経産省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」、「デジタルガバナンス・コード」。これから数年で必要とされるDXと求められる人材(DX部門)

経産省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」、「デジタルガバナンス・コード」。これから数年で必要とされるDXと求められる人材(DX部門)

武藤卓麻
2020 / 3 / 12

皆さん、「2025年の崖」や「デジタルガバナンス・コード」というワードを耳にしたことはありますでしょうか。いずれも経済産業省が提示したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する内容ですが、最近、クライアントのエグゼクティブの方とも話題になった内容でもあります。
今回は①「2025年の崖」や「デジタルガバナンス・コード」とは?、②その中でどのような人材が求められているのか、についてブログで取り上げたいと思います。

そもそも「2025年の崖」や「デジタルガバナンス・コード」とは?

①「2025年の崖」

2018年に経産省がとりまとめた『DXレポート』で掲載された言葉・表現です。
デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの参入や変化が激しい時代になっているにもかかわらず、日本では経営者の理解不足や既存システムが足枷となり、2025年以降には年間で最大12兆円の経済損失を生じさせてしまうというリスクがまとめられています。
多くの経営者が将来の成長、競争力強化のために、DXの必要性を理解しているものの、思うように推進できない実状と未来を危惧、警鐘を鳴らした内容で、日本国企業に対してDXの必要性とともにレガシーシステムや技術的負債からの脱却等、DXを実行する上での課題を示し、DXの推進に向けた企業への意識付けを促しています。

(上記が解消されない場合のリスク例)
・データ活用やDXの実現もできないため、スピード感のあるビジネス変化に対応できず、ビジネスモデル、サービスモデルを機動力をもって変更できない
→競争力の低下、グローバル競争の敗戦
・IT予算の9割以上がシステムのメンテナンス(維持費)になる
・保守・運用の担い手が不足→セキュリティ事故/災害によりトラブルが多発 等

②「デジタルガバナンス・コード」

2019年9月に同じく経産省が策定した、企業のDXの取り組みにおける行動原則、指標として示したものです。
「2025年の崖」で示したレガシーシステムや技術的負債からの脱却は勿論ですが、DXの達成度合いをステイクホルダーに明示、また評価することも目的としています。

要は、きちんとデジタルトランスフォーメーションを進められているか、具体的な取り組み内容を投資家にも開示していく必要があるのです!
そして、投資家等の市場関係者が企業のデジタルガバナンスの評価を行うこととしています。
「DX格付」といった内容も議題に上がっているようです。

企業が見ている選考のポイントとは?

このように国の動きもあり、企業のデジタルトランスフォーメーションに益々拍車がかかる事が予想され、各社の経営陣自らDXの状況を把握し、今後の方針を策定していく必要があるため、TOPダウンで推し進められることが容易に想像できます。

こういった中で、昨今部署として新設されている「○○デジタル部」、「デジタル●●部」やDXを推し進める情報システム部のような組織で、どのような人材が求められていくのでしょうか。
企業が見ている選考のポイントにも関与してきますが、クライアントからいただく声も参考にしながら上げさせていただきます。

■デジタル戦略立案と同時に経営層に向けたネゴシエーション、調整力

前述のとおり経産省の明示では、経営陣がリーダーシップと説明責任を担うことも目的としています。よって、経営陣への課題提示を具現化し、推し進めるうえでの交渉、調整力が必要となります。

■ビジネス、事業(業務)を理解したうえでのIT施策のリード

従来のシステム部門の傾向だと、情報システム部としてコーポレート全体のシステムを見ていく形になりますが、現在、事業部門にシステムチームを置く企業も増えてきています。ビジネスや事業により近い立ち位置で、ユーザーファースト、且つ事業課題を理解し施策を打つことで、競争力を高めていく動きがあります。

■その他のキーワード

・SAP(2025年SAP ERP(R3)のサポート終了に伴う)
・AI(機械学習、ディープラーニング)/IoTbr
・アジャイル、スクラム開発、マイクロサービス(スピード感、try&errorを実現する開発スタイル)
・データモデル/データマネジメント/データリスク/データガバナンス
データの利活用を促進するためには、それに伴うデータ流出などのリスク視点も必要

いかがでしたでしょうか。
「2025年の崖」と聞くと悲観的な印象を持ちますが、一方で前述のようなリスクが解消できれば、2030年までに実質GDP130兆円超の押上げが可能とも同DXレポートで明示しています。

企業のDXを推進するコンサルティングファームやSierにおいても、このテーマに関するプロジェクトが多く、引き合いも強いようです。

今後のキャリア形成や面接でのアピールの仕方等、ご参考いただけますと幸いです。