仕事に慣れたのに、手応えがない...。モヤモヤの正体と、抜け出すヒント

日々の仕事に慣れてくると、大きな不満はないけれど、どこかで「このままでいいのかな」と感じる瞬間ってありますよね。思い描いていた自分と、いまの自分。その差を確かめるように、“振り返り”をしてみるのもいいかもしれません。ジョブ型雇用が進む今、「自分は何を担い、どんな価値を出しているのか」を言葉にできる人ほど、次のチャンスをつかめる時代です。

公開 : 2025/11/25 更新 : ----/--/--

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本連載では、転職後のさまざまな壁を乗り越えて、新しい職場で活躍するためのコツをアドバイス! 入社直前の不安な気持ちから、入社後の仕事・人間関係のトラブルまで、転職後1年目に起こりうる「あらゆるお悩み」を取り上げていきます。

今回のお悩み

仕事には慣れたけれど、「このままでいいのかな」と思うことがある

入社して半年。ようやく一通りの業務は回せるようになりました。でも、どこか満たされないというか、手応えがない日々が続いています。転職したときは、「新しい環境でもっと成長できるはず」と思っていたんです。けれど、いざ慣れてみると、思っていたほど変化を感じられない。できるようになったことをリストに書き出してはみたものの、この転職、良かったのかな……と、自分でも答えが出せないでいます。

モヤモヤの正体は、自分の役割がまだ見えていないから”

モヤモヤの正体は、自分の役割がまだ見えていないから”のイメージ-type転職エージェント

こんにちは、『転職そのあとLABO』のはたけです。

仕事に慣れてくると、日々は回っているのに、どこかしっくりこない時期がありますよね。うまくできていないわけではないのに、やれている実感が持てない。そんな状態になる人は少なくありません。

これは、性格がネガティブだからでも、努力が足りないからでもありません。むしろ、自分の状況をきちんと見ようとしている人ほど、こうした違和感に気づきます。「自分は何をしていて、どんな価値を出せているのか」が言葉にできていない。その曖昧さが、モヤモヤにつながっているのではないでしょうか。

悩みの原因は、頑張っていないことではなく、“どの方向に頑張ればいいのか” が見えづらくなっていること。特に、事務やサポート職、制作職など、結果が数字で見えにくい仕事では、「これで合ってるのかな」という感覚が積もりやすいものです。

□ 目の前の仕事はこなせているけれど、手応えがない
□ 「成果」と言えるものがよく分からない
□ 自分が何を目指して働いているのか、たまに迷う
こうしたサインが出ているなら、今が“振り返り”のタイミングです。

ただし、振り返りで「できたことリスト」を作るだけではもったいない!大切なのは、これまでの仕事を、担っている役割(職務)の視点で整理してみることです。そこに、自分で見えなくなっていた価値が隠れています。

できることだけでなく、「自分が担っている役割」まで言語化しよう

「できること」を振り返るだけでは、モヤモヤは消えません。なぜなら、作業のチェックで終わってしまうからです。

・資料が作れる
・調整ができる
・企画案を出せる
・依頼された仕事はこなせる

どれも大事なことですが、これだけでは 「だから私は何者なのか?」 が見えてきません。そこで意識したいのが、「自分が担っている役割(職務)」という視点で振り返ることです。「できること」と「自分が担っている役割」は、似ているようでまったく違うものです。

▼ できること:作業の断片
=「How(どう動くか)」の概念

・どんな作業ができるか
・どの手順を覚えたか
・どのツールを使えるか
といった、行動単位のスキルです。

▼ 自分が担っている役割:仕事の目的と成果
=「Why(なぜ)」「What(何を達成するか)」の概念

・その仕事が何のために存在するのか
・チームにどんな価値を出しているのか
・自分がいることで何が前に進んでいるのか
といった、成果につながる貢献を示します。

例えば、職種を問わず、仕事にはこんな役割もあります。

・情報を整理し、業務が進むための土台を整える役割
・関係者間の意図や状況をくみ取り、正しく橋渡しする役割
・タスクやプロセスを滞らせず、仕事の流れを維持する役割
・リスクや不備に気づき、問題を未然に防ぐ役割
・曖昧な課題や情報を整理し、次のアクションを明確にする役割

「え、私そんな立派なことしてない…」と思うかもしれません。でも、実は多くの人が、毎日の業務の中でごく自然にこうした役割を果たしています。

・相手が迷わないように、必要な情報を整理して伝えている
・業務が途切れないように、こまめに連絡・リマインドしている
・トラブルになりそうな点に気づいて、先に「これ大丈夫かな?」と確認している
・相手の忙しさを察して、伝えるタイミングを調整している
・会議が脱線しないように、要点をまとめて話している
・誰かの“小さな抜け”をそっとフォローしている
・チームがギスギスしないように、雰囲気を整えている

これらはすべて、仕事内容の断片ではなく、チームを動かし、成果につなげるために欠かせない役割です。そして、この「役割」まで言語化できたとき、「このままでいいのかな」という漠然とした不安は、不思議と薄れていきます。

なぜ、「役割」まで言語化するとモヤモヤが消えるのか?

理由はシンプルで、役割は仕事の「目的」を含んでいるからです。「できること」だけを振り返ると、どうしても “作業をこなしているだけの自分” に見えがちです。でも、「役割」まで振り返ると、そこには “誰かの成果を支えている自分” が見えてきます。

営業でも、企画でも、バックオフィスでも、クリエイティブでも、人は必ず役割を担っています。なのに、日々の忙しさの中で、その役割を言葉にして振り返る機会は多くありません。だからこそ、役割を言語化できた瞬間、「思っていたより仕事してるかも」「ちゃんと意味のあること、してたんだ」と実感できるようになるのです。

そしていま、役割を言葉にできることは、さらに価値を増しています。日本でもジョブ型雇用が広がり、企業が評価するポイントは属人的な頑張りや労働時間ではなく、
・どんな役割(What)を担えるのか
・どんな価値(Value)を生み出せるのか
という職務ベースの貢献へとシフトしてきました。

ここでカギになるのが、採用現場やジョブ型雇用で使われる職務明細書(Job Specification)という考え方です。

職務明細書とは、「この仕事は何のために存在し、何を達成すべきか」「そのためにどんな役割とスキルが必要か」を明確にした、仕事の説明書のようなもの。要するに 「この役割を担えるのはどんな人か?」を整理したものです。

だからこそ、自分の役割を職務明細書に書けるレベルで言語化しておくことが大きな武器になります。「私は何ができるのか」「どんな価値を出せる人材なのか」が客観的に整理され、モヤモヤが薄れるだけでなく、キャリアの選択肢も広がっていきます。

「役割」を言語化する3ステップ

これは、自分の仕事の本質を見つめ直す内省ステップです。まずはこの3つを整理して、役割の輪郭をつかみましょう。

STEP①:自分の仕事は、誰のためにある?
→ チーム? 顧客? 上司? 組織全体? プロジェクト?
→ 誰の成果(成功・安心・判断・スピード)を支えている?
→ 誰の負担を減らしている?

STEP②:どういう状態なら「役割を果たしている」と言える?
→ トラブルが起きない状態?
→ 期限通りに回る状態?
→ 相手が迷わない状態?
→ 誰かの負担が減っている状態?
→ コミュニケーションのズレが少ない状態?
→ チームが動きやすい状態?

STEP③:その役割を支えている自分の強みは?
→ 先回り力
→ 調整力
→ 段取り力
→ 気配り
→ 情報整理
→ デザイン力
→ 共感力
→ 問題解決力

この3ステップで整理してみると、自分の仕事の意味がクリアになるはずです。そして、それはそのまま「次の半年の目標」や「半期面談で語れる材料」にもなります。

「私の役割は〇〇で、成果が出る状態は△△です」「そのために、この半年は□□の強みを使って取り組んできました」こうした説明ができるだけで、仕事の評価は格段に上がります!

まとめ

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「このままでいいのかな」と感じるときは、自分がどんな役割を担ってきたのかを立ち止まって見つめ直す、良いサインです。「役割」の視点で振り返ることで、日々の小さな行動が、確かに誰かを支えていたことに気づけるはず。

そして、「役割の言語化」は、今日の不安を整理するだけでなく、これからのキャリアを選ぶときの指針にもなります。この振り返りが、明日からのあなたを少しだけ軽く、そして前向きにしてくれますように。

相談室の人
はたけ

はたけ

『type』『女の転職type』の求人広告制作を担当。エンジニア、営業、接客販売、事務、ものづくり系など、約5年間で200社以上の中途採用に携わる。人事をはじめ代表や社員といった幅広い方々に取材をおこない記事を制作してきた経験から転職そのあとLABOチームにジョイン。好きな食べ物はだし巻き卵。ほっと一息つくような情報をお届けしたい。

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