コンサルタントから事業会社への転職の注意点について

コンサルタントから事業会社への転職の注意点について

斉藤由梨
2021 / 11 / 02

弊社では現在コンサルタントの方が、ネクストキャリアとして事業会社を志望されるケースのご支援をしております。事業会社を志望される理由はさまざまですが、大きくは下記に分類されることが多いです。

①ワークライフバランスを整えたい

コンサルタントのハードな就業環境から、もう少し落ち着いて働きたいというご希望はかなり多いです。コンサルタント職もこのご時世柄、以前ほどのハードワークにならない場合も増えてきました。とはいえ、クライアントワークであり、クライアント要望やアウトプットの期限によりどうしてもコントロールできないこともあり、自身でもう少しコントロールできる就業環境を求めるケースです。

②決定・判断の権限を持ちたい

コンサルタントはどうしても第三者としての支援になりますので、実際の判断・決定は支援をしているクライアント側に委ねられることになります。自身がどれだけクライアントに最善策を提案したとしても、最終的にはクライアントが決めることになり、そうした決定・判断の権限を持って実行に関わっていきたいというケースです。
一方で、決定・判断には責任も伴いますのでそうした緊張感も併せて受け入れる必要があります。

③ビジネス・経営の主体でありたい

これは②と重複する部分もありますが、コンサルタントはビジネスの運営主体ではなく、支援側になりますので、どうしても関わり方が一部になってしまうことが多いです。ビジネスや経営に一定期間や一部ではなく関わりたいというのがこのケースです。

実際に転職を成功される方の実例としては、①のワークライフバランスの改善がメインの理由でありつつも、②や③の事業会社の立場で仕事をする意義は一定お持ちの方が多い印象を持っています。
これは、面接時に必ず、「なぜコンサルタントから事業会社に転身したいのか」という質問がありますので、明確な動機がある方が面接での評価が良いという背景があります。

実際にコンサルタントから事業会社への転職を検討される際にネックになる1番のポイントは『年収』です。コンサルティング会社の年収レンジは事業会社と比べると高いケースが多く、事業会社に転職する場合、年収ダウンを覚悟する必要があります。(ただし、誰しもがすべての事業会社においてダウンではなく、現職のタイトルや個別の事業会社の年収レンジによってダウンしないケースも中にはあります。)
実際、総合的に年収ダウンを許容することが難しい方は、事業会社への転職を断念されるケースもあります。事業会社での想定年収と、コンサルタントの現年収とのギャップを把握されたい場合は、個別に異なりますのでご相談ください。

また、②③の事業会社での権限や主体を求める動機についても、メリット・デメリットを把握された方が良いと考えております。
事業会社に転身すれば必ず得られるのではなく、役職や立場によって望めないケースもあります。コンサルティングファームと比較すると事業会社の中にはキャリアアップのスピードが遅い企業もあり、権限や決定権を持った役職に就くにはある程度の年齢や社歴が伴わないと難しいこともあります。決定・判断権は上司にあり、その補佐やその指示の下で業務に携わる場合、想像していたような自由度を持って行えるわけではないというケースも頭に入れておく必要があります。また、事業会社内で分業をしているケースも多くあり、全体や一連に携わるのではなく、ビジネスの一部に関わる形となることもあります。

一方で、上記のデメリットを置いても、自分の会社やプロダクトという感覚を強く持ち、自身が会社やビジネスを育てたというやりがいや経験は何ものにも変え難いメリットです。是非、メリットとデメリットも踏まえてご検討ください。