30代以降でも「未経験転職」できる人の共通点

30代以降でも「未経験転職」できる人の共通点

上野佳人
2023/05/25

一般的に、30代以降の方が未経験職種に転職するのは大変難しいと言われています。

その理由については、過去のブログ記事をご覧いただければと思いますが、それでも「未経験職種にチャレンジしたい」という方は割と多くいらっしゃる印象です。

もちろん可能性はゼロではなく、高いハードルを乗り越えて「30代以降の未経験転職」を実現されている方もいます。そこで今回は、「30代以降でも未経験転職できる人はどういう考え方・進め方をしているか」にフォーカスをあててみようと思います。

①希望する職種についてしっかり調べている

例えばこんな方がいました。長年SEとしてキャリアを築いてきたその方は、転職でデータサイエンティストを目指したいと考えていらっしゃいました。理由を尋ねると「これからはデータドリブン経営の時代なので」と、その職種の社会的ニーズの高まりをキャッチされてのことでした。また、データ基盤に携わっていたエンジニアの方が「データを扱っていた経験を活かせる」と考えてデータアナリストに興味を持たれた例もありました。

確かに、社会の需要からキャリアを展開させるという考え自体はアリですし、"近そう”な職種へのキャリアチェンジは成功イメージが湧きやすいかもしれません。

しかし、「ではデータサイエンティスト/データアナリストに必要なスキルは何か?」と考えてみると、少なくともPythonやSQLは必須なのに対し、ご本人はこれまでまったく触れてきていなかったり、「データを扱う」以外の具体的な業務内容はよく分かっていなかったりという状態。

第二新卒ならチャンスがあるかもしれませんが、即戦力を期待するミドル層の中途採用においては、「入社してから身に付ける」スタンスでは内定を獲得するのは難しいでしょう。

逆に、その職種にはどんなスキルが求められるか、どんな経験なら応用できるかといった、その職種への理解をしっかり深めている方は、「今の自分に足りないもの」が分かるので無謀な転職活動で疲弊することなく、「実現可能なキャリアチェンジ」に絞った転職活動ができるので、結果、成功しやすいのだと思います。

当たり前のことかもしれませんが、その職種についてちゃんと調べる! これが未経験転職成功への第一歩なのです。

②自分のスキル(できること・できないこと)を理解している

先程、「今の自分に足りないものが分かる」ことが重要と言いましたが、そのためにはご自身のキャリアの棚卸しをすることも欠かせません。「キャリアの棚卸し」とは、これまでの経験や、その経験の中でどんなスキルを身に付けてきたか、それは強みと言えるレベルなのかを洗い出すこと。転職活動の基本ではありますが、社会人経験が長い30代、40代の方ほど「思い出せない……」「時間が掛かる……」と蔑ろにしてしまいがちです。

・どのような経験を積んできたか
・経験の中でどのようなスキルを身に着けてきたか
・自分の強みは何なのか

最低限整理しておきたいこの3つの内容は、言い換えると「あなたのできること」です。これに、①で調べた「その職種で求められるスキル」を照らし合わせてみると、「あなたのできないこと」が分かります。

同職種、同業界への転職なら、「できること」が分かっていればできますが、異職種への転職には「できないこと」をきちんと把握できているかが重要なのではないかと個人的には考えます。

なぜなら、今はその職種への転職は無理かもしれないが、足りないスキルを埋めるためのアクションを取ることで、将来的に未経験転職を実現できるかもしれないからです。例えば、現職でそれらの経験を積める部署に異動希望を出したり、仕事をしながらプライベートの時間で勉強をしたり、足りない経験を積むための"ワンクッション転職”という選択肢もあります。

①と②はどちらが先でも良いでしょう。しかし、「どちらもやる」必要があるということはご理解いただけたのではないでしょうか。

③応募すべき求人をちゃんと見つけられている

当然のことながら、未経験転職を成功させるには、採用される求人に応募することが必要です。しかし、これが一番難しい。その理由は2つあります。

1つ目は、転職サイトに載っている求人は、応募数を集めるために広めの応募条件にしているから。つまり、緩めの条件になっているので応募はできるものの、選考が進んでいくと自分よりスキルのあるライバルに負けてしまって内定に至らない可能性が高いということなのです。これを一般の転職者が見抜くことはできないため、応募しても内定が出にくい求人に応募してしまうのです。

2つ目の理由は、「見えない採用条件」があるということです。ずばり「年齢」です。求人票に年齢制限を設けることは法律で禁止されています。しかし、実際には企業側にもさまざまな事情がありますから「このくらいの年代の方に来てほしい」という目安はあります。そうした求人にはいくら応募しても、選考段階でよほどの大逆転がない限りは採用には至らないのです。

これらの問題を解決するための一つの手段が、転職エージェントを利用することです。転職サイトに出ている情報だけではこの2つを見抜くことはできませんが、転職エージェントはそうした背景まで含めて企業から求人を預かっているため「応募できる求人」だけを提示することができます。

また、②で説明した「足りないスキル・経験を埋めるための転職」という観点でも、「それができるのはこんな企業ですよ」と、幅広い選択肢を提示することができるでしょう。

宣伝のようになってしまいましたが、30代以降の未経験転職は「応募できる求人」を見つけるのが一番難しいのは事実。なので、ぜひプロに頼っていただきたいなと思います。

未経験転職の先には「盲点」もある

ここまで、未経験転職に成功する人はどんなことをしているかお話してきました。最後に「その先」についても少し触れたいと思います。

30代40代は扶養するご家族がいる場合も多く、「未経験の職種にチャレンジしたいが年収は維持したい」と希望される方は多いです。しかし、これはほぼ無理と言っても過言ではないでしょう。「キャリアチェンジは成功したけど生活が成り立たない!」なんてことにならないよう、どの程度の年収ダウンなら生活を維持できるのか、きちんと検討してから転職活動を進めることを強くおすすめします。

また、見落としがちなのが「勉強量」です。未経験から始めるのですから、入社後に学ばなければいけないことはたくさんあるはず。しかし、そのイメージを持たずに転職してしまい、業務と業務のための勉強に忙殺されてしまう方もいらっしゃいます。入社後どんな生活になるのか、イメージしてから転職を決めた方がよいでしょう。

これらの盲点を見落とさずに納得して転職ができるよう、私たち『type転職エージェント ハイクラス』のコンサルタントが、情報提供やご志向の整理などサポートします。30代以降で未経験職種への転職を悩まれている方は、諦める前にまずご相談いただければと思います。