改革や部署立ち上げといった特命ミッション求人においての注意点

改革や部署立ち上げといった特命ミッション求人においての注意点

伊藤直也
2020 / 12 / 09

コロナ禍の影響やDX、働き方改革などの社会変化への対応、あるいは、株式上場や新規事業、海外展開といった「会社として新たなステージに向かう」ことが求められている会社様では、その変革における中核役を採用したいという求人が引き続き随所に見られています。
また、これまでの経験を生かして新たなチャレンジをされたいという方も少なくないため、こうしたマッチングについては、弊社のようなエージェント経由もさることながら、ダイレクトリクルーティングやリファラルなども含めて全体的に活発化している印象です。

私としても、実際に採用いただいた方が、それまで社内には無かった方法や知見、アイデアをもたらしたことで、数ヶ月後に事業が大きく伸びたという旨をお聞きすることで、経営における「ヒト」のインパクトの威力を改めて思い知っている次第です。
ただしその一方で、「聞いていた話と違う」という理由から、早期に退職や転職に至られる方にお会いすることも珍しくなく、マッチングの難しさも日々感じています。

色々なケースに遭遇する中で特に最近感じているのは、改革や部署立ち上げといった特命ミッションの採用において、「その領域に詳しい人を採用することがゴールになっているケース」も少なくなく、その場合は事前のすり合わせや期待値の調整に特に慎重になっていただく必要があるという点です。

これはAIやデータ分析、UXなどのデジタル化推進系にしばしば見られるほか、最近ではセキュリティ分野でも結構珍しくないような印象です。

会社として新しいことに取り組もうとする意気込みや、そのために専門部署を設け、その責任者ポストを用意している…といったメッセージは、待遇面のみならず、チャレンジングな職場である期待を強く感じさせるものであり、その機会を通じて大きな醍醐味や成長機会を得ていただけるケースも少なくありません。

ただし、そのお話が「その道のプロに来てもらえれば全て解決してくれるはず」という期待に基づいた採用になっていた場合、入った後で「予算が全然取れない」「多部署からの協力が思ったほど得られない」「やりたいといったことをやるための基盤が全く整っていない」「早速新しいことに取り組もうとしたが周りの温度感と大きなギャップがある」などのジレンマに陥ってしまうリスクがあるので注意が必要です。

なお、上記のようなケースが「転職すべきではないNGなケース」であると申し上げたいのではありません。新しいことに取り組む上で、そのために必要なことを最初から分かっている/整えているケースは限られることから、一概に「理解がない会社」と判断してしまうのももったいないとは思います。

そこでぜひ推奨したいのは、面接や面談を通じて、その会社が目指すものや解決すべき課題、その解決においてはどのような時間軸でどの程度のリソースを用いようとしているのかといった部分はできる限り粒度高くイメージが描けるような形で議論を深めていただくことです。

ビジョンや課題については、概念論に終始することなく、その課題に至るまでの経緯まで踏み込んでいただくことが好ましく、リソースについても、当該部署の人数や予算規模と承認権限などはもちろん、多部署との連携の仕方なども含めて細かに聞いていただくことがポイントとなります。

また、上記のような部分が全て決まった上で採用が進んでいることが好ましいですが、場合によっては求人企業側で決まっていないことも珍しくなくありません。その場合は面談の場やエージェントを通して先方に検討いただき、回答を待つということも有効です。その求人のステータスやタイミング、マッチ度合いによっては、ご自身の意見や要望などを反映することができる可能性もございます。

今回は大まかな形でまとめていますが、事業/部署の機能や役割によってはまた違った部分に気を配る必要もありますので、ぜひ求人企業やリファラル採用における紹介元、エージェントなどと密に連携を図りながら、より良いマッチングを追求いただければと思います。