海外で活躍した方が重要と感じる”人間力”
近年、転職や今後のキャリアを検討されているビジネスパーソンの皆様から”グローバル人材”として活躍したい、というテーマでお話しする場面が、増えて参りました。また、実際に求人企業様からも、海外展開に携わる部署・プロジェクトでの募集はコンスタントに頂いており、こうしたテーマは今後も更に活発になっていくかと思われます。
お恥ずかしい話、私自身が海外ビジネス経験など持ち合わせていないこともありますが、上記のニーズに対し、充実した転職・採用のサポートに至るべく、”グローバルで活躍する人材”とはどのような存在なのか?という点は非常に気になるところです。その為、実際に仕事柄、グローバル企業のエグゼクティブや、実際に海外で活躍された実績を持つ方々にお会いする機会においては、ほぼ必ず「海外で勝負する上で重要な要素とは何でしょうか?」という質問をさせて頂いております。
こうした質問を始めた当初は、回答として、「語学力」「特定地域に対する知識・実績」「専門性」などのキーワードを色々と想像していました。しかし、実際にインタビューさせて頂いた皆様からご教示頂いた中で、ほぼ共通していたキーワードは、「人間力」でした。
これは「国籍・言語・文化・役職など自身および周囲のバックグラウンドに捉われることなく、相手と対峙出来る能力」といったようなニュアンスです。海外でのキャリアと申しましても、海外市場の攻略、海外拠点・グループ会社の経営管理、事業提携など、色々なシーンが想定されますが、皆様それぞれに表現の違いはあるものの、この「人間力」が非常に重要であると言われる方が多いです。
むしろ、その国の国民性・商慣習、あるいは現地事情を事前知識を固めることが固定概念になったり、現地に行ってみたら実情は違っており、戸惑いの連続であったという声も見られました。
もちろん色々なインプットは重要でありつつも、それ以上に知識経験に捉われることなく、いかに目の前の相手における背景や心情を理解しようとすることが出来るか、そして、相手を理解しようとするだけでなく、自身を理解してもらえるために、フラット・オープンでいられるかが重要であるそうです。「いかにひざを突き合わせて対話できるか」というイメージでしょうか。中には、敢えて自身の弱みをさらけ出すことが有効なコミュニケーションになり得る、と感じられる方もいらっしゃいました。
また、こうした人間力という要素は「グローバルHQとして日本のやり方を押し付けても定着しない」、あるいは「海外駐在直後に、日本での実績・専門性や能力を根拠として信頼されるのは簡単でない」というジレンマを感じ、乗り越えた中で、学びとして確立されている方が少なくないようです。幼少期に海外で過ごされている方なども、感覚として持ち合わせているものかと思われます。海外駐在・海外事業担当などの採用およびアサインにおいては、語学や専門知識以上に、こうした人間力を重視することもあるそうです。
もちろんこれらの要素は実際に遭遇してみない限りは、腹落ちし難い部分もあるかと存じます。ただ、こうした要素は国内のビジネスでも十分に求められる要素であり、将来に海外での挑戦に臨む準備として、普段の実務から意識出来る部分もありそうです。