「貴方が選択するキャリアはコンサルティングファーム?それとも監査法人?」

「貴方が選択するキャリアはコンサルティングファーム?それとも監査法人?」

武藤卓麻
2017 / 8 / 31

コンサルティングファームや監査法人にご在籍の方々、または志望される方々とお話させて頂く機会も多いのですが、個人的にしっかり理解しておきたい「コンサルティングファームと監査法人の違い」に関して、今回はフォーカスしたいと思います。
※ここで言う監査法人に関しては、「アドバイザリー業務」という観点から記述させて頂きます。

まずは業務の違いです。

【監査法人】
「取締役会」や「内部監査部」に対して、組織運営におけるマネジメントやコントロール機能を強化する為の「評価・アドバイス」を行う。

【コンサルティングファーム】
「執行役」や「業務遂行部門(営業部、経営企画部、情報システム部、経理部 等)」に対して、組織運営における業務を推進するための仕組みの「提案・導入」を行う。

監査法人のアドバイザリー部門はコンサルティングファームの業務内容と重複する部分もあり、実際に、監査法人のアドバイザリー部門とコンサルティングファームは求められる経験・スキルに共通する部分が多く、監査法人のアドバイザリー部門のプロジェクトの中には、グループのコンサルティングファームと協業して行うプロジェクトもあります。

一般的に、監査法人とコンサルティングファームでは、守りのコンサルティング(監査法人)、攻めのコンサルティング(コンサルティングファーム)と表現されます。

監査法人の場合、クライアントへのアプローチの多くが「リスクベース」となります。

また、監査法人には中立的な立場が求められているため、監査先のクライアントに対しては、並行して企業経営・意思決定に係わるようなコンサルティング業務が行なえない決まりとなっています。(公認会計士法第24条)監査法人と聞くと、会計監査をイメージしますが、ITリスク監査、金融機関やグローバル企業(グローバルロールアウト)に対するアドバイザリーなど、会計以外の領域へ多角化しています。

これは、Fintech、AIをはじめとした革新的なサービス・仕組みの台頭やセキュリティ対策の促進、グローバル化に拍車がかけられている事などが要因だと思われます。

そのため、会計士以外の方々でも監査法人へのキャリアを期待でき、コンサルティングファームやSIer、金融機関といった業界からのご転職も可能です。

監査法人の場合、「評価」という立ち位置にありますので、コンサルティングファームより担当業務や専門領域が明確化されており、専門性を身につけていくことが必要となります。

例えば、「ITリスク」分野の専門家として、あらゆる業界のクライアントへアドバイスをし、比較的短いスパンで多様なクライントとのプロジェクトがあります。

監査法人はスペシャリストが集まる専門家集団です。

総じて、
■「長期間/1クライアント」ではなく、多種多様なクライアントへの経験がしたい
■より自身の専門性と市場価値を高めていきたい
■中立的な立場(第三者的立ち位置)で「ベスト」なアドバイスをしたい
(ソリューションや枠組みに固められた提案ではない)
■ワークライフバランスにも目を向けたい(期末は比較的忙しい)

などのご志向を持った方であれば、監査法人のアドバイザリー部門もキャリアの選択肢としてご検討されてみてはいかがでしょうか。

会計士でなくともチャレンジできる環境だからこそ、コンサルティングファーム、事業会社とは違った「評価側」のキャリアも選択肢の一つとして、ご検討頂けると宜しいかと思います。