企業研究が重要となります。 これらは社会人経験のない新卒や第二新卒がやることだと思われがちですが、実は面接でシビアに精査される管理職経験者こそ、しっかりと取り組むべきです。 応募する業界・企業のビジネスモデルや課題を詳しく調べて、自分なりの仮説を立てて面接に臨めるように準備しましょう。

また業界や企業を研究すれば、前職・現職の業界とのビジネス上の類似点や求められる能力を推測できるので、自分の強みを活かせる点を見つけて面接でアピールできます。 業界の特性が異なるとしても、過去の経験やスキルを応用してどのようにギャップを補っていくつもりかを話せれば、即戦力として活躍できる人材という印象を与えられます。

そのためにも事前に念入りな情報収集やリサーチを行い、入社後の仕事や期待される成果を具体的に想定できるように準備することが大切です。

②業界を超えて活躍できる根拠を示す

管理職経験者については即戦力採用を目的としているため、企業側は「業界を超えて成果を出せるか」を注視します。 よって面接で過去の実績を伝える際は、再現性の高さをアピールすることが重要です。 業界や会社が変わっても活躍できる根拠を示すには、どのような工夫や努力によって前の業界と同様の成果を出すつもりかを具体的に話せるといいでしょう。

③志望動機は明確に語る

どの年代の転職でも「なぜその企業に入社したいのか」について説明を求められますが、管理職で未経験業界を希望する場合は、さらに明確な志望動機が問われます。 「なぜ現在の地位を手放してまでこの業界・企業に入社したいのか」を面接官は知りたがっているからです。

面接官を納得させる志望動機を語るには、「この業界・企業で自分は何をやりたいのか」をはっきりと伝え、転職への意欲をアピールすることが必要です。 この点が曖昧だと、「それなら元の業界のままでもいいのでは?」「今の会社で管理職を続けた方が、夢を実現できるのでは?」といった指摘を受けることになり、選考を通過するのは難しくなります。

自分一人で志望動機を明確化するのが難しい場合は、プロのキャリアアドバイザーと相談しながら面接の準備をするのがお勧めです。

入社前の準備と入社後に気を付ける点

異業界へ転職後、早期に活躍できる人には共通点があります。 それは入社前の準備をしっかり行っていることと、柔軟性を持って業務に取り組んでいることです。

すでに述べた通り、入社前の面談などを通じて情報収集し、組織の課題や自分に与えられるミッションを事前に把握しておくことが必要です。 また入社後は、過去の成功体験や仕事のやり方に固執するのではなく、新しい業界や組織に合わせてアレンジを加え、 自分自身を柔軟に変化させていくことが重要です。

ただしどんなに準備や心構えをしても、まったく経験のない業界へ転職すれば、ほとんどの人が最初は成果を出すのに苦戦します。 ある程度のギャップや壁があることをあらかじめ想定し、思い掛けないことやスムーズに行かないことがあっても、前向きに受け入れて進んでいくことを意識しましょう。

まとめ

管理職経験者でも、未経験業界へ転職するチャンスは十分あります。 どの業界でも活かせる汎用性の高い経験やスキルを持ち、しかもマネジメント経験がある人材なら、即戦力として採用されるケースは少なくありません。 本記事で紹介した転職面接のポイントを踏まえ、しっかり準備をして採用選考に臨んでください。

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