カジュアル面談を進める際のちょっとしたひと手間

カジュアル面談を進める際のちょっとしたひと手間

伊藤直也
2021 / 02 / 24

先日、あるプロダクトマネージャーの方とお話しさせていただいている中で、
「カジュアル面談ってあるじゃないですか、あれ意味あります??」
というご指摘を頂きました。
そこで今回は、人材紹介会社経由や、転職サイトやSNS上で直接スカウトを受ける際にもしばしばみられる「カジュアル面談」について述べてみたいと思います。

なお、ここ最近、Twitterなんかを見ていると多く出てくる(出てきてしまう)、
「カジュアル面談と言われて臨んだのに普通に面接されたor落とされた」
という点についてはまた何かの機会に述べさせていただくとして、
(私も近しいケースでお詫びしたことが数回ありますが…)
この投稿では、カジュアル面談という機会を出来る限り有意義・効果的に活用いただくためのちょっとしたひと手間、というものを挙げてみたいと思います。

その前にまず、カジュアル面談については色々と解釈がありそうですが、ここでは“面接選考ではなく、求人企業様を深く理解するためのインプットを主とした面談”という解釈で進めさせていただきます。

実際そこまで大したことを述べる訳ではないので結論から申しますと、求職者の方がカジュアル面談を効果的に実施するうえでは、

・その企業様についてどのような経緯で関心を持たれたのか
・事前にどのような情報を得ているのか
・面談前の段階で特に理解を深めたい部分、あまり理解が進んでいない部分
・現時点でのキャリアプランや転職を考えている経緯(差し支えない程度でOKです)

を予め、求人企業様にお伝えするというひと手間をオススメします。
実際に上記を行うことで、私は仲介の立場として、カジュアル面談を確実に円滑に進めていただくことが出来ています。なお、ここでの“円滑”とは、決してカジュアル面談から選考に進む、というものではなく、有意義に求人企業様の理解を深められたというニュアンスです。

上記については、それくらい当然では?と思う方もおられるかも知れませんが、意外にこの辺りをきっちりやって臨まれているケースは多くないのではと思います。

それは、人材紹介経由あるいは企業様からの直接のスカウトのいずれにおいてもよく見られるのが、「とりあえず、カジュアル面談という形でざっくばらんにお話聞いてみませんか?」という誘い文句を起点にしているからと考えます。なお、こうした誘い方自体が悪いと申し上げたい訳では全くありません。

ただしこのような打診をきっかけにカジュアル面談に臨んでいただいた場合、

“先方に掲げる理念やビジョン、現在の事業や体制は概ね理解することが出来た。面白そうな話ではあるものの、一般的な説明を受けた程度に留まる感は否めず、自分の考える/求める機会にマッチしているかを判断できるまでの情報収集には至らなかった。”

といったような面談所感に至ることが少なくありません。

実際に話を聞いてみて「ちょっと合わないかな…」であれば問題ないのですが、「いやー、何かふわっとして終わっちゃったな…、もう少し***についてもっと詳しく聞いておけばよかった」となってしまうことや、「割と興味はあったけどあまり盛り上がらなかったな…」ということも珍しくなく、せっかくお互いの時間を使っているなかで勿体ない面談になってしまっているようなシーンもしばしば見られるような印象です。

一方、ここで「カジュアル面談で説明する側」の視点について言及しますと、とりあえず話を聞きに来た人に何を説明すればいいか?というのは、面談で説明する立場としては、結構難しいことをぜひご理解いただければと思います。

もちろん、テンプレート的に、会社概要やミッション・ビジョン、事業内容や社風、福利厚生を述べて終わり、みたいな流れをただ述べるのであればさほど難しくはありません。また、採用面談慣れしている方であれば、相手のご意向を上手く汲み取ったうえで効果的に進めていただくことも十分に期待できます。

ただ、相手が何を知りたいかが分からない中で、通り一遍の説明によって面談時間の大半を使ってしまうことが有意義とは限りませんし、かといって、相手が何に興味を持っているかを訊ねるにしても、相手に転職理由や志望動機のインタビューをしているように捉えられてしまうリスクがあります。

また、仮に詳細なレジュメや職務経歴書などを提出しておらず、大まかな経歴のサマリをもとにカジュアル面談を行う場合、お相手がどのような希望やキャリアプランをお考えであるかを推測・見立てることが難しいことが多く、それ故に面談をどう構成するか、事前に想定・準備がしにくいという部分もあります。

こうしたことを踏まえますと、割と手間ではあるのですが、当初述べました、

・その企業様についてどのような経緯で関心を持たれたのか
・事前にどのような情報を得ているのか
・面談前の段階で特に理解を深めたい部分、あまり理解が進んでいない部分
・現時点でのキャリアプランや転職を考えている経緯

などを予めお伝えしておくことで、先方の面談担当者様が面談の構成・展開を考えやすくなる、あるいは一定の準備を持って臨んでいただけるようになるということが期待でき、結果として有意義なインプットはもちろん、建設的なディスカッションにまで至っていただくことが期待できるようになりますので、オススメしたいところではあります。

ここまでご覧いただいた方の中には「そこまでやるのであれば、カジュアル面談ではなく普通に応募している」という方もいらっしゃるはずです。もちろん、ある程度マッチ度が高い会社様については、カジュアル面談を挟むことなくご応募いただければと存じますが、事前に細かに仮説や事情共有を行い、その内容を踏まえてカジュアル面談での情報収集を行っておくと、面接でのアウトプットの質はかなり高まるという見方もあります。

個人的には、問題解決の方法論(課題設定、優先順位付け、効果検証などの考え方)については、求人票やWebサイト、エージェントからの説明でも細かに把握できない可能性が高く、一方で即戦力性/カルチャーフィット両面において重要な要素であることから、カジュアル面談で予め把握することもオススメしています。

多少なり日程調整の工数も掛かってはしまいますが、特にご意向の高い応募先などがある際は、より効果的に面接に臨むための手段として、カジュアル面談を用いていただくこともアリなのではと思いますので、機会があればぜひお試しいただければと思います。