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最終更新日 :2023.07.19
転職を考えた時、「どのタイミングがベストなのか」が気になる人は多いでしょう。とくに管理職は若手に比べて転職が難しいとされるため、できるだけ成功確率の高い時期に転職したいと考えるのは当然です。
そこで本記事では、管理職の転職におけるベストタイミングや逆に転職すべきでないタイミングについて詳しく解説します。
斉藤 由梨キャリアアドバイザー部 部長
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント管理職とは、組織マネジメントを担うポジションです。 主に部下を管理してチームの成果を最大化し、ビジネスの成長に貢献します。 企業によっては、高度な専門性や豊富な知見を持つ専門職に対しても、管理職の肩書きや権限を与えるケースがあります。管理職は役職の責任が重い分、その対価として、年収がメンバークラスよりも高いです。
転職市場において、一般的に管理職の転職は難しいとされています。理由は、募集人数が圧倒的に少ないからです。
管理職のもとで働くメンバーは一定の人数が必要なので、若手や中堅社員であれば、経験値が多少足りなくても入社後の成長を期待して採用されることがあります。それに対し、管理職の場合は、マネジメントを担う組織に対してポジションは1つしかなく、採用されるのも1人だけです。
また管理職の場合、採用の段階で企業側が「この人なら入社後すぐに活躍してくれるはずだ」と確信を持てるだけの実績や根拠が求められます。即戦力として活躍できるだけの経験を備えていることが採用条件となるため、マネジメント経験がまったくないと管理職として転職するのは困難です。
このように募集の数が少ない上に、入社後にマネジメントする組織の特性にマッチする経験を求められることが、管理職の転職が難しいとされる理由です。
「管理職として転職するなら、ベストタイミングはいつか」「管理職の求人が多い時期はあるのか」を知りたい人もいるでしょう。
しかし一年の中で、求人が時期によって増減することはありません。会社によって年度が始まる時期は異なるので、4月になると求人数が極端に増えるといったこともありません。
よって転職するのに季節的な意味でのベストタイミングはなく、いつ転職しても問題ありません。とくに管理職の求人を出す時期は個々の会社の事情によるため、自分に合う求人に出会えるかどうかは運も大きく左右します。気になる求人があったらすぐ動けるように、転職を考え始めた段階で転職エージェントに登録して、情報収集を始めておくのも一つの方法です。
では自分の長いキャリアの中で考えたとき、管理職が転職するベストタイミングはあるのでしょうか。転職を成功させるには、次の2つのタイミングがおすすめです。
組織マネジメントでは、特定のミッションを担うチームを率いて目指す方向性を示し、所属するメンバーを中長期的に育成・評価することが求められます。そのため中途採用の選考では、前職でチームとしてどのような成果を残したのか、メンバーの育成や人事考課の経験はあるかを主に見られます。
まだ成果を出していないのに転職活動をすると、企業から「管理職として認識が甘く、使命感や責任感に欠ける」と判断される可能性が高くなります。よって管理職が転職するなら、成果を出した後がいいでしょう。
採用選考で評価されるには、業務効率の改善や売上・利益などの数字、人材育成など、自分の部署が追っている目標に対して、どれだけ貢献したかを示すことが重要です。成果を具体的な数字で言えると、貢献度がより伝わりやすくなります。
管理職が転職しようとすると、現在の会社から引き止められることが多くなります。とくに引き継ぎで揉めたりすると、予定していた入社時期が大幅に遅れて、転職先にも迷惑をかけることになりがちです。かといって、引き継ぎを終わらせないまま途中で辞めてしまったら、管理職として無責任と思われても仕方ありません。
こうしたトラブルを防ぐためにも、計画的に部下を育成し、自分の業務を誰かに引き継げる目途が立ったタイミングで転職するのがベストです。一般的に管理職の引き継ぎは3~4か月ほどかかることが多いので、転職を考えるなら引き継ぎの期間も想定しておくといいでしょう。
逆に管理職が転職すべきでないタイミングもあります。次のような時期に転職するのは控えるのが無難です。
「昇進して役職者の肩書きさえ手に入ったら、すぐに転職しよう」と考えるのはお勧めしません。すでに説明した通り、管理職としてマネジメントの実務経験を積み、成果を出した後でないと、転職に成功するのは厳しいからです。
人事評価や部下育成など一通りの実務を経験し、転職活動でアピールできるだけの成果を出すには、最低でも管理職になってから1年はかかると考えてください。
「今の会社とは方針が合わない」「今の職場では仕事がうまくいかない」といった動機だけで転職を考えるのは、得策ではありません。「今が嫌だから」という転職理由を面接で伝えても、「転職してもまた同じことの繰り返しでは?」と厳しい目で見られるだけです。
とくに管理職は、より説得力のある転職理由を求められます。たとえ転職を考えたきっかけは「今が嫌だから」だったとしても、それはなぜかを自分の中で突き詰めて、前向きな転職理由に転換して伝えることができないと転職は難しいでしょう。
「会社の方針と合わない」が転職を考えたきっかけなら、「なぜ今後も会社の方針が変わらないと考えたのか」について深く掘り下げて考える必要があります。
「自分は管理職としてこれだけのミッションを達成したが、それでも会社と方向性の一致が図れなかった」など、現状を変えるために自分がどれだけ努力や工夫をしたのかを説明した上で、「よって個人の力で会社を変えるのは困難と考え、転職を決意した」と言えなければ、面接官を納得させることはできません。
自分はまだそこまで転職理由を突き詰められていない、あるいは「それなら転職を考えるのも納得できる」と思わせるだけの努力や工夫ができていないなら、転職するタイミングではないと考えるべきです。
また「今の仕事がうまくいかない」という転職理由であれば、そもそも自分が管理職に向いているのかを考える必要があります。管理職の仕事は部下を育成したり、チームを一つの組織として動かしたりしながら、ミッションを達成することです。もし「部下をうまく育てられない」「チームをまとめるのが苦手」と感じるのであれば、他の会社に転職しても同じ壁にぶつかります。
この場合も自分の適性や今後のキャリアについて掘り下げて考え、「本当に自分は管理職としてキャリアを積みたいのか」についての答えが出るまでは、安易に転職を考えるのはやめた方がいいでしょう。
管理職世代は家庭がある人も多いため、家族の理解が得られなければ転職するのは難しくなります。転職によって年収が下がる可能性や、転職先の会社の安定性について家族が気にすることも多く、内定をもらっても結局は家族の反対で転職をあきらめるケースもよくあります。転職するなら家族としっかり相談し、理解を得たタイミングで動き出す方が結果的にうまくいきます。
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すでに述べた通り、「今が嫌だから」で思考停止してしまうと、転職に成功するのは難しくなります。今の会社や仕事に対する物足りなさや不満がきっかけで転職を考えるのは構いませんが、「なぜ今の環境がベストではないのか」「自分にとって何がベストなのか」をきちんと掘り下げ、自分の言葉で語れる人でなければ面接で評価されません。 転職理由は会社選びや志望動機にもつながる大事な要素なので、「自分は何がやりたいか」を突き詰めて考え、明確に言語化することが求められます。
説得力のある転職理由を語れる人は、自分を客観視できる人でもあります。「今が嫌」という主観的な感情で衝動的に転職を考えるのではなく、「そもそも自分は本当に転職すべきなのか」「今の会社で働き続ける選択肢もあるのではないか」と冷静にみずからを振り返り、「やはり自分は○○がやりたい」と答えを出した人は転職に成功しやすくなります。 なんとなく転職を考えるのではなく、「なぜ自分は転職するのか」を本気で突き詰めることが重要です。
転職に成功するのは、現職で成果を出しただけでなく、転職先でも同様の活躍が期待できると判断された人です。よって「なぜ成果を出せたのか」について、根拠となる具体的な行動やプロセスを説明し、次の職場でも成果を再現できると示す必要があります。 とくに管理職は即戦力を採用するため、企業側に「この人なら入社後に活躍してくれる」と思わせることが必須です。
管理職の転職では、「こんなはずではなかった」「聞いていた話と違う」といったミスマッチが発生するケースが少なくありません。それを防ぐには、「管理職として果たすべきミッションは何か」「裁量や権限の範囲はどれくらいか」などを、入社前に可能な限り理解しておくことが必要です。 また自分がマネジメントする組織のメンバーや報告を上げる上長がどのような人たちかも確認し、「経営側の意図が理解できるか」「その意図を共有できるメンバーか」を把握して、自分が管理職として会社が期待する成果を出せるかを見極めることが重要です。
管理職が転職のベストタイミングを考えるなら、「一年のうちでいつが有利か」ではなく、「管理職として成果を出せたか」「業務の引き継ぎがうまくいくか」を考慮することが重要です。また採用面接では「なぜ転職するのか」について説得力を持って語れなくてはいけません。管理職の転職に成功するには、時期的なタイミングだけにこだわるのでなく、まずは現在の会社で成果を出すことや自身のキャリア観を確立することが必要です。
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