「なんとなくAI」していませんか?メールの補助で終わらない生成AI活用のヒント

「メールの文面を整える」「資料の構成案を秒で作る」——。生成AIが日常に溶け込み、私たちの仕事は確かに楽になりました。でもその一方で、どこか表面的な活用に留まっているような、物足りなさを感じてはいませんか?今回は「オシゴトカイワイ」のメンバーが、日本のAI活用の現在地と、業務のレベルを劇的に引き上げる「真の活用術」を語り合います。

公開 : 2026/01/29 更新 : ----/--/--

新しい職場・仕事で活躍するには何が必要?
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本連載では、転職後のさまざまな壁を乗り越えて、新しい職場で活躍するためのコツをアドバイス! 入社直前の不安な気持ちから、入社後の仕事・人間関係のトラブルまで、転職後1年目に起こりうる「あらゆるお悩み」を取り上げていきます。

今回のお悩み

【オンライン社内勉強会 オシゴトカイワイ】

<登場人物>
はたけ: 社内オンライン勉強会のファシリテーター。データ分析や海外のレポートを調べるのが得意。

ねもやん: 勉強会のファシリテーター。組織や人の心理に関心が高い。データだけでは見えない、感情や文化の側面からも考察を行う。

オープニング:日本55.2% vs 米国90.6%、中国95.8%

オープニング:日本55.2% vs 米国90.6%、中国95.8%のイメージ-type転職エージェント

はたけ

お疲れ様です。前回の勉強会では「シャドーAI」のリスクをお話ししましたが、最近はルールを守りつつ、皆さんもかなりAIを使いこなされていますよね。

ええ。未知のツールといった不安が薄れ、心強い右腕としてAIが馴染んできた実感があります。実際、2025年夏の調査でもビジネス層の導入率は6割(64.4%)を超えていましたし、ようやく使いこなしの土台ができてきました。

ねもやん

はたけ

そうですね。ただ、その一方で少し気になるデータもあるんです。

えっ、何かありましたか?

ねもやん

はたけ

総務省の「2025年版 情報 通信白書」にある、2024年の国際比較データです。何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は、日本が55.2%であるのに対し、米国はすでに90.6%、中国は95.8%に達しています。つまり、私たちが6割普及したと一息ついている水準に、米中では1年以上前に到達していたともいえます。

……。世界から見れば日本はまだ追いかけている途中、ということなんですね。

ねもやん

はたけ

さらに気になるのは「使い方」です。日本はメールや議事録などの補助として使っているのに対し、米中は企画やサービス機能にまでフル活用している。普及率という数字以上に、AIをどう使いこなすかという「思考習慣」に差がつき始めているんです。

日本はメールや議事録などの補助として使っているのに対し、米中は企画やサービス機能にまでフル活用している(1)のイメージ-type転職エージェント 日本はメールや議事録などの補助として使っているのに対し、米中は企画やサービス機能にまでフル活用している(2)のイメージ-type転職エージェント

なるほど。時短で楽になったと安心するのではなく、AIを「作業の代行」から「自分と一緒に難しい課題を解くパートナー」へとアップデートしないと、個人としての競争力にまで影響してくるかもしれませんね。

ねもやん

はたけ

ええ。だからこそ今日は「なんとなくAI」から一歩踏み出しましょう。要約や調べもの以外でAIを活用し、自分の「最強の参謀」にするための3つの視点を紹介します。

事例1:思考を「型」にする――独自の判断基準を共有し、説明いらずの即戦力パートナーを作る!

はたけ

まず紹介したいのが、AIに自分自身の判断ルールや大切にしている視点などをあらかじめ読み込ませて、専用の相談窓口にする活用法です。

それって普通のチャットで「過去にこんなことがあったんだけど…」って説明しながら相談するのと、何が違うんですか?

ねもやん

はたけ

最大の違いは、“自分たちの基準を最初から知っている状態で会話が始まる”という点です。

ほう。最初から、ですか。

ねもやん

はたけ

ええ。普通のチャットだと、AIはまず世間一般の正論を答えますよね。だから毎回「そうじゃない」「この資料の基準で考えて」などと軌道修正する手間が発生します。
でも専用の部屋に資料を置いておけば、AIは最初からその内容を「最優先のルール」として踏まえた上で、回答を生成してくれるんです。

なるほど。前提条件をいちいち伝える手間がなくなるわけですね。

ねもやん

はたけ

その通りです。だから例えば、「私の傾向から見て、この案の抜け漏れはどこ?」と一言聞くだけで、的外れな一般論を挟まずに、自分に近い視点でのチェックが数秒で返ってくる。文字通り、あうんの呼吸のパートナーが手に入りますよ。

自分一人で使うのはもちろん、ベテランの視点をチームで共有して、組織全体のスピードを上げるといった使い方もよさそうですね!

ねもやん

【実践Tips】数分でできる「マイスタイルAI」の作り方

※この機能の活用には、ChatGPT Plus、Claude Pro、Gemini Businessなどの有料プランが必要です。(2026年1月時点)

1. 専用スペースを作成する
・ChatGPT:「Explore GPTs」を選択
・Claude:サイドバーの「Projects」を選択
・Gemini:「Gems(ジェム)」を選択

2. 判断基準を覚えさせる
自分(またはチーム)が過去に書いた、評価の良かった企画書、判断基準のメモ、大切にしている仕事のルールなど、「常にその資料を前提として思考してほしいもの」を、PDFやテキスト形式で数枚アップロードします。

3. 役割を指示する
『あなたは私の思考をサポートする参謀です。添付資料に基づき、私の価値観や判断基準を理解してください。今後、新しい提案を投げた際は、資料の基準に照らして「検討すべきポイント」や「修正案のたたき台」を提示してください』などと入力します。

事例2:対人関係を円滑にする――相手の真意を読み解き、根回しを効率化

事例2:対人関係を円滑にする――相手の真意を読み解き、根回しを効率化のイメージ-type転職エージェント

はたけ

2つ目は、「対人関係のシミュレーター」としての活用です。実は今、相手の本音を探ったり、角を立てずに主張を伝えるための相談相手としてAIを使う人が増えています。

人間関係にAI、ですか。少し意外ですが、仕事の停滞って「誰にどう話を通すか」という調整の部分で起きがちですから、そこをサポートしてくれるのは心強いですね。

ねもやん

はたけ

例えば、厳しい指摘を受けたメールをAIに読み込ませて、「この指摘の背景にある懸念点は何? 次の提案で同じ指摘を受けないために、盛り込むべき要素をリストアップして」と客観的に分析させるんです。

それは助かりますね!相手の意図を一人で深読みして疲弊する代わりに、AIをクッションにする。蓄積された情報を活用すれば、感情に振り回されずプロフェッショナルな対応ができそうです。

ねもやん

はたけ

ええ。さらに、誰からどの順番で話を通すべきかといった「根回しの戦略」も相談できます。会議の内容を公平な視点で整理させることで、チームの合意形成もきっとスムーズになりますよ。

【実践Tips】対人ストレスを減らすAI活用術

※社内規定に従い、個人名や機密情報は伏せるか、会社が許可したセキュアな環境で利用しましょう。

・心理的クッション(客観的な分析と対策):過去の指摘メールを貼り付け、「この送り主が重視しているポイントを分析し、同様の指摘を受けないための改善案を3つ出して」などと依頼。自分の感情を切り離して、相手の論理だけを抽出するのに有効です。

・反論シミュレーション(意地悪な視点の獲得): プレゼン資料を読み込ませ、「あなたは非常に厳しい取引先です。このスライドで一番厳しい突っ込みを入れるとしたらどこ?」と予測させます。自分では気づけない死角を事前に潰すことができます。

・根回しの壁打ち(合意形成のシミュレーション): 関係者の立場(部署や役割、これまでの主張など)を伝え、「承認確率を最大化するために、誰からどの順番で話を通すべきか、納得感のあるロジックを提案して」などと相談します。

・会議の公平な振り返り(データに基づく交通整理): Zoom AI CompanionやMicrosoft TeamsのCopilotなどの分析機能を活用します(※)。会議後に「発言のシェアに偏りはなかったか? 議論が停滞した原因は何か?」などを客観的に把握。感情論を避け、事実に基づいて次回の進め方を提案する材料にします。
(※:2026年1月時点、これら会議分析機能のフル活用には各サービスの有料プランが必要となるのが一般的です)

事例3:自分で自動化する――得意な人に頼らず、面倒な作業を自力で解決

はたけ

最後は、ITの知識がなくても自分の力で業務を効率化・自動化する方法です。これまでは「ITが得意なあの人」にお願いしていた作業を、AIを介して自分で完結させます。

専門外だからと諦めていた領域ですね。AIを技術の翻訳機にして、スキルの壁を乗り越えるわけですか。

ねもやん

はたけ

そうです。例えば、手作業では何時間もかかるデータ処理も、AIにやり方を聞いて実行したり、AIにファイルそのものを加工させたりすることで、一瞬で終わらせることができます。

他人の時間を奪わずに済みますし、何より仕事が滞らなくなりますね。「自分で何とかできる」という感覚は、自信にも繋がりそうです。

ねもやん

【実践Tips】明日から使える効率化・自動化の手順

※社内規定で許可された範囲のデータを扱い、処理後は必ず人間の目で最終確認を行いましょう。

・AIにプログラムを書かせて実行する:ExcelならVBA、GoogleスプレッドシートならGAS(Google Apps Script)というプログラミング言語をAIに書かせます。

指示例:『スプレッドシートのA列とB列を比較して、重複がないものだけを抽出したい。そのためのGASのコードを書いて、使い方も初心者にわかるように教えて』

・AIにファイル加工を直接丸投げする:(※ChatGPT Plusなどの有料プランや、高度な解析機能が使える環境で有効です)AIに直接ファイルを読み込ませ、中身を分析・書き換えさせます。

指示例:『添付した100件のアンケート結果(CSV)を読み込んで、内容から「不満」「要望」「満足」の3つに分類して。比率をグラフにした上で、分類済みのExcelファイルを新しく作成して』

・形式の変換を瞬時に行う:コピー&ペーストしただけの乱雑なテキストを、一瞬で整列させます。

指示例:『この会議ログから「誰が、いつまでに何をすべきか」を抜き出して、ガントチャートや管理ツールにそのまま貼り付けられる『表形式』に整理して』

まとめ:AIを最高の「パートナー」に

はたけ

これまで見てきたように、AIを単なる「作業の代行者」で終わらせるのはもったいない。自分の思考習慣をアップデートし、判断を助けてくれる「参謀」として向き合うことで、仕事の効率だけでなく質そのものが変わっていきます。

AIに材料を出させ、最後は人間が納得して、意志を持って選ぶ。「自分の思考をさらに深めるためにAIを使う」という実感を、楽しみながら積み重ねていきたいですね。

ねもやん

はたけ

そして、2026年1月12日には「Claude Cowork」が登場。一言の指示だけで、まるで人間のように、パソコンの中の仕事を代わりに実行してくれるようになりました。

今までは、私たちがチャット(Slack)やカレンダー、ビデオ会議(Zoom)などのアプリを自分で切り替えて使っていたところ、これからは、AIがそれらのアプリを全部つないでくれるとは衝撃です...!
「来週の会議の準備をして」と頼むだけで、AIが自分でスケジュールを確認したり、必要なファイルを整理したり。やりたいことをAIに話すだけで、AIがその場で便利なツールやアプリを作ってくれる時代になったんですね。

ねもやん

はたけ

その通りです。AIは頼れる仲間のような存在となり、さらに先へと引き上げてくれる武器になります。今日紹介した活用法の中から一つでも、新しい「AIとの付き合い方」を試してみませんか?

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