コンサル出身の方に面接で気を付けていただきたい対話の進め方について

コンサル出身の方に面接で気を付けていただきたい対話の進め方について

坂本拓生
2021 / 8 / 27

私が担当しているIT・通信・インターネットサービス領域では、引き続き、事業企画・事業戦略や新規事業開発、データ利活用推進、外部との事業提携・オープンイノベーションといった分野の求人が活発になっており、コンサルタント経験者を求めるものも多数見られています。
またコンサルタントの次のキャリアとして事業会社側へのキャリアを希望する方も増えております。

そうしたなかで、簡単ですがコンサルタント出身者の方における面接上の注意点について述べてみたいと思います。

まず、前提として、事業会社におけるコンサルタント出身者様に期待する主な部分は、「再現性のある高度な問題解決スキル」です。

業界の慣習やこれまでの歴史・経緯に捉われることなく、クリティカルに問題を提起し、経営層や関係者と合意形成を図った後、その解決策の企画・実行推進までリードいただく過程において、それまでコンサルタントとして培ってきた情報収集・分析や課題の整理・絞り込み、ドキュメント・プレゼン、発想力、プロジェクト管理などを発揮いただきたいというイメージとなります。

ただし注意いただきたいのは、それらのスキルが評価されたとしても、質疑応答や志望動機の話題を通じて感じられる「ビジネス面のマインドセットの部分」次第で、大きく印象や評価を損ねてしまうリスクがある、という点です。

その一つが「事業戦略やポジショニングへの過度なこだわり」です。

面接の中で、事業戦略や事業課題を理解しようとする姿勢は大事ですが、それが理論上や、あるべき論に振り切ってしまうと「机上の議論が好きな人」と誤解され、相手の心象を損ねてしまうリスクがあります。

例えば、応募先の会社様に対し、競合とのポジショニングや差別化の明確さ・細かさにこだわり続けてしまうことで、事業展開や方向性の分析は鋭いが、理論の構築が主になっており実行に関心がない、という印象を面接時にもたれてしまうケースがあります。

候補者様にそのような意図が無くても、このあたりの印象が伝わってしまうことで、「評価分析には強いが、少し批評家的要素がある、そして、経営層や関係者と合意して進めるまでに困難を抱えてしまいそう」イメージに繋がってしまうこともあるので注意が必要です。

また事業や経営のあるべき論のように聞こえてしまうと、金融機関のアナリストのように映ってしまうリスクもあるので注意が必要です。特に、自身が多少なりその業界のプロジェクトに携わっており、一定の知見があるがゆえにそれを披露しようとして裏目に出てしまうことはあります。

アナリスト気質が強く印象として残ってしまうと事業会社には合わないと判断されてしまう側面もありますが、コンサルタントもクライアントを動かす上で試行錯誤していることは間違いありません。
コンサルタントの方が事業会社で通用しない、評価されないということでは決してありませんが、
伝わり方・見え方によって損をしてしまうリスクがあることは考慮いただいた方が無難ではあります。

事業会社で「企画をする」のではなく、事業会社の一員として結果を出す、というスタンスが面接で相手に伝わることは非常に大事なので、スタンスが正しく伝わっているかは、是非チェックしてみてください。