近年広がりを見せている『ABM』について
近頃、SaaS系企業様のテレビCMをお見かけすることが増えた気がします。
スマートキャンプ様のレポートでは、日本のSaaS市場は年平均成長率約12%の勢いで急成長しており、2023年には約8,200億円へ拡大する見込みとのことです。
私は主WEB系企業様の採用支援を主に担当させていただいておりましたが、多種多様なSaaS系企業様が誕生・相互連携を進められております。
今回はその中でも営業支援ツールとして近年注目を集める『ABM』についてまとめてみました。
1.営業支援ツールについて
まず大前提として、営業支援ツールというものがなぜ生まれたのかという背景について触れます。
某オンライン会議サービスのCMでもコミカルに描かれておりましたが、従来の営業活動といえば飛び込み営業やテレアポなどで顧客を発掘する泥臭さをイメージされる方も多いと思います。
しかし近年、Web広告技術の拡大とともに、Webサイトからの集客を主体とする営業が増化しました。従来の人海戦術によるリード獲得とは違い、営業、マーケター、サポートなど各チームで貯めた「顧客情報」を共有しながら効率的にマーケティング拡大させる方向にシフトしつつあり、そのための様々なツールが生み出されました。
2.ABMについて
ABMは、Account Based Marketingの頭文字を取ったもので『市場の潜在顧客の中から、最もアプローチすべき見込み顧客を割り出す』ことができるツールを指します。
ABMの考え方としては見込客を2軸でセグメント化し、それぞれに合わせたアプローチを行っていきます。
①ポテンシャル:もっとも重要な顧客像を定義し、見込み客をランク分け
②ステータス :顧客の購買プロセスに合わせたアプローチ
⇒この2属からポテンシャルが高く、購買プロセスが受注に近い顧客を割り出していきます。
3.近年になって注目を集めた理由
ABMの概念としては以前から提唱されておりましたが、実際に取り組むとなると選別作業や、その後の1社1社に合わせた施策に工数がかかりすぎるため、うまく運用できている企業はあまりありませんでした。
しかし近年、この工数を補完するデジタルツールが普及したことで、ABMを自動化できる手段が身近になったため、ABM実現のインフラが整ってきたといえます。
・マーケティングオートメーション(MA)
⇒商談に至る前の「リード」をデータ化し、商談に繋げる
・SFA(Sales Force Automation…営業支援システム)
⇒契約に至る前の「商談」をデータ化し、契約に至る
・CRM(Customer Relationship Management…)
⇒顧客関係管理。継続的に顧客関係を向上させる
CRM⇒SFA⇒MAとマーケティングツールが整ったことにより、MAのさらに手前であるABMもツールとして確立できたことで、再注目されたところが大きいといえます。
4.ABMの普及が求人やキャリアにもたらす影響
セールステックの普及に伴って、ABMをはじめとした効率的な営業活動を行う企業様が増えているなかで、営業職や営業企画などの市場価値においても、「テクノロジーの活用」の影響が見られています。
既に、一部の求人では固有のツール名など挙げて、尚可となる募集要件に含めるケースも出てきているため、ABMやSFA、オンライン商談やチャットツールも含めた、「テクノロジーを効果的に使えるかどうか」という点が、営業としての評価・所感に影響するようになりつつある印象です。
まだセールステック全般が普及途上である現在は、テクノロジーを”使ったことがあるか/ないか”で違いになりますが、より普及した際には、ABMやSFAなどの思想を正しく理解し、 適切にツールを使いこなせているか?というレベルにおいて差が付くようになっていくことが予想されます。
今回は営業支援ツールからキャリアへの影響など、簡単にご説明をさせていただきましたが、新型コロナウィルスや緊急事態宣言の影響から、リモートワークが推進されている状況を考えれば、営業・マーケティングのデジタルトランスフォーメーションは、これからの重要テーマと言えるのではないでしょうか。
その意味で、セールスのDXに直結するプロダクトを扱う、あるいはセールスのDXがいち早く進んでいるSaaS業界へのキャリアにご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。