転職1年目、なんでも相談室
「その引き継ぎ、見られてます」──転職後はじめての長期休みで信頼を落とさないために
「引き継ぎ、お願いできますか?」その一言にドキッとした方も、「まあ慣れてるし、軽くメモを残せば大丈夫でしょ」と思った方も、ちょっとだけ立ち止まってみてください。実はこの“引き継ぎ対応”、思っている以上にあなたの信頼度や仕事ぶりを測られている場面なんです。せっかく築きはじめた信頼関係を、引き継ぎ一つで崩してしまってはもったいない!この記事では、「ちゃんとやっておいてよかった」と思える、評価される引き継ぎのヒントをお届けします。
公開 : 2025/07/16 更新 : ----/--/--
新しい職場・仕事で活躍するには何が必要?
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本連載では、転職後のさまざまな壁を乗り越えて、新しい職場で活躍するためのコツをアドバイス! 入社直前の不安な気持ちから、入社後の仕事・人間関係のトラブルまで、転職後1年目に起こりうる「あらゆるお悩み」を取り上げていきます。
入社して半年、まだ慣れない中での“お休み準備”に戸惑っています
会社では交代制で長期休暇を取ることになっていて、私も再来週から1週間のお休みを取得します。ただ、その準備として「引き継ぎをお願いしますね」と言われてから、正直ものすごく焦っています。引き継ぎ資料を作らなきゃと思うものの、そもそも自分自身が業務に不慣れなぶん、何をどこまで書けば伝わるか、万が一抜け漏れがあったらどうしよう…という不安でいっぱいです。どうすれば安心して休める状態をつくれますか?
「伝えたのに…」は危ない。大切なのは“相手が動けるか”

こんにちは、『転職そのあとLABO』のはたけです。
長期休みを前に、「ちゃんと引き継げるかな…」「迷惑をかけないかな…」とソワソワしている方、あるいは「引き継ぎなんて慣れてるし、今回もいつも通りでしょ」と気楽に構えている方、どちらもいらっしゃるのではないでしょうか。
でも実は、この“長期休み前の引き継ぎ”って、想像以上に周囲から見られているタイミング。丁寧に準備すれば、「この人、ちゃんとしてるな」と信頼を得られる一方で、ざっくり済ませると、「あれ…意外と雑なんだ」と評価を落としかねない、密かに重要な場面でもあるんです。
そんな話をすると、「そこまで引き継ぎって大事?」と思うかもしれません。でも、実際に世界に目を向けてみると……たとえばドイツ!
ドイツは先進国の中でも労働時間が短く、有給休暇の取得日数もトップクラスです。それでも仕事が滞らないのは、「誰が抜けても仕事が回る」ことを前提に、業務を標準化し、仕組みでカバーする文化が根づいているから。つまり、仕事を“その人だけのもの”にせず、チーム全体で扱えるようにするという考え方が、長期休暇や急な不在にも強い組織をつくっています。
日本では、まだそこまで仕組みが整っていない職場も多いかもしれません。だからこそ、「メモに残したからOK」「私は言いました」で済ませてしまうと、思わぬところでチームの足を引っ張ってしまうこともあります。
そうならないためにも、「相手が安心して動けるか?」という視点を持って、ほんの少し丁寧に準備しておくことが、実はとても大切。自分では気がつかないうちに、そのひと手間が「信頼できる人」としての印象につながっていくはずですよ!
「で、どうすればいいの?」と言われない引き継ぎのコツ
引き継ぎ資料では、単にやること(タスク)を箇条書きにするだけでは不十分。「この作業、何のためにやってるの?(目的)」「次にどう動けばいいの?(ネクストアクション)」という2つのポイントを先回りして書いておくと、受け取った相手が安心して対応できます。
また、「いつもこうしてます」「最近こう変えました」など、“自分だけが知っている最新ルール”がある場合は必ず添えましょう。たとえば、「最近、議題案のフォーマットを変更して、冒頭に「結論→理由→補足」の順で整理するようにしました。※上司の確認が通りやすくなるため」などです。
タスク自体は先輩や同僚も経験済みかもしれませんが、現在の運用フローや対応のクセを知っているのが、”今のあなた”であるケースは意外と多いもの。だからこそ、ちょっとした情報でも残しておくことが相手の助けになりますし、「そこまで書いてくれるんだ」と好印象にもつながります。
そのほか、「いつまでに仕上げるのがベストなの?」という疑問もありますよね。目安としては、休みに入る2〜3営業日前には一度完成させておくのが理想です。余裕を持って確認や修正ができるだけでなく、引き継ぎ相手と口頭でやりとりする時間も確保できるからです。逆算して少しずつ準備を進めていけると、焦らず安心して休みに入れますよ。
“完璧な引き継ぎ”より、“迷ったときの一言”が効く
どれだけ準備しても、引き継がれた側は「これ、どうすればいいんだろう…」と迷う場面に出くわすものです。特に例外対応が多い業務や、まだルールが固まっていないタスクは要注意。
そんなときに備えて、以下のような“判断のヒント”も添えておきましょう。
~例~
「対応に迷った場合は、○○さんに相談してください。私が普段相談している方です」
「緊急でなければ、休み明けに私が対応しますとお伝えください」
こうした一言があるだけで、相手の心理的負担が大きく軽減されます。そして実はこの“想定外への備え”ができているかどうかで、「この人、引き継ぎ慣れてるな」「周りへの配慮が行き届いてるな」と評価されやすいんです!
社外の信頼は“ひと手間”で高まる:不在連絡のすすめ
取引先や外部パートナーとの関係性がまだ浅い中途入社のタイミングでは、「休むと悪い印象を与えるかも…」と不安になることがあるかもしれません。
でも実は、不在連絡こそが信頼構築のチャンス。連絡が取れないこと自体よりも、「事前に何の説明もない」ことのほうが、相手に不安や不信感を与えてしまいます。
だからこそ、休みに入る1週間前を目安に、「不在期間」「代理の担当者」「緊急時の連絡先」を簡潔に、かつ丁寧に伝えましょう。「いない間も、相手への気配りは忘れていませんよ」という姿勢は、社外の評価を確実に高めます!
まとめ

引き継ぎって、つい「直前に何とかすればいい」と考えがちですよね。でも実際は、「ふだんから、誰でも動ける状態を整えておく」ことが、最も確実な備えになります。そしてそれは、自分の信頼を積み重ねていく一番の近道でもあります。
たとえば冒頭でご紹介したドイツでは、年間30日以上の有給取得が一般的で、長期休暇は当たり前。それでも業務が止まらないのは、「仕事は人に属するのではなく、役割や仕組みに属するべきだ」という設計思想があるからです。
私たちも、休みの前だけでなく、ふだんから「誰が見ても分かるように」「誰でもカバーできるように」業務を整えておく習慣を持つことが大切です。それが結果として、突然の休みでも慌てずに済む力になり、「この人なら安心」と評価されるベースにもなっていきます。
完璧じゃなくていい。でも、少しだけ“次の人の目線”を持って、日々の仕事を整えていく。その積み重ねが、休みを安心して取れる環境づくりにも、自分のキャリアを守ることにも、つながっていくはずです。

はたけ
『type』『女の転職type』の求人広告制作を担当。エンジニア、営業、接客販売、事務、ものづくり系など、約5年間で200社以上の中途採用に携わる。人事をはじめ代表や社員といった幅広い方々に取材をおこない記事を制作してきた経験から転職そのあとLABOチームにジョイン。好きな食べ物はだし巻き卵。ほっと一息つくような情報をお届けしたい。