コロナ禍におけるリスクコンサルティングとは。

コロナ禍におけるリスクコンサルティングとは。

武藤卓麻
2021 / 01 / 28

つい先日、国内で初めての新型コロナウイルス( COVID-19 ) の感染が確認されてから、ちょうど丸一年が経ちました。各都道府県で2度目の緊急事態宣言が発出されている現在。第二波、第三波…と未だに新規感染者の増減は非常に流動的であり、誰も収束の目途が立てられない状況です。

以前、私のブログの中で「リスクコンサルティング」をテーマとして扱わせていただく機会がありました。

意外と詳しく知られていない「リスク(マネジメント)コンサルタント」の仕事と魅力について

「貴方が選択するキャリアはコンサルティングファーム?それとも監査法人?」

コロナ禍の影響で人々の働き方、企業の事業運営が大きく変わっている中、リスクコンサルティングのお仕事はどのようなアプローチ、コンサルティングをしているのでしょうか。リスクコンサルティングをサービスメニューとして扱っているクライアント様とお話する機会もあり、今回はそんな「コロナ禍におけるリスクコンサルティング」をテーマとして書かせていただきます。

まず、未曽有のパンデミックに見舞われた世界の中で企業の頭を悩ませたのが「サプライチェーン」の寸断です。サプライチェーンの重要な構成要素として、生産、物流、人の移動の三要素を挙げることができるが、生産拠点の活動停止や人の移動が制限されたことにより、コロナ禍前に流れていたサプライチェーンが止まってしまう事態が発生し、経営存続を危ぶまれた企業も少なくない。特に中国をはじめとした生産拠点が一極集中してしまっているケースでは影響が大きくありました。
そこで、リスク分散も目的とし、生産拠点の分散化・多様化を実施するため、サプライチェーンの見直しが図られており、リスクコンサルとして支援をしていく事例も増えているようです。 クライアントのサプライチェーンにおいて、もしもの場合が発生した時にどのようなリスク、弱みがあるのか、発見し解決策を見出していく事が必要とされています。

次に「リモートワーク」への対応です。これはどの企業でも直面している(直面し得る)テーマです。リモートワークへの移行準備やルールが整わないままリモートワークを余儀なくされた企業、また今後一層リモートワークへのシフトを検討されている企業も多くある印象です。そんなリモートワークができる環境への支援(セキュリティ対策も含め)もリスクコンサルの仕事の一つとして案件が発生されています。また、リモートワークに移行後の仕事のパフォーマンス管理や労働時間の管理も課題となっています。リモートワーク下における業務の進捗や勤務時間の実態を企業が正確に把握するため、業務管理ツールの導入検討の支援もされているようです。

また、BCP観点における事業ポートフォリオの見直しも企業に迫られている課題です。特に今回の 新型コロナウイルス( COVID-19 ) の影響で、旅行、航空、飲食といった業種の企業が事業存続を脅かすレベルの大きな打撃を受けました。事業ポートフォリオを広げる、収益構造を変革する、といったように今後起こりうる非常事態に対して、事業の見直しを検討されている企業も少なくないように思います。そのBCP戦略に対しての戦略支援なども、リスクコンサルティングのお仕事として増えつつあるようです。

以上のように今回は「サプライチェーン」、「リモートワーク」、「BCP」のポイントで例を挙げさせていただきましたが、その他の観点でもコロナ禍に企業が直面する課題・リスクは少なくないと思います。今後、コロナショックのような未曽有の非常事態が発生する可能性もゼロではない以上、リスク回避・軽減を企業が事前に(もしくは発生後スピーディに)行っていく必要あり、リスクコンサルとして案件の広がりはあるのではないか、と感じます。

先般のブログでもリスクコンサルのお仕事は最新のトレンドに関する案件が多い点について触れさせていただきましたが、コロナ禍においても同じ事が言えるのではないでしょうか。ここ1年で事業やライフスタイルが大きく変化し、それに対応すべくリスクコンサルティングの扱うテーマが変わり、案件の広がりを見せているのが現状のようです。

最新のトレンド、且つ企業が事業運営で最重要なテーマを扱う案件に携わることができるリスクコンサルのお仕事の理解に少しでも参考になりましたら幸いです。

参照:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について