転職市場を通して感じたSI業界の変遷について

転職市場を通して感じたSI業界の変遷について

斉藤由梨
2021 / 04 / 14

現在、様々な業界・職種のミドル・エグゼクティブの方のキャリア支援をしておりますが、私自身エージェントのキャリアを通して、IT業界には今も以前も一貫して関わってきました。
約13年のIT業界特にSIerにおける転職支援を通して、業界の変化や肌で感じたことを記してみたいと思います。

私がエージェントを始めた当初SI業界の転職は、「35歳転職限界説」という今では言われなくなった説がにわかに信じられていた時代でした。ただ、確かに現在は主に40代50代の方をご支援している中で、多くの方が転職を実現されていますが、30代後半になると転職が難しい時代であったのは事実でした。まだまだ転職が今ほど当たり前と思われていなかったのだと思います。

そして、リーマンショックはIT業界にも大きな影響をもたらしました。SIer、ITコンサルティングファームがこぞって積極的に採用を行っていたのが、多くの採用が止まりました。ただ、一方でリーマンショック下でも一定の事業責任者クラス、事業リーダーの募集は行われていました。この点ではコロナ禍でもミドルの転職市場の募集は大きく影響を受けていないとお伝えしてきましたが、リーマンショック下でも同様だったのだなと思い返します。

そして、リーマンショックから数年経って、2010年代に入ってくるとビジネス界全体が改めて成長基調になり、その中でもIT業界は成長をけん引する業界となりました。
今では当たり前になった、クラウド、ソーシャル(SNS)、モバイル(スマホ、タブレット)といったものが、一気に広がりそれ以外にも新たな技術が次々と登場してきました。SI業界がこうした新たな技術を広め、ビジネスを更に拡大していきます。

この時期私が多くご支援してきたSIerは、新たな技術サービスを提供するサービスベンダーに対して、自分たちの存在意義や強みを見直しているように感じました。オーダーメイドで提供できる強みが逆に、価格・スピード面において仇になり、多くのSIerで就業される方からサービスベンダーへの転職相談を受けたのを記憶しています。

ただ、現在に至るまでSIerはサービスベンダーの技術を取り入れ、自身のオーダーメイド開発の技術力と併せてユーザーのかゆいところに手が届く点を強みに堅調にビジネスを進めているように見ております。また、SIerによっては自身がサービス提供者となるべく、サービス開発に強みを見出そうとしているのも見聞きします。

一方でここ数年のデジタルトランスフォーメーション(DX)という流れに対して、SIerがどう存在意義を持ち続けるのかについては、まだ興味深く動向を見ているところです。DXに際して多くのユーザー企業が、一定SIerの力を借りながら推進を図っているのは事実であり、存在感を発揮することは間違いないように思います。

企業によっては、DXと共に内製組織を作り上げ、SIerが必要ないだけの体制を整えてしまうかもしれません。ただ、全ての企業にそうした体制構築ができるとは考えづらく、SIerに委託し続ける部分はあるのではと思っております。

ただ、DXを自律的に推進できる企業が増え、どちらかというとDXが遅れ気味企業の支援が中心となってしまうと、SIer自体には高度なノウハウや技術力が残らなくなってしまわないでしょうか。だからこそ、前述のようなサービス・プロダクト開発に力を入れたり、より高度なノウハウ蓄積を目指してコンサルティングまで力を入れたりと、試行錯誤している状況からどういうビジネス展開に至るのかを見守りたいと思います。

上述のような変遷を踏まえつつ、市場感あるアドバイスを承りますので、是非ご相談ください。