リモート入社を踏まえた転職活動で気を付けていただきたいこと

リモート入社を踏まえた転職活動で気を付けていただきたいこと

伊藤直也
2021 / 07 / 07

最初の緊急事態宣言以降、各社様における色々な準備・工夫の成果もあり、多くの方々がリモート完結での選考を経て、転職直後からリモート勤務となるケースも珍しくなくなってまいりました。

そのため、直近で転職のご相談に至られる方のなかには、「転職してから一度もオフィスに行ったことがない」という方も見られるようになっており、この1年ほどでの変化を強く実感しています。

そこで今回は、リモート選考→リモート入社をされた方々とお話させていただいたなかで、現在よく話題に挙がる「入社後の情報収集の難しさ」について述べてみたいと思います。

コロナ禍の影響もあり、リモート中心の「新しい働き方」を希望し、実際にそれを叶えることができるケースもだいぶ増えている印象ですが、マネジメントクラスの転職では、入社後の状況把握について、リモート環境ゆえの難しさを感じておられるケースが見られています。

当然ながら、多くの方が入社前に際し、ご自身の役割や責任範囲、予算、成果指標などは把握されています。ここでいう「状況把握」とは、ご自身が関わるステークホルダーの関係や、会社の施策やオペレーション、システムなどにまつわる意思決定の過程などの理解を指しています。

物理で距離が近い場合、同僚間のコミュニケーションの様子を伺いながら、所属先のなかで誰がどのように影響力を持っている、キーマンの役割を果たしている、といった部分を理解することや、様々な物事にまつわる経緯や過程を周囲から教わる中で信頼関係を築いていくことが比較的容易と申せるかと思います。

一方で入社直後からリモート勤務となった場合は、組織の力学やコミュニケーションの流れ、自社の仕組みにまつわる経緯などを把握するまでに多少の手間や時間を掛ける必要があると感じる方が少なくありません。

そして、その結果、ご自身のミッション遂行のための情報収集からアクションに移行するまでに、予想以上に時間が掛かってしまう、情報の把握が十分でない中で、焦って行動してしまったことが裏目に出る…というケースも稀に見られています。

ただし上記はリモートメイン=コミュニケーション不足に陥りがち→結果が出しにくい、ということを申し上げたい訳では全くありません。新しい環境への適応力はスキルの一つであると思いますので、個人差があることを鑑みても、一概に転職直後からリモートだから、十分に情報の把握が出来ない、という結論は乱暴です。

ただ、まだまだリモートワークについては、慣れている方が転職者および受け入れ企業側に多く無い状況と申せますので、「情報収集に一定の時間が掛かること(その先の実務への影響含む)」は、転職に際して考慮いただくことをオススメしています。

といっても、そこまで特別なことをやるべき、ということではなく、

・選考の過程で、自身の所属部署だけでなく関係部署の方々とも積極的に接点を持ち、なるべく多角的に把握しておく

・マネジメントとして、あるいは変革系など課題解決型のミッションで入社する場合は状況把握→アクション→成果までの時間軸・期限を転職先となるべく具体的に設定し、合意を図る

・入社後の立ち上がり方や目標設定を定めて、オンボーディングの内容や進め方を受け入れ先に相談する

といったようなことを着実にやっておくというイメージとなります。

なお、人によっては、ドキュメント文化が根付いており、ルールや意思決定の過程、議事録などのドキュメントが整っている/揃っている、ということを強く希望される方などもおられます。

確かにこうした仕組みが整っていることは、安心に至れる材料の一つなのですが、実際の転職活動でそれが満たされているかどうかを把握することが簡単ではありません。ドキュメントの有無をお尋ねすることは可能ですが、網羅度合いおよびその中身までをつぶさに把握することは入社前の時点では難しい可能性もあります。

先に挙げたような内容はベーシックではありますが、丁寧かつ着実に行っておくことだけでも相応の効果は得られるかと思います。

求人企業様側のオンボーディングも都度改善、追加が進んでいる為、こうしたことにももちろん期待いただきたいのですが、リモート転職については、ぜひご自身のオンボーディングに主体的に関わっていただくことをぜひ念頭に置いていただけると幸いです。