法人営業の仕事内容は?個人営業との違いや、未経験転職の成功のコツを解説

最終更新日 :2023.07.13

法人営業の仕事内容は?個人営業との違いや、未経験転職の成功のコツを解説

営業職の中でも、企業を相手に取引するのが法人営業です。企業向けの商品やサービスを扱う会社で販売の最前線に立ち、自社の売上を生み出す重要な役割を担います。そこで本記事では、法人営業の仕事内容やキャリアパス、求められるスキルや転職市場の動向などを詳しく解説します。

この記事の監修者
監修者の檀上 悠一

檀上 悠一キャリアアドバイザー部 部長

営業職の転職支援を中心にキャリアアドバイザーとして従事。現在は営業職や販売・サービス職の転職支援を行うキャリアアドバイザー部の部長。第二新卒向けの面接対策や、女性の転職支援にも強い。

法人営業とは?

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法人に対して商材を売る仕事です。不動産、日用品、洋服など形のある「有形」の商材と、金融商品、人材サービス、IT、広告、コンサルティングなど形のない「無形」の商材に分かれます。

法人営業の手法には、直接クライアントに売り込む「直販」や、販売代理店に対して販促を行う「代理店営業」など、いくつかの種類があります。さらに直販は、新たな顧客の開拓を目指す「新規営業(新規開拓)」と既存の顧客を対象とする「既存営業(ルート営業)」に分かれます。一方、代理店営業は既存営業がほとんどです。

ルート営業と新規開拓の違い

新規開拓はこれまで取引のない新しい顧客にアプローチし、一から関係を築きます。見込み顧客をリストアップし、電話などでアポを取って接点を作り、課題のヒアリングや提案などを行って新規契約の獲得を目指します。

一方のルート営業は、すでに取引のある顧客を対象とするため、基本的に飛び込み営業やテレアポはありません。契約の更新や追加の発注を目的に、他の商品・サービスの提案や取引中の商品・サービスのフォローアップなどを行います。

ルート営業について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

法人営業と個人営業の違い

法人営業と個人営業の大きな違いは「誰に対して営業を行うか」です。

法人営業は、文字通り法人企業に対して営業活動を行います。法人営業の特徴としては、取引金額や、規模が大きいことです。また意思決定者が複数いる場合が多いため、契約に至るまでのプロセスは複雑で調整や交渉には時間と労力が必要になります。しかし、その分受注が決まると大きな売上が発生することから、年収アップがしやすいのがメリットです。

一方、個人営業は一般消費者、つまり個人を対象とした営業活動です。取引の規模は小さく、商品やサービスの種類も多様です。顧客のニーズは個々に異なるため、顧客に合ったアプローチが求められます。また決裁権は消費者自身が持っているため、購入に至るまでのスピードが早いのが特徴です。それゆえに、売上の難易度は法人営業と比べて低いため、年収アップもしづらいのが個人営業のデメリットでしょう。

以上の違いから、これら二つの営業形態はそれぞれ異なる戦略やスキルが求められ、効果的な営業方法も異なります。自分に合った営業スタイルが実現できる方を選択すると良いでしょう。

法人営業の仕事内容

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・ 法人営業の仕事の流れ

  • ①アプローチする顧客のリストアップ
  • ②電話などでアポを取る
  • ③顧客と打ち合わせを行う。課題や予算のヒアリング、自社サービスの説明を実施して、具体的な提案に進める
  • ④提案(見積もりの提出、プレゼン)を行い、決裁者の了解を得る
  • ⑤契約成立
  • ⑥サービスのスタート~サービス中のフォローを行う
  • ⑦サービス後の振り返りを行い、継続契約を提案する

・ 商材と顧客

商材によって、営業相手となる顧客は変わります。例えば下記のような組み合わせが考えられます。

  • ・【商材】食品、消費財などの完成品 ⇒ 【顧客】流通・小売
  • ・【商材】産業用機械、部品、資材、原料など ⇒ 【顧客】製造業
  • ・【商材】資金融資、保険など ⇒ 【顧客】業界問わず資金調達や資産管理が課題の企業
  • ・【商材】人材採用、福利厚生、教育、人材管理などのサービス ⇒ 【顧客】業界問わず「人」が課題の企業
  • ・【商材】広告 ⇒ 【顧客】業界を問わず集客が課題の企業
  • ・【商材】ITシステム(SaaS含む) ⇒ 【顧客】業界問わず業務効率化が課題の企業

法人営業のやりがい

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・ 動かす金額の規模が大きい

個人営業に比べて取り扱い金額が大きく、広い範囲に影響を与えられるのが法人営業の特徴です。

個人営業が営業活動を通じて価値を提供できるのは基本的に顧客一人に対してだけですが、法人営業は企業に勤める複数の担当者を窓口とし、時にはマネジメントや経営層に提案を行うこともあります。

企業に自社の商品やサービスを活用してもらうことで、顧客の事業を成長させたり、業務を効率化したり、組織の生産性を高めたりと、相手のビジネスに大きく貢献できる可能性があるのも醍醐味です。

・ スキルアップできる

大きなスキルアップを期待できるのも法人営業の魅力です。企業と契約を結ぶには、窓口となる担当者だけでなく、その上にいる決済者にまで自社商材を購入するメリットが伝わるように、数字やファクトに基づくロジカルな提案が求められます。

こうした論理的な思考やコミュニケーションはどの業界や企業でも求められるので、法人営業を経験すれば、キャリアの選択肢を増やすことができます。実際の求人でも、応募条件に「法人営業経験必須」と記載する企業が数多く見られます。

法人営業に必要なスキル

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① コミュニケーション能力

法人営業にとって、コミュニケーション能力は非常に重要なスキルの一つです。
法人営業は、顧客との信頼関係を構築し、顧客のニーズや課題を理解しなくてはならないことから、顧客と円滑なコミュニケーションを行い課題を的確にヒアリングすることを求められます。

また、法人営業は顧客に最適な提案をするための情報収集や分析を行う必要があり、チーム内でのコミュニケーションも必要不可欠です。

コミュニケーション能力は、「傾聴力」と「話す力」の双方が重要です。
傾聴力があれば、相手の話に注意深く耳を傾け、相手の気持ちや考えを理解できます。顧客のニーズや課題を理解するために、傾聴力を高めることは必須でしょう。傾聴力を高めたい場合は、相手の話を注意深く聴き、相手の意見や気持ちを汲み取るように心がけるのがおすすめです。

また、ヒアリングした課題をもとに顧客に的確な解決策を提案するには「話す力」が重要になってきます。話す力を高めるためには、コミュニケーションの場面を意識して、話し方や表現力を磨くことが必要です。

どちらか一方が備わっていてもコミュニケーションス能力は向上しません。「傾聴力」と「話す力」の双方のバランスを意識しながらコミュニケーション能力を向上させましょう。

② 誠実さ

法人営業は「会社対会社」の取引であり、自分が会社を代表する立場として商談を進めます。よって顧客は、目の前の営業担当を見て、その会社が信用できるかどうかを判断します。法人営業では、誠実で真摯な対応や信頼できる人柄が必須と言えるでしょう。

誠実さの有無は、日頃の行いで判断されます。メールの返信速度や、打ち合わせの時間厳守、相手への気配りなど細かいところではありますが、こういった積み重ねが誠実さの判断材料になります。ここが疎かになってしまうと、相手に負のイメージが蓄積され「信用できない営業」と認識されてしまうため、地道ではありますが初心を忘れずに行動することが大切です。

③ 説明能力

商談を成立させるには、商品やサービスの特徴やメリットなどをわかりやすく伝える必要があります。前述の通り、法人営業では窓口の担当者だけではなく、その上にいる決裁者や関連部署なども含め、顧客企業のあらゆる関係者に自社商材を購入するメリットを納得させなくてはいけません。そのためにはロジカルかつ簡潔に、誰にでも理解できる説明能力が求められます。

④ プレゼンテーション能力

プレゼンテーション能力には、わかりやすく説明する力だけでなく、クライアントと信頼関係を築いて課題を聞き出す力や、その課題を分析する力、分析の根拠となる数字を扱う力、資料を作成する力などが含まれます。これらの能力を総合し、「自社商材を使えば、顧客の課題をどのように解決できるのか」「自社と契約することで、どのような顧客の利益につながるのか」について、説得力を持ってプレゼンできるかが問われます。

上記以外にも、顧客が望む商材の購入・導入の時期に向けてスケジュールを管理する能力や、チームで営業する際に必要な人員を集めたり調整したりするディレクション能力も必要です。さらにマインド面では、高い目標の達成意欲や逆境でもあきらめない粘り強さ、自分を日々スキルアップしていく学習意欲の高さなども求められます。

法人営業のキャリアパス

法人営業の経験があれば、さまざまなキャリアパスが拓けます。「営業としてどのように売上を伸ばして行きたいか」という志向性によって、下記のようなキャリアパスが考えられます。

  • ・「組織を拡大したい・人材を育成したい」→チームリーダー、管理職
  • ・「事業効率を高めたい」→営業企画、マーケティング
  • ・「事業を新たに作りたい」→事業企画、新規事業立ち上げ
  • ・「自分の営業スキルを極めたい」→営業専門職、スペシャリスト
  • ・「営業のノウハウを外販したい」→コンサルタント、起業

また業界によっては、営業職以外の職種を目指せる可能性もあります。例えば、インターネット広告の営業からWebマーケティング職へ、人材紹介の営業から人事職へといったように、その業界ならではの専門知識や経験を活かして別職種へ転じる道も考えられるでしょう。

法人営業の転職市場

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・ IT・Web業界や人材業界で求人が増加

法人営業に限らず、企業が人材採用を行う背景には2つのパターンがあります。1つは、人の出入りが激しく、恒常的に人材不足に陥っているケース。もう1つは、企業の売上が伸びており、組織拡大や事業の多角化に向けて人材を求めるケースです。

転職先で長期的なキャリアを築きたいのであれば、後者の「売上増加に伴う人材募集」を行なっている企業を選ぶことをお勧めします。現在は、IT・Web業界や人材業界で売上が伸びていて、法人営業の採用が活発化しています。特にSaaSを提供する企業で求人の増加が目立ちます。

これらの業界は若手にも裁量を持たせる傾向が強いため、上から指示がなければ動けない受け身タイプより、自ら考え、主体性を持って行動するタイプが好まれます。また無形商材を扱うIT・Web業界や人材業界では、ものの性能や価格で勝負できないため、顧客の課題としっかり向き合い、自分で解決策を導き出す力も求められます。

・ 専門領域に特化した求人が増加傾向

SaaSやサブスクリプションモデルを手掛ける企業では、業務の細分化が進んでいて、一人の営業が全工程を担当しないケースも増えています。近年では営業の工程を「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス(外勤営業)」「カスタマーサクセス」に分ける「The Model」と呼ばれる概念が注目されていて、実際の業務をこの4段階に切り分けて、それぞれ専門部隊を配置する企業も多くなりました。

よって人材採用についても、今後は「インサイドセールス募集」「フィールドセールス募集」など、専門領域に特化した求人が増えて行くと予想されます。

・ 潜在化した課題を解決できる人材のニーズが上昇中

転職市場の動向としてもう一つ目立つのが、SMB(Small to Medium Business, Small and Medium Business)と呼ばれる中小企業向け課題解決型営業の経験者を求める企業が増えていることです。中小企業の場合、顧客自身も整理や言語化ができていない潜在的な課題が多いため、それを発見して数字やデータなどのファクトベースで解決策を提案し、受注につなげてきた経験が重宝されています。

逆に、顕在化したわかりやすい課題に対し、企業同士の関係性やフットワークの軽さ、金額の調整だけで解決してきたタイプの営業は、企業からのニーズが低く、転職先の選択肢は限られる傾向にあります。

法人営業への転職を成功させるポイント

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心構えのポイント

① 短期集中で臨む

転職を成功させる最大のポイントは、1か月間を目安に短期間で全力投球することです。新卒採用時とは違い、中途採用の場合は内定が出てから入社するかどうかを決断するまで、企業側は1週間程度しか待ってくれません。複数の内定を勝ち取り、それぞれを比較して吟味した上でベストな転職先を選ぶには、同時に多数の企業に応募し、並行して複数企業の選考を受ける必要があります。

この方法で転職活動を進めるには、体力的にも精神的にも一定の負担が生じるため、長期化すると継続するのがつらくなり、途中で挫折するケースも多くなります。また長い時間をかけると、体力も集中力も低下し、面接における受け答えの質も次第に低下して、選考の通過率も下がりやすくなります。

「この1か月で決着をつける」という高い転職意欲を持ち、短期集中で臨むことが、良い結果を生む秘訣です。

② 少しの失敗で諦めない

1社や2社の選考に通過できなかっただけで諦めてしまう人は、転職のチャンスを掴めません。特に未経験の業界を狙っている人や未経験で法人営業に転職したいと考えている人は、ある程度の数をこなす覚悟が必要です。うまくいかないこともあると想定した上で、諦めずに数多くの企業を受け続けることが成功につながります。

企業選びのポイント

③ 自己分析と企業ニーズに照らして応募先を選ぶ

転職活動においても、学生時代の就職活動と同じように、しっかりと自己分析することが重要です。「自分はなぜ転職するのか」「転職によって何を実現したいのか」「それを実現するにはどの業界や職種を選べばいいのか」などを掘り下げ、転職後のキャリアや働き方を具体的にイメージすることが、企業選びで失敗しないためのポイントです。

さらには、応募企業が求める人物像やスキルと、自分のキャリアを照らし合わせることも大事です。企業ニーズと自分がこれまで培ってきた経験や強みが合致していれば、その応募先は採用の可能性がある現実的な選択肢だと判断できます。

つまり企業が求めるものを把握した上で、「自分は企業にどのような価値を提供できるか」という視点で企業選びができる人は、転職の成功確率も高まるということ。反対に、自分が企業に求める条件だけに目を向けていると、採用される可能性がない企業にばかり応募することになりかねないので要注意です。

自己分析と企業ニーズの把握をしないまま転職活動を始めても、自分に合う求人を見つけ出せなかったり、選考に応募しても通過できなかったりと、残念な結果に終わってしまいます。自分一人で自己分析や応募企業の選定が難しい場合は、転職エージェントに相談して、第三者の目から客観的なアドバイスをもらうのもお勧めです。

④ 叶えたい条件に優先順位をつける

「収入アップしたい」「人間関係がいい職場で働きたい」「残業はしたくない」など、転職で実現したいことがたくさんあったとしても、すべての条件が叶う会社はありません。また入社後にその条件が本当に叶えられるのかを逐一確認するのも現実的に難しいでしょう。

よって転職活動では優先順位を明確にし、「どうしても叶えたいこと」にフォーカスして企業選びをすることが必要です。「優先順位が高い条件が実現するなら、それ以外の条件が叶えられなくても許容できる」というくらいの心構えで臨むと、結果的に良い企業選びができます。

面接のポイント

⑤ 「清潔感」と「明るさ」を印象づける

面接では自分の印象をいかに管理するかが問われます。特に営業職で重視されるのが、第一印象における「清潔感」と「明るさ」。この2つは営業として顧客と接する際にも必須の要素なので、面接官もしっかりチェックしています。髪型や服装を含めて身だしなみを整える、笑顔で明るくハキハキと挨拶するなど、外見や立ち居振る舞いに細心の注意を払いましょう。

第一印象で面接官に「明るく清潔感のある人だ」と思ってもらえれば、プラスの状態でスタートできるので、その後の質疑応答を含めた面接全体の評価も高くなりやすいメリットがあります。逆に第一印象の管理に失敗すると、マイナスの状態で質疑応答をこなさなければいけなくなり、挽回するには相当な努力を要します。

好印象を与える面接マナーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

・ 質問に対してズレのない回答をする

面接の質疑応答では、質問に対して回答がズレていないかをチェックされます。商談の場でも、顧客からの質問や要望に対して的確に答える力が求められるためです。

特に面接の場では、自分をアピールしようと頑張りすぎてつい余計なことまで話してしまいがちですが、質問の意図を理解し、面接官が聞きたいことだけに絞って端的に答える方が高い評価につながります。

まとめ

法人営業は取引の規模や扱う金額が大きく、手応えややりがいを感じられる仕事です。特に売上が伸びている業界では、法人営業の採用が活発に行われています。転職成功のポイントを理解し、必要な準備や心構えをして転職活動に臨めば、自分に合う活躍の場がきっと見つかるでしょう。

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