経験やキャリアの幅を広げるとは?
キャリアについてご相談を承る中で、「経験やキャリアの幅を広げたい」とおっしゃる方が比較的多くいらっしゃいます。「幅を広げたい」という表現に抽象的な印象がありますが、まさに「どう広げたいのか」は考えている方によってまちまちです。また、漠然と「幅を広げたい」と考えているものの、「どう広げたいのか」についてはイメージがないという方も多いです。
そもそもなぜ「経験やキャリアの幅を広げたい」と考えるのかですが、下記のいくつかの理由に分けられると考えています。
①今の会社や組織で新たな経験値が積み上がるイメージが持てない
②これまで積み上げた経験値を新たな領域や環境で通用するか勝負したい
③そもそも今の職種の範囲を超えて新たな経験を積みたい
1つ目は、現在の環境での閉塞感が一番の要因です。
例えば、上司が自身と変わらない仕事をしているように見え、昇進や役職をしても大きな変化が見出せなかったり、比較的ビジネスが現状維持で変化がなかったりということが挙げられます。
もし、この理由で転職を検討する際には、客観的に組織やビジネスを見ることが重要で、自分に見えていない部分はないのか、そこに変化や得られるものがないのかを冷静に捉える必要があります。
2つ目は、現状で一定の達成感を得ており、そこで得た経験値やスキルが他の領域でも通用するのかと新たなチャレンジを求めているケースです。自社での他事業や他組織でのチャレンジの余地があるのかないのかによって、転職という選択肢を取るのかに違いがでてきます。
3つ目は、経験してきた職種の範囲そのものに物足りなさを感じるケースです。
例えば、コンサルタントとしてクライアントを支援してきたが、クライアント側で意思決定に関わり当事者として活躍したいだったり、経営管理に携わってきたが、管理側で事業を見てきた中で、自身が事業運営をおこないたいと思うようになった等です。自身の職種から他業務に接することで、そちら側にも守備範囲を広げたい、そちら側に経験値を持ちたいと考えるものです。
「経験やキャリアの幅を広げたい」と考えるきっかけや背景はそれぞれ異なるにしても、現状が嫌だからではなく、これまでの経験値の上に積み重ねる形で、新たな経験やキャリアを獲得することは良いことだと思います。定年まであと何十年今後働くのかと考える方もいらっしゃると思いますが、その残り長い何十年を同じ経験値で突き通すのが難しくなっている現代です。誰しもどこかのタイミングで新たなキャリアや経験値を切り開く必要があります。
ただし、キャリアの広げ方は年齢や役職によって異なってきますので、自分がどこに当てはまるのかを踏まえて考えていただければと思います。
20代、30代の管理職候補・マネジメント候補の方であれば、全くの未経験業務に転職するチャンスはかなり少ないですが、これまでのキャリア+αを転職で目指していただくことが可能です。また、同じ職種でも業務範囲が会社によって異なりますので、より業務範囲が広い企業に転身することでキャリアや経験の幅を広げることが可能です。一部これまでの職種で培ってきたポータブルスキルを活かして、他職種にチャレンジできるケースもあります。
既に管理職・マネジメント職に就いていらっしゃり、同タイトルにてキャリアを広げることを希望される場合は、まずは業務範囲が同じになってしまうことは致し方ないと見たほうが良いかもしれません。ただし、同じ業務範囲でも業種やビジネス領域を変えてチャレンジできる可能性はありますし、活躍する中で関係する部門を自身の管掌下とすることで業務範囲を広げる方もいらっしゃいます。もし転職を検討する際は、組織が硬直的で動きが出せないのか、状況に応じて組織を動かせるのかは見ておいたほうが良いでしょう。
ご自身の状況やお考えに応じて「経験やキャリアの幅を広げる」について検討してみてください。