2017年の広告業界の動向について

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広告・メディアインダストリーマネージャー

網代勇太

Profile

中央大学卒、人材コンサルタント経験約8年。リクルーティングコンサルタントとして、大手からスタートアップベンチャーまで幅広い企業に対する人材採用コンサルティングを行う。直近では、広告・メディア領域のマネージャーとして様々な企業の中途採用を支援。

2017年、広告業界の動向について

昨今のスマホ普及率の向上、テクノロジーの進化に伴い広告のあり方が大きく変貌しています。ここ数年で、「マス媒体での大型ブランディング」から「ブランディングはマス媒体、レスポンスはWeb媒体の使い分け」という移行が進んでいましたが、後ほど説明するような「アドテク」を中心とした広告配信技術の進化や、「動画広告」を中心としたリッチメディアの進化により、今やWeb上でのブランディング・マーケティングが主戦場となりつつあります。実際、電通の発表では、インターネット広告費は1 兆1,500 億円超え、４マス媒体の対前年成長率よりもはるかに高い成長を遂げています。今後、ますますROI（投資対効果）を意識した広告が注目され、その手法はより複雑化することが考えられます。その中でも2017年の広告業界を占う、注目キーワードを３つ紹介したいと思います。

アドテク

まず１つ目は、広告の概念を変え続けているアドテクの領域です。2008年頃に登場したアドテクは、常に新しいシーズやニーズを取り込みながら発展し続けています。広告主としては、従来よりも高いROIで多くのユーザーに広告を見てもらえる。メディアとしては、従来よりも効率的な広告枠の販売し、広告収益の最大化が図れる。ユーザーとしては、自分が最も興味の持てる広告を見ることが出来る。この3者間をWin-Win-Winにしてくれる最先端の仕組みがアドテクとなります。今後も、デバイス間、ブラウザ・アプリ間のフラグメンテーションを克服しながら、より分析・予測精度を上げ、消費者に最も関連性のある広告配信が可能になると思います。今よりも更に、インターネットサービスが人一人の可処分時間を占めていくため、アドテクが担うコミュニケーションエンジニアリングの可能性は非常に大きいと言えます。

■DMP ― 複数のアドエクスチェンジやネットワークを一元管理し、広告効果を高めるプラットフォーム
■SSP ― DSPとは逆に、メディア側の広告枠の価値を最大化させるためのプラットフォーム
■DSP ― 各種データを一元管理、分析し、最終的に広告配信の最適化を実現するプラットフォーム

動画広告

サイバーエージェント社調べでは、2015年の動画広告市場は昨年対比160％の506億円、2020年には2,000億円を突破する予測となっています。広告業界全体の成長率が約102％なので、その成長性の高さは突出しています。動画広告が盛り上がっている理由としては、『You Tube』『ニコ動』『hulu』『NETFLIX』などの動画配信メディアの普及による、若者のテレビ離れが大きく影響しています。現在は、あらゆるコンテンツが映像として表現され、いつでもどこでも視聴可能な動画として当たり前のように存在するようになっています。また、視聴対象が動画配信メディアのみならず、SNSやキュレーションメディア、ニュースアプリへと広がりを見せており、これらサービス上でのインフィード広告においては、今後更なる拡大が見込まれます。あと、2017年はスマホに合わせたタテ型動画広告が増えると言われています。

O2O

最後に、スマホ普及や東京五輪で注目を集める「O2O」（オンラインtoオフライン／Webと実店舗との融合）です。このO2Oも、ここ数年来よく耳にする言葉かもしれません。実際、2015年はWebや広告会社、小売やアパレルメーカーがO2Oの強化に向けて、中途採用を積極的に行ってきましたが、私はこれから更に加速度的に増えていくと考えています。その一つが店舗内分析の進化です。それまでECの強みは実店舗にはない購買データを取得できることでしたが、近年では店舗内カメラの映像技術が発達して、消費者の性別・年齢を推定したり、滞在時間・購買活動を分析することが可能になっています。それら店舗内データとPOSデータ、ECのデータが連結すれば、小売やECだけでなく、広告業界にとって新しいビジネスチャンスになると期待しています。訪日外国人観光客数も急増しているので、今後O2Oの動向に注目です。