ミドル年代で初めてクライアントワークへ転職する方に押さえてほしい評価傾向
DX全盛の昨今、引き続き、コンサルティングファームやシステムインテグレータといった企業では積極的な採用が進んでいますが、今回はその中でも以前にはあまり見られなかった「30後半~40代で初めてクライアントワーク(支援会社)に転職するケース」について言及したいと思います。
以前はコンサル・SIいずれにおいても、35歳くらいまで採用上限…というケースがほとんどでしたが、ここ最近では、経験豊富な30後半から40半ばの事業会社出身者を採用したいといった求人オーダーや、実際の入社・活躍事例も見られるようになってきた印象です。
個人的な印象としましては、若手中堅の人材確保に苦労する採用企業が「採用ターゲットの拡張」として、年齢を引き上げるという事情もありつつ、それよりも、システム刷新や業務改革、組織変革などのプロジェクトの難易度が高まっているなかで、複雑なステークホルダーへの対応力が求められるようになっている中で、事業会社出身の経験豊富な方への期待が高まっているところが大きいのではと考えています。
実際、大手事業会社で実績を積まれたミドル層の方々で、経験を生かして同業もしくは親和性のある企業に転職する機会は限られることから、こうした選択肢の広がりは喜ばしいことではあります。
ただし、事業会社→支援会社への転職は、知識や経験を発揮できる余地が十分にありつつも、「今までと異なるスキル」を発揮することが求められる部分も少なくなく、結果として、上手く活躍できない・・・というケースも見られることから注意が必要です。
こうした中、大手事業会社で実績を積まれた30後半から40半ばミドル層の方々が実際の面接で評価されている、あるいは入社後の活躍事例の際に挙げられている「特徴」があるのではと感じています。
それは、当たり前と思われがちなのですが、「人間性」です。面接や入社後のレビューにおける表現は、「誠実さ」「柔軟性」「変化への前向きさ」など様々なのですが、共通するのは、“クライアントおよび自社のチームから信頼される人間性”“である、というイメージです。
もちろん、クライアントワークに合わないと評価された、やってみたら合わなかった、という方々の人間性に懸念がある、ということを申し上げたい訳ではありません。そもそも、1時間程度の面接数回や数か月の実務印象で、人となりを理解することは簡単でないと思います。
しかしここで言及したいのは、経験豊富なビジネスパーソンの方々の多くが、コンサルタントなどの支援側に転職する際の付加価値を「ご自身の専門性(業務/業界知識)」「組織マネジメント経験」と捉えていることが多いものの、実際はその手前で、いかにチームの一員としてパフォーマンスに貢献できるか、そしてクライアントから信頼される誠実さをお持ちであるか?という部分は、思った以上に注意深く見られているということをご理解いただきたい、という点です。
クライアントワークはしばしば「個人の専門性で勝負するキャリア」という解釈をされることが多く、それは間違いではないのですが、あくまでも現場はチーム戦です。また、どれだけ業界経験豊富でも、それをそのまま提供する場面はあまり見られず、クライアントの緻密な分析や論点整理、的確なプレゼンテーションなどとセットで提供されますが、事業会社出身の方は、転職当初、「支援側の作法・テクニック」に慣れるまでに一定期間を要することが多いようです。
そのため、ミドル年代で支援会社に転職する方は、参画したチームの一人として、自身の専門知識を周りにないバリューとして活かせる一方、その他の部分ではチームの面々からのアシストを受ける立場となります。経験豊富な方の場合、年下の同様に教えを請うことに抵抗感を感じられることもあるかもしれません。
上記は決して「謙虚になるべき」と申し上げたいのではありません。あくまでもチームの一員であることに徹するための立ち回りが必要であり、そうした姿勢を持って臨んでいただけるかどうか?が、支援会社での面接を通じて、注意深く見られているということを、ぜひご理解いただきたいと思います。
もちろん、上記はこれまでのキャリアで様々なバックグラウンド、価値観の方々と仕事をしてきた中で培われた対話や信頼関係構築、ホスピタリティを発揮することができる機会がある、という解釈もできます。キャリアの棚卸しの際は、ぜひ、ご自身の専門性や実績と同じく、言語化を図っていただくことをオススメいたします。