Webディレクターからプロダクトマネージャーを目指す方に押さえていただきたいポイント

Webディレクターからプロダクトマネージャーを目指す方に押さえていただきたいポイント

佐竹和浩
2020 / 4 / 16

昨年くらいから、Webディレクターのキャリアを歩んでいた方で、より事業・サービスへの関与を高めたいということでプロダクトマネージャーへの転職を希望するケースが増えている印象ですが、経験の棚卸しや整理の仕方、そして自身の強みをどうプロダクトマネージャーとして生かしたいか?の内容によって、評価が異なる印象であることから、傾向を簡単ですがまとめてみました。

1.ミッションの違い

Webディレクターのミッション

・プロジェクトの目的/ゴールを実現すること
・実現方法の検討及び推進、課題解決
・QCD(品質・コスト・納期)を計画し達成すること
・プロジェクト終了までの期限付きでコミットする

プロダクトマネージャーのミッション

・プロダクトが顧客に提供する価値の最大化
・マーケティング戦略(セグメンテーション、ポジショニング、セグメンテーション、4P)の計画及び推進
・プロダクトライフサイクルを一貫してコミットする

Webディレクターの基本的な定義は「制作物の作品としての質に責任を持つ役割」となり、機能の充足やユーザビリティ・アクセシビリティの高さ、ページ表示速度の速さなどの責任が主となります。

一方でプロダクトマネージャーの仕事とは、製品ライン、あるいはサービスラインのあらゆる側面に責任を持ち、高い顧客満足を作り出すことであり、製品の管理ではなく、「ビジネスマネジメント」が求められることから、売上やそれに密接に関わる事業KPIなどに責任を負うことが一般的とされています。

Webディレクターの方でも人によってはプランナー・プロデューサーの役割を兼任する中で、SEOやコンバージョン、別サービスへの送客といったサービスKPIに寄与している方は少なくありません。そして何かしらのKPIを起点とした取り組み経験が多いほど、プロダクトマネージャーへのキャリアチェンジにて可能性を感じてもらいやすい傾向にあります。そのため、Webディレクターという言葉がご自身のキャリアを適切に表現できているか(厳密に言えば「応募先の考えるWebディレクターと合致しているか」は注意が必要です。

2.向けるべき目線

Webディレクター

・計画フェーズで詳細に段取りを図る
・スコープを明確に定義し、WBSを使ってタスクを抜け漏れなく洗い出す
・リスクとなり得る要因を事前に計画し、実行フェーズを通じて適切にモニタリングし、対処を図る
・ステークホルダー毎に適切にコミュニケーションを図り、仕様や進捗の認識に齟齬が無い状態を保つ

プロダクトマネージャー

・市場や顧客のニーズを正確に捉え、PMF(プロダクトマーケットフィット)を目指す
・競合とのポジショニング・差別化を踏まえた機能追加・改修の優先順位付けを行う
・現場の一次情報を自分の目・耳・足で獲得する

Webディレクターは円滑にサービスの制作が進行し、納期通りに安定した品質でリリースすることがミッションとなることから、上記の通り計画から制作に至る過程をいかにコントロールするかに重きを置かれることが基本となります。また、サービスの機能設計やリリースのスケジュールなどを緻密に定め、計画されたコミュニケーションをベースとして進行が進めることが多いため、途中での大きな仕様変更や大きな問題・リスク発生時の対応を除いてイレギュラーなコミュニケーションは少ない傾向にあります。

プロダクトマネージャーは事業KPIに責任を持つ役割であることから、プロダクトの品質のみならず、マーケティング側面も帯びるようなイメージとなります、また、ユーザーへのインタビューなど顧客との関わりを持つ方も少なくありません。そのため、ディレクターと比較して、社内のみならず、社外へのコミュニケーションの機会が多くなります。

そのため、Webディレクターの自己PRなどでしばしば見られる「調整スキル」はプロダクトマネージャーでも生かされるシーンは十分にあるのですが、その特徴に終始してしまうと、「内向き」のイメージを持たれてしまうのでご注意ください。仮に事業KPIなどの責任を担っていなかったとしても、自社の事業やプロダクトの課題を経営層やビジネス側のスタッフと議論したり、顧客インタビューによって理解を深めたりされたご経験をお持ちの場合は、可能性を感じていただけるトピックスとなり得ます。

いかがでしょうか。プロダクトマネージャーはまだ人口数が少ないことから経験者の採用が難しく、求人票の募集要項において、Webディレクター経験者を対象にしているものも少なくありません。ただし、だからといってこれまでの経験をそのまま述べても適切に伝わるとは限りませんので、上記のようなエッセンスを参考に、ぜひ良い準備を進めていただければと思います。もちろん求人によって、Webディレクター経験者を採用する優先したいスキル経験の違いは見られますので、そうした部分を把握されたい場合はお気軽にご相談ください。