SAPをコアスキルとして築くキャリアについて

SAPをコアスキルとして築くキャリアについて

佐竹和浩
2019 / 9 / 17

今回はコンサルティングファーム、事業会社に問わず、採用ニーズの高いSAP関連についてスポットを当ててみたいと思います。

直近SAP経験者の方をご支援させて頂く機会が多く、転職の理由としてSAPだけのキャリアだと将来リスクを感じる、SAP以外の領域にもチャレンジをしていきたいとのご相談を多数頂いております。

そこでSAPをコアスキルとしてキャリアを築いていくメリットについて、簡単ですがご参考ください。

◆現在のSAP市場について

ITコンサルティングの中でも、案件数が多いSAP関連プロジェクトであり、新規導入やバージョンアップなどSAP関連案件の依頼はコンスタントにコンサルティングファームやSIerにご依頼が届いている状況です。

SAP関連プロジェクトが多い理由のひとつとしてご存知であると思われますが、SAPがグローバルスタンダードとして認知されており、日系企業が海外拠点を設ける際に国内で構築したSAPシステムを海外展開できる等グローバル対応が可能となっているためです。

また、SAPの今後のシェアの影響として2025年問題があり、現在多くの企業に導入されている「SAP ERP」のサポートが2025年をもって終了となるため、SAPが開発した「SAP S/4HANA」に移行する必要があります。

ただし、「SAP S/4HANA」は従来の「SAP ERP」とは大幅にシステムが異なっているため、新規導入に近い形で工数やコスト、人数をかけたプロジェクトが必要となります。

短期的に見れば2025年までは移行プロジェクトの依頼が多く、コンサルタントのニーズが高まると想定されます。

◆SAPコンサルタントの将来性

それでは2025年以降のSAP市場は衰退してしまうのでしょうか?その際に気になるのがSAP自体のシェア率、将来性ではないでしょうか。

国内のERP市場シェアに関しては、トップはSAPジャパンのシェア20.8%、次いでOBCのが17.8%、富士通のが11.6%、日本オラクルの9.2%と続きます。

海外の市場でも6%と世界・国内ともに、大手ERPベンダーであるSAPがトップシェアを誇っており、その強さがうかがえます。

国内においても海外製品であるSAPが人気なのは、先進的な海外企業のモデルを、ERP導入によって取り入れられると考えているためです。

また、2017年に入り、国内法人のSAPジャパンが中堅・中小企業向け市場における新たなビジネス戦略を打ち出し、国内の中堅・中小企業を、年商規模で「250億円以下」と「250億~1000億円以下」の2つのレイヤーで定義して、それぞれに特化した組織を新設する等、これまで直販を主としてきた販売モデルにも大幅に手を入れて、特に中堅・中小企業向けにはパートナービジネスの強化に取り組んでいます。

中小企業のクラウド化も影響し、クラウド化によりERPの初期投資を抑えることができるようなったため、SAP自体が新たなマーケットとして中小企業を捉えているのです。

従来の大企業向け新規導入支援というプロジェクトに加えて、今後は中小企業向けのプロジェクトを担うケースが増えることが予想されるため、SAPコンサルタントのニーズが高まるとも言えるのではないでしょうか。

◆最後に

SAPは海外シェアとあわせて日本国内でも導入企業が多く、プロジェクトを統括するSAPコンサルタントのニーズは高い状況が続いています。企業の業務プロセスの見直しをはじめ、経営改善や業務改革に関わる機会も多く、経営課題を解決するという目的で進めるため、ビジネスの上流に関する幅広い知識と経験が求められる点もSAPコンサルタントの特徴となります。

SAPには認定コンサルティング資格があり、業界の評価も高いのが特徴であるため、フリーランスで活躍するSAPコンサルタントも登場しており、さまざまなキャリアパスがあります。今後、キャリアの一つの選択肢として、SAPをコアスキルとしたお仕事も検討されてみてはいかがでしょうか。