転職1年目、なんでも相談室
「つながらない権利」を考える。休みの日、スマホの通知にドキッとしていませんか?
「退勤後や休日に、会社からのチャット通知にモヤっとする」
「リアクションしないと上司やメンバーからの評価に響く気がして、つい返信してしまう」
そんな悩みを感じたことはありませんか?
リモートワークなどオフィス以外で仕事ができるようになった一方で、PCやスマホが近くにあるため「常にオン」の状態を強いられ、心が休まらない......。今回は、そんな悩みを解決する考え方として注目される「つながらない権利(Right to Disconnect)」をテーマに、オンライン社内勉強会「オシゴトカイワイ」の様子をお届けします。
「オンタイム」の効率UPだけではなく、「オフタイム」の質の向上と、心を守るためのルールについて、一緒に考えていきましょう。
公開 : 2026/04/28 更新 : ----/--/--
新しい職場・仕事で活躍するには何が必要?
転職1年目、なんでも相談室
本連載では、転職後のさまざまな壁を乗り越えて、新しい職場で活躍するためのコツをアドバイス! 入社直前の不安な気持ちから、入社後の仕事・人間関係のトラブルまで、転職後1年目に起こりうる「あらゆるお悩み」を取り上げていきます。
【オンライン社内勉強会 オシゴトカイワイ】
<登場人物>
はたけ: 社内オンライン勉強会のファシリテーター。データ分析や海外のレポートを調べるのが得意。
ねもやん: 勉強会のファシリテーター。組織や人の心理に関心が高い。データだけでは見えない、感情や文化の側面からも考察を行う。
オープニング:休みなのに休めていない「通知の恐怖」
はたけ
お疲れ様です。本日のテーマは、最近、耳にすることが増えた「つながらない権利」についてです。
皆さん、正直なところ……休みの日にSlackやTeamsの通知が来たら、何ならLINEで仕事の連絡が来たらどうしてますか? ちなみに私は、プッシュ通知が目に入ってしまったら「何かトラブルかな?」「すぐ返さないと!」って、反射的にスマホを手に取っちゃうんですよね。
分かります。以前の勉強会で話した「メンパ(メンタルパフォーマンス)」にも通じますが、通知一つで一気に現実に引き戻される感覚ですよね。特に転職してすぐの方だと、「早く成果を出したい」「やる気を認められたい」という心理から、早くレスポンスしようと頑張ってしまいがちですよね。
ねもやん
はたけ
そうなんです。でも、ずっと「オン」の状態が続くと、脳が疲弊して、結果的に仕事の質が下がるというデータも出ています。今日は、仕事のオンとオフ切り替えにも大事な「つながらない権利」について掘り下げていきたいと思います。
1. 「つながらない権利」とは何か? 世界と日本の今
そもそも「つながらない権利」って、具体的にどういう権利なんですかね?
ねもやん
はたけ
簡単に言うと、「勤務時間外や休日に、仕事上のメールや電話、チャットなどの連絡を拒否する権利」のことです。実はヨーロッパを中心に法制化されている国が増えています。フランス、イタリア、スペイン、オーストラリアなどがそうで、ルールは多少違いますが、企業に対して罰則規定もあります。
海外ではかなり進んでいるんですね。日本はどうなんでしょう?
ねもやん
はたけ
日本でも厚生労働省がガイドラインで「勤務時間外の連絡は控えることが望ましい」と触れていますが、まだ法制化はされていないですし罰則規定もありません。
会社によってはルール化しているところもありますが、まだまだ一般化しているとは言えず、個人が自主的に対応する必要があります。
2. なぜ「つながらない(オフになる) 」ことが難しいのか
オフにしたくてもできない……その背景には何があるのでしょうか?
ねもやん
はたけ
2025年に厚生労働省が出している報告書では大きく3つの要因が挙げられています。
一つ目「デジタル技術により職場の境界が曖昧になった」
モバイルPC、スマホなどでどこでも連絡が取れる環境により、仕事が私生活へ簡単に入り込むようになりました。 リモートワークの普及もその一因と言えます。
二つ目「外部要因」
突発的な状況や顧客からの要求など、社内のルールだけでは制御できない複合的な要因が関係しています。
三つ目「不利益への懸念」
連絡を拒否することで評価に響くのではという心理的不安も、断ることを難しくさせていると考えられます。
はたけ
更に想像して欲しいのが、自分が時間外に反応することで同じグループの上司や同僚の通知を鳴らしている可能性があるということです。
個人の努力だけでは防げない構造的な問題が潜んでいますし、自分が誰かのオフを妨げていることにも気づかないといけないですね。
ねもやん
3. 実践!自分とチームの「オフ」を守る3つのアクション
はたけ
では、今の環境・関係を壊さずに、どうやって「つながらない権利」を行使していけばいいのか。また自分も具体的なアクションを提案したいと思います。
① 「通知設定の変更」と「予約送信」の徹底
はたけ
自分が休む時は、スマホのプッシュ通知をオフにして、チャットツールのステータスも「休暇中・通知オフ」に設定しましょう。また、夜中に何か良いアイデアを思いついても、そのまま送信しないようにしましょう。相手の通知を鳴らさないよう、翌朝の始業時間以降に「予約送信」するのもマナーです。
それ、すごく大事ですね。前回のAI活用の回でも話しましたが、ツールを「使いこなす」の中には、相手の時間を尊重することもありますよね。
ねもやん
② 「緊急」の定義を上司と握る
はたけ
1on1の時間を活用して、確認しておきましょう。「休日にどうしても連絡が必要な『緊急事態』とは、具体的にどのようなケースを指しますか?」と聞いておく。 「サーバーが落ちた時だけ」「このクライアントからの連絡時だけ」など、範囲が決まれば、それ以外の通知にドキドキする必要がなくなります。
③ 「代理対応の手段」をあらかじめ用意・周知する
はたけ
自分が休んでいる間に「何かあったらどうしよう」という不安が、つながらないことを一番難しくさせます。だからこそ、休みに入る前に「判断のヒント」や「代理の連絡先」をチームに共有しておくことが大切です。
なるほど。「この件で迷ったら〇〇さんに聞いてください」「緊急でなければ休み明けに対応します」と一言添えるだけで、相手も自分も安心してオフに入れますね。
ねもやん
はたけ
そうなんです。単に連絡を絶つのではなく、業務が滞らないための「仕組み」を整えておく。これこそが、顧客やチームとの信頼関係を守りながら「つながらない権利」を賢く行使するコツと言えそうです。
4. 今後の期待、日本でも法制化の動きが
でも個人が頑張るだけでは限界がありますよね。海外みたいに国でルールを明文化して欲しいです。ウチの会社は幸い終業後や休日に、何か対応することはほぼないですが、社内規定もないので気になります。
ねもやん
はたけ
実は、日本でも「つながらない権利」の法制化が議論されています。先ほど触れた厚生労働省の作っている報告書に沿って労働基準法を改正する法案が国会に提出される見込みです。※2026年4月現在
本当ですか? じゃあ、ルール化されるんですね!
ねもやん
はたけ
一度法案提出することを見送った経緯もありますし、まだわかりません。
あと、今回の改正案の中で「つながらない権利」はあくまで課題の一つです。また、罰則規定までは設けないで、ガイドラインが策定されるに留まる見通しとも言われているので、ただちに変わるわけではないと思います。
でも、そこまで議論が進んでいるのであれば、会社も先行して検討するかもしれませんね。ちょっと期待が持てます。
ねもやん
まとめ:オンとオフの切り替えがうまく行かないときに
はたけ
今日は「つながらない権利」をテーマに、仕事のオンとオフをどう切り替えるかについて話してきました。まずは業務時間外でも何かあったら対応しなきゃ、というプレッシャーや思い込みを失くすのが大事ですね。
「つながらない権利」という私たちが健やかに働くうえで大事な考え方があることを知れて良かったです。私もスマホの通知設定を見直してみます。
ねもやん
はたけ
権利といっても日本ではまだ法制化されていないですし、振りかざすことは止めましょう。しかし、それを踏まえてオンとオフの切り替えについて、会社とコミュニケーションをとるのは良いかもしれませんね。

