記事掲載日: 2017/2/15 取材日: 2016/12/20

制作会社から転職して感じた自社サービスのディレクターに必要な感覚

株式会社Lifull Seniorのインタビュー
林 瑞穂 様の顔写真

林 瑞穂 様

株式会社Lifull Senior/プロダクトグループ

大学を卒業後、Web制作やオンサイトサービスを行うIT企業に就職。大手Webサイトの制作・運用・ディレクションを行う。2015年11月に株式会社ネクストへ入社し、現在はネクストグループのLifull Senior社にて「HOME’S介護」のサイトディレクターとして活躍中。

泉 雅人 様の顔写真

泉 雅人 様

株式会社Lifull Senior/代表取締役社長

1979年、埼玉県生まれ。2002年に明治大学を卒業後、株式会社リクルート(現:リクルートホールディングス)やベンチャー企業を経て、2010年に株式会社ネクストに入社、『HOME’S介護』に携わる。2015年、株式会社Lifull Seniorの設立にともない、代表取締役社長に就任。

斉藤 由梨の顔写真

斉藤 由梨

キャリアデザインセンター/エキスパートキャリアアドバイザー

求人媒体の営業職から、キャリアアドバイザーに転身。以後11年にわたり、IT領域専門のキャリアアドバイザーとして、コンサルタント・PM・SI・ベンダーと幅広い領域でのIT業界従事者の転職をサポート。現在は役職経験者の方や組織のリーダークラスの転職者を中心に転職を支援。

ディレクターとして次のステップへ進むために転職を決めたタイミング

斉藤 : 本日はインタビューの機会をいただきありがとうございます。さっそくですが、転職活動を始めたきっかけとそのときのアクションを伺えますでしょうか

林様 : 具体的なきっかけはもう覚えていないのですが、当時は制作ディレクションを行う中で制作会社の立場で常駐していたので、自分の裁量ではどうにもならないことや、企画をしても予算が下りないケースが多々ありましたので、さらに一つ上のステップに進みたいと考えていました。

斉藤 : 確か前職の同期の方々も転職しているタイミングでしたよね。

林様 : そうですね、同期や先輩も転職している時期でしたね。制作、デザイナー、コーダーからディレクターへとキャリアを進めるにつれて、ここからスキルを伸ばしていくのは限界だなとも感じ転職を考えていました。30歳になると転職するのが難しいと思っていたこともあり、良いタイミングだなと。

斉藤 : 確か初めてお会いしたのは、A様(※林様の前職の同僚)からご紹介いただいたのがきっかけでしたね。

林様 : 一つ上の先輩だったのですが、Aさんから「斉藤さんにお世話になったって良かった」と聞いていました。

斉藤 : それがきっかけでうちのサービスを使っていただいたのですか?

林様 : 最初は他社のエージェントを利用していて、そちらを使っていました。ただ、そこのアドバイザーと折り合いが悪いというか・・・合わないなと思っていた時に、Aさんから斉藤さんを紹介していただきました。

斉藤 : そうでしたね。他のエージェントを使っていて、転職活動は多少進めていましたよね。ちなみに、最初に使ったエージェントと折り合いが合わないとのことでしたが、どのあたりが?

林様 : 電話でアドバイスをいただいていたのですが、こちらの適性を見てというよりは、その方の意向を強く話すキャリアアドバイザーで、非常に機械的だと感じた部分ですね。転職活動を終えてみて、本当に斉藤さんと出会えてよかったなと思っています。

斉藤 : ありがとうございます(笑)

林様 :斉藤さんにお会いするまでは、いろいろ応募してはいたものの面接でお見送りばかりでしたので。

斉藤 : そうおっしゃっていましたよね。初めてお会いしたときは、面接でお見送りになるのが不思議に感じていました。

林様 : 面接のアドバイスをたくさんいただいたことを覚えています。斉藤さんにアドバイスをいただいてから、面接が通過するようになりました。

斉藤 : 裁量が無い中でも、効果を出せるように考えてプロジェクトを推進されていらっしゃいましたから。仕事に対して数多くの工夫をされていたので、面接官にうまく伝えられればすんなりいきそうだと感じていました。

林様 : 面接の段階によってアドバイスを変えていただいたり、企業によっても面接官や企業風土の部分まで教えていただき事前の心構えができからこそ、面接ではうまく話せるようになったと思っています。転職活動を進める中で、携わるサービスも重要視して応募先を検討していました。娯楽サービスよりも世の中の人のために役立つサービスに携わりたいと思っていましたので。

斉藤 : そうでしたよね。当時は①制作側から自社サービスに移って裁量を持ちたいという点②携わるサービスの2点が叶うかどうかを考えながら、社会貢献に繋がるようなサービスをご提案していました。

林様 : ご提案いただいた求人には非常に満足していました。

社会貢献性と社風に魅力を感じて入社を決意。転職してみて感じたギャップ

斉藤 : 次にLifull Seniorへ最終的に決められた理由を伺えますでしょうか。

林様 : 社会貢献性が高いサービスだった点と、3回面接に伺ったのですが、面接官の方々全員が一緒に働きたいなと思える方々だった点ですね。あとは、女性として長く働けるかどうかや、評価制度を詳しく人事の方からお伺いできたことも大きかったです。

斉藤 : 企業選びの上で大切な部分ですよね。

林様 : はい。それから、2次面接の際に実際のサイトを見ながら改善ポイントを挙げて欲しいという質問がありました。その中で、大変偉そうなのですが・・・ユーザー視点に立った時にある部分を改善したほうが良いと提案したところ、面接官の方から、「確かにユーザー視点だとよくないから変えたほうがよいかな」という言葉がありました。それがすごく印象的で、利益のことだけでなくユーザーのことをしっかり考えている会社だと理解できたことが大きかったですね。

斉藤 : 貴社の社風を現していますよね、すごく。

林様 : そうなんです。すごく印象的な面接でした。なので、最終面接の時には、Lifull Seniorに入りたいと強く思っていました。

斉藤 : 確かに、内定になれば入社を決められるだろうなと思っていました(笑)次に、現在はどのような業務をされていらっしゃいますか。入社前と比較してギャップを感じたことがあれば合わせて伺えますでしょうか。

林様 : 今は、基本的に「HOME’S介護」というサイト全般を見ています。そこの内部施策のPDCAを回したり、SEO対策や、内製で開発しているのでそのスケジュール管理を行っています。ギャップはあって、前職は企画側から下ろされたものに対して意見をいうということはほとんど無かったのですが、現在は、職種に関係なく、皆が企画に対して意見を出していきブラッシュアップしていきます。それをまとめる役を今はやらせてもらっています。

斉藤 : 前職では意見を出しても通らないので裁量を持ちたいとおっしゃっていましたよね。

林様 : むしろ意見を言わないとダメな環境ですね。意見を絶えず求められるので。元々私は意見を言っていくようなタイプではなかったので最初は苦労しました。

斉藤 : 慣れるものですか?

林様 : 慣れるものです(笑)上の方には最初はもちろん言いづらかったのですが、ユーザーのために、目標のためにという視点で話をすることに慣れてきましたので、今では意見を伝えられるようになりました。

斉藤 : 常に意見を求めながら仕事するのですか?

林様 : 1人では出来ない仕事なので、絶えず求めますね。でないと、企画やサイトが完成しないので。みんなで意見を出しあってサイトを作っています。

斉藤 : 前職は協力会社の立場でありながら成果をすごく意識されていた印象でしたが、現在はいかがですか?

林様 : 現在でも絶えず意識しています。ボーナスにも関わるので前職より強くなっているかもしれません(笑)成果指標は資料請求数ですね。

斉藤 : 指標を追う中で難しいことって何ですか?

林様 : 前職では学生向けのサービスだったのに対し、現在は介護を検討されている方、もしくはその家族が対象になります。ターゲットが全く違うので非常に苦労しています。UI(ユーザーインターフェイス)をわかりやすく、より簡潔になるよう設計しなければならないのでそこが難しいですね。情報量とわかりやすさのバランスを考えるのが非常に難しいです。あとはチームの皆を頼りながら進めています。すんなり決まることはあまりなく常に議論して、良いものを作るような風土です。

斉藤 : 社内の雰囲気はいかがですか?

林様 :  仕事に非常に真面目なスタンスはあります。先程もお話しましたが、良いものを作るために意見をしっかり言う風土が根付いています。ただ、非常に仲が良くて、プライベートでも遊んだりします。ボルタリング部をつくりましたし、今日もボルタリング部の活動日です。

当時の面接を振り返る。ネクストグループで活躍できる人物像とは

斉藤 : ではここで、当時を振り返って伺いたいのですが面接ではどのような点を見られていますか。

泉様 : 「考え方」と「熱意」と「能力」の掛け算で決めています。考え方が歪んではいないか。この仕事がやりたいんだという熱意。あとはスキルです。その他には表情とか、楽しそうに過去の経験を語っているかなどを見ていますね。
もう少し具体的に言うと・・・例えばこれまでの経験を伺ったときにすごくつらい仕事、大変な仕事をしてきたかどうかをききます。その仕事を楽しそうに語れるかどうか、という部分ですね。やはりポジティブに仕事をする人が、うちでは仕事が出来る人だと思っているので。誤解を恐れず言うと地獄を見てきた人は、強いなと思います(笑)

斉藤 : 苦労した経験を重要視するんですか?

泉様 : 人に誇れるようなエピソードももちろん聞きますよ。ただ、苦労されたご経験もどれだけ論理的にかつ楽しそうに話せるかどうかもみています。

斉藤 : ユーザー視点を大事にされている社風だと思うのですが、その点は面接の中で聞かれないのですか?

泉様 : もちろん聞きます。顧客志向かどうかはとても大事なことなので、特にクリエイティブの方には聞かせてもらっています。その中でディレクターの方にはバランスを大事にしています。やはり企画者は利益を出すことを考えなければいけないのでそこも見ていますね。

斉藤 : その中で林様はどのような点を面接で評価されたのですか?

泉様 : 1年半くらい前ですよね。真面目な人だなというのが第1印象でした。すごくフラットに物事を見れる人でしたから、バランス感覚がとても良いと感じていました。先程あまり自分の意見は言わないと本人は言っていましたが、当時の面接では過去の経験を聞いた際にしっかり自分の意思や考え、将来像を話されていました。
簡潔にわかりやすく話してくれたのも好印象でしたね。スキル面でも厳しい大変な環境で経験を積み、実績を出してきたと判断できたのでオファーを出しました。

斉藤 : 私も確かにその様な印象を持っていました。バランスが良い、という部分と近しいと思いますがのめりこむところはのめりこみますが、一方で客観的にも物事を見れる方だと思っていました。因みに“バランス感覚”はどうやって見ているのですか?

泉様 : ユーザーやクライアントにとって役立つ、社会に貢献するサービスを提供するのは大前提ですが、ボランティアではないので利益も重要。利益を出して継続的にサービスを提供していってこその顧客志向だと考えています。ですので、ディレクターの方には過去の経験談などを聞いて、マインド的な側面と、ビジネス視点のバランス感覚があるかどうかをみています。

斉藤 : 「考え方」と「熱意」と「能力」の3つのうちどこを一番大切にしている、などあるのでしょうか?そこもバランスですか?

泉様 : これはバランスではなくて。いずれも高ければ高いほどよい。高いに越したことはないのですが、能力と熱意はマイナスという数値はありえないんですよ。どれだけ低くてもゼロなんですね。考え方だけはマイナスになりえると思っています。不誠実とかネガティブとか。それで3つを掛け算するとマイナスになってしまうので、考え方だけは絶対に間違いないようにしています。京セラの稲盛さんの教えなんですけどね。ディレクターは成果を出すために何をすべきかを考え、周りを調整出来なければならない中で彼女(林様)はそれを任せられると感じました。

林様 : すごく恐縮ですが、本当に1人でやっているわけではなくてチームの仲間がアドバイスをくれながら仕事ができるので、それがなかったら出来ていません。本当にチーム力なんです。

泉様 : この一年一緒に働いていて本当に評価が高いですし、ネクストグループで考えても高い実績を出している人です。元々ディレクターは二人いたのですが1人欠員がでて、その後任として採用させていただき、今では現場のディレクションは全部林さんがやってくれています。多岐にわたる仕事を任せていますが弱音を吐かず、できることを全部やってくれる非常に頼もしい存在です。こだわりが強く非常にストイックですよ。というか彼女がいないとプロジェクト進まないです(笑)本当に投げ出さずに現実を受けて止めて、最善・最短でやりきってくれています。我々としても、面接のポイントをぶらさないで採用してきた一つのいい事例かと思っています。

斉藤 : ご活躍されているようで本当に良かったです。本日はありがとうございました。

株式会社Lifull Seniorの人事

取材協力: 株式会社Lifull Senior

事業内容: 日本最大級の老人ホーム・高齢者向け住宅情報サイト「HOME'S介護」の運営
設立年月日: 2015年7月(株式会社ネクストより分社化)

(代表取締役社長の泉様より)

◆働くことの魅力
業界として伸びてきますし、サービスとしてもかなりのスピードで伸び続けています。ユーザーにも取引先にも評価されているサービスを扱っています。そういった伸び代があるなかで自身の成長を感じられますし、まだそこまで大きな組織ではないので職種に捉われず、意識さえすれば、事業全体を見ながら仕事をすることも出来ます。今よりもっと自分の幅を拡げたい、裁量を持ちたい、大きなチャンスをつかみたい、という人には挑戦のしがいがあると思っています。またそういった人間ばかりが働いているので、その熱量も感じることができる環境があります。

◆今後の事業展開
スタンスとして挑戦し続ける社風ですのでそこは崩しません。そもそもLifull Seniorのサービスは「入居施設が探しづらいよね」という事業提案をきっかけに始まりました。今はまだ入居施設を探すという視点で世の中の問題を解決しようとしているのですが、今後は社名にもあるように高齢の方が暮らしやすい環境を作りそれに関わる方々が幸せになる世界を作りたいという思いで更なる挑戦をしていきたいですね。入居施設を探す以外にも高齢者が困っていることはまだまだありますしそれを解決し、なおかつビジネスにしていくことがミッションです。具体的にはまだいえませんが、「やりたいこと」はあります。

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