新型コロナのミドル・エグゼクティブ転職への影響について

新型コロナのミドル・エグゼクティブ転職への影響について(7/22時点)

斉藤由梨
2020 / 7 / 22

前回に引き続いてコロナ禍におけるミドル・エグゼクティブ転職への影響について現時点の所感を記載いたします。

前回記載した選考方法のオンライン化はさらに多くの企業において導入が進みオンライン面接が普通になりつつあります。むしろ対面面接のほうがマイノリティとなり、この数か月で選考方法はがらっと変わりました。

求人数に関しては、ミドル・エグゼクティブ採用は大きな変化がないように感じています。もちろん一部の企業においては、業績悪化を理由に募集を中断する企業もありますが、緊急事態宣言の解除を期に募集再開する企業もあり、求人数自体は劇的には変化していません。ただ、その中身をひも解いて見ると変化を感じる部分があります。

コロナ禍以前は、昨年10月の消費増税の影響もあり景気後退と言われる側面もありますが、比較的ビジネス環境を楽観視しているケースも多く、ビジネスの成長を見越して、想定人材と必ずしも合致しない部分があっても採用になるケースが多々ありました。
要は先々のビジネスの展開を幅広く想定し、必要なスキルと多少異なる場合にも、こういった人材がいても活躍できるだろう、ビジネスに良い影響をもたらす可能性があるだろうと、許容があったとように感じています。

一方で、コロナ禍以降は多くの業種・企業でビジネスの見通しが立ちづらい為、今会社に必要なミドル・エグゼクティブ人材という考え方が強くなっている印象です。 採用する人材に対して少しでもマッチしない部分、懸念になる部分がある場合は、内定・採用に至らないケースが多くなったと感じています。
求人数自体への変化はない反面、企業の内定・採用に関しては慎重姿勢が見え隠れするようになりました。
転職を検討される皆さんにおかれては、ご自身のスキル・強みへの理解をさらに深め、どのような企業においてご自身の何を武器にして内定を勝ち取るのかを戦略的に考える必要が出てきています。

こう記載すると転職自体が難しくなっているような印象を受けるかもしれませんが、コロナ禍でも転職を実現されている方々は多数いらっしゃいます。重要なのは、転職先や転職市場に関する情報を多角的に多く収集し、転職活動における武器を持つことであり、念入りな準備にこれまで以上に労力を割く必要はあるかもしれません。

もう1点、コロナ禍の中で大きく影響を受けている点として、「海外ビジネス」に関する点を挙げておきたいと思います。
ミドル・エグゼクティブの皆さんはグローバルなキャリアを志向し、「海外ビジネス」に携わるご希望をお持ちの方も多いです。海外渡航が難しいコロナ禍の現状でも多くの「海外ビジネス」は動いており、海外の現地に赴くということを除けば、オンラインにて代替できる部分も多くあります。海外ビジネスに関わることは可能な一方で、「海外駐在」には大きなハードルが立ちはだかります。

皆さんご存知だと思いますが、駐在員を送り出している企業の多くが、コロナ禍において駐在者を日本に帰国させる動きをしており、一方で新しい駐在者を出せずにいる状況です。 こうした中で、これまでは海外拠点と日本本社とをうまく結びつけることを期待されていた駐在員に対して、ただ結びつけるだけの役割は期待されなくなり、駐在員の意義・役割を見直す動きが出てくることは十分に考えられます。
コロナ禍が今後どうなるか見通しづらい為、海外駐在を期待して転職先を決定するのは慎重になったほうが良いように感じています。

まだまだ、これから変化が起こり得る状況ですので、タイミングを見て改めてお伝えできればと考えております。

参照:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について