4~5枚でも効果的に見える職務経歴書
私は現在、30代半ば~50代までの方をご支援するケースが多いのですが、活動をサポートさせていただく中で、少し最近気になった「職務経歴書」について、今回は記載してみたいと思います。
特に40代以上、あるいは3~4社転職されている方については、「職務経歴書は最大でも2枚にまとめるべき」という心掛けによって、豊富なキャリアや多くの実績持ちながらも、それを割愛しながら、2枚程度に収める形で構成されているケースをしばしばお見かけします。
ただし職務経歴書を通じて効果的に、ご自身の強みや実績を伝えるには、必ずしも2枚でシンプルにまとめるのが効果的とは限りません。
むしろ、複数の会社でキャリアを築かれたストーリー豊富な方は、2枚ほどの縛りでまとめることが、逆効果となってしまうことも有り得ます。
もちろん、職務経歴書のボリュームが4~5枚となる際には、レイアウトや書き方によっては読み手にストレスを与えてしまうことも珍しくないので注意が必要ではありますが、ちょっとした一手間と心構えで結構変わるものでもあります。
特に40代以降の方々は応募する選択肢も限られてくることから、職務経歴書の構成にも、ぜひ一手間を意識していただくことによって、得られる機会が変わってくることがございます。
前置きが長くなりました、今回はそのポイントを少しほどご紹介したいと思います。
①現職から過去に遡ったレイアウト
これは主に「書類選考の材料」として重要な点となる部分です。
前提として30代以上、年齢が上になるほど求められるのは、「これまでのキャリアが自社の即戦力になるのか」となりますが、この観点では、現職でのパフォーマンスが最も注目されることから、冒頭に「即戦力になり得るのかどうか」を結論として持ってくることで、その先「読みたい」と思わせることが必要になってまいります。
また、基本的に他社のキャリアを読み解いていく際には、
今現在、どこで何を担われている方なのか?
↓
その過程で、これまでどのような経験をしてきたのか?
という形で見ていくことが多いように思われます。
最初の職務経歴から現在の過程を読み解いていきながら、応募者のキャリアを読みといていくケースもありますが、現在は、各社の選考官も実務と採用活動の両面で多忙な方が多く、書類選考にも十分な時間を掛けられるとは限らないこともあるため、冒頭で「即戦力となること」を結論として明示いただいた方が効果的であると思われます。
人によっては、直近の在籍が何かしらの事情で短いといった理由から、最新から遡っての記載をはばかられるように感じる方もおられれます。そのお気持ちもお察しはしますが、それでもやはり職務経歴については、現職から最新順に記載することがが好ましいとアドバイスしています。
②経験内容ではなく、成果と過程を盛り込む
職務経歴書を出来るだけコンパクトにすることを意識されるあまり、経歴の記載が、所属部署・役職・役割内容に終始してしまっているケースも見られますが、これも決して悪い訳ではないものの、機会損失を起こしている可能性があります。
特に30代後半や40代など、自身の専門性や実績による即戦力性が求められる転職では、「どこで何をしていたか」以上に「どのようにして成果を出してきたか」という部分を書類選考、面接双方で重視して見られる傾向にあります。
そのため職務経歴書の記述が部署・役職・役割のみに留まってしまうと、役職は立派でも、実績詳細を書いていない人=成果にコミットしていない、という誤解を招いてしまうリスクがありますので注意が必要です。
もちろん、全ての実績およびその過程を細かく記載してしまうと、大掛かりな内容になってしまうので、記載すべき実績・事例の取捨選択は、ある程度必要にはなります。
その場合、応募先の今後の取り組みや、現時点での事業課題を元に、ご自身が「どのような課題に向き合い、解決してきたのか」という形で具体的なケースをいくつか記載いただくことが非常に効果的です。
また、職務経歴書にこうした成果・過程の記述を行うことによって、面接官がインタビューに臨む際の参考となるほか、自身の実績やその過程を端的な文章でまとめる作業が、面接準備にも繋がるといった効果もあります。
③キャリアの総括としての自己PR、強みの整理
これも2枚にまとめようとする中で割愛されてがちな一つですが、10行前後でもまとめていただくことで、読み手に与える印象は異なります。
ただ、キャリアの豊富な方は、これまでの強み特徴を全て記載してしまうと、それだけで盛りだくさんのボリュームになってしまうのが難しいところです。
そのため、私はスキル・専門性別の強みを列挙するのではなく、
・対顧客に対する強み(専門知識、方法論、成功体験、ポリシーなど)
・対組織に対する強み(部門運営、チームビルディング、人材育成、事業推進など)
の2つの観点で整理して見出しと詳細をまとめていただくことをお勧めしています。
2つにまとめる分、強みの抽象度は高まることが多いのですが、これまでのキャリアを総括して整理している姿勢が伝わることも含め、取り組んでいただく余地はあるかと思います。
終わりに
いかがでしょうか?
ミドル以上の職務経歴書には、
・書類選考の材料
・面接での参照資料
・外部DBでスカウトを受ける際の参照資料
という要素がありますが、多くの方は「書類選考の材料」に重きを置いており、「詳細は面接で述べたいor述べればいいだろう」という方も少なくありません。
しかし経験豊富な方になるほど、事前に整理成されていないと、詳細の説明自体が非常に冗長になってしまい、上手く伝わらない、といったこともしばしばです。
そのため、職務経歴書の作成において上記のようなひと手間を加えることで、面接のアウトプットにも寄与するというメリットはぜひ実感いただきたいです。
また、私がご支援した方の中には、見直した職務経歴を転職サイトの登録情報へ反映させることによって、企業やエージェントから受けるスカウトメールが多くなった、あるいは、より自身にマッチしたスカウトメールが届くことがあったという効果が見られた方もおられました。
そうした点からも、準備の手間は掛かるのですが、ご自身のキャリアの言語化、ドキュメント化の重要性を、ぜひご理解いただきたいと思います。