滝山様 :
私は現在2つの部署、2021年11月に新設された開発のディレクションを担当する部署と共通インフラ基盤を担当する部署のマネジメントを務めています。前者は、「ビジネスとITを繋げるGlue・触媒としてDXプロジェクトが進むべき道を照らし、持続的な成長を支える構造を作り上げる」をミッションに掲げています。グループの企業戦略を支えるシステムを構築し、ビジネスの成長や進化にコミットすることを目的としています。
以前からセブン&アイ・ホールディングスでは内製化を進めており、開発者を中心としたIT人材を積極的に採用してきましたが、マネジメントやディレクションを行うメンバーが不足しているが故にプロジェクトにおけるビジネス面での課題やプロジェクト運営に関わる課題等、あらゆる対応を開発メンバーが実施しており現場が疲弊する状態が少なからず発生していました。これらの状況を打破すべく、プロジェクトを通じて「グループ全体や各事業会社の業務をどのように成長させたいのか」を自ら考え、リーダーシップを発揮してプロジェクトが目指す方向性を意思決定できる人材を早急に強化すべき、という思いで新たな組織を立ち上げることになった、というのが設立の経緯です。
もう一つの共通インフラ基盤を担当する部署は、「グループのITサービスを支える横断的なITインフラ機能を品質高く提供することで、便利で快適なITサービスを豊かな生活体験としてエンドユーザーに提供する」をミッションとしています。グループ各社の共通基盤となるインフラを提供し、その先にいるエンドユーザーに届けるサービスの健全性と品質を保つことがこの組織の役割です。
ただし品質を保てていれば良いわけではなく、我々が提供する基盤を使った時に、システムや業務の価値を最大化するための基盤選定や仕組みも合わせて提供していくことが必要だと考えています。そこで共通基盤を利用する価値や各社の属性に合わせた活用とは何かを日々考え、インフラ視点からビジネス成長を支援するチームでありたいと考えています。
滝山様 :
「私たちのルールはこうです。だからルール以外のことは分かりません、これ以上の対応は一切できません」などの姿勢は極力見せないことです。例えば事業会社から共通基盤について対応が難しい内容の相談を受けた時も、「すべて実現するのは難しいが、ここまでならできます」「コスト面が厳しいなら、こんな工夫をしてみたらどうか」といった妥結に向けたコミュニケーションを心がけています。
共通基盤は共通利用しているが故に出せる価値もあるため、個別の事情や要件に合わせてカスタマイズしすぎるとグループ全体としての価値が薄れてしまう可能性があります。かといって利用者の事情を完全に無視して物事を進めれば、現場は最適な使い方ができず価値を生み出せなくなってしまう。1つのシステムに対するメリット/デメリットを考えるだけでなく、常に全体最適を考えつつ、できるだけ個別の事情にも配慮するバランス感覚が私たちには求められます。
堀様 :
私の部署はAI技術やデータ解析をメインで取り扱っています。「グループ各社のビジネスをデータという手段で進化させると同時に、最先端の革新的な技術をいち早く活用し、カスタマーに『まだ見ぬ便利で新しい体験』を提供する」をミッションとした組織です。企画を担うビジネスアナリスト、データ分析を主導するデータサイエンティスト、分析基盤を担当するITエンジニアが一体となって、プロジェクトを推進しています。
この部署での取り組みは多岐に渡ります。例えば中期経営計画で掲げている「ラストワンマイルDXプラットフォーム」における「AI配送コントロール」はその一つです。AIを活用し、車両・ドライバーの差配や配送ルートの最適化等を実現するコアテクノロジーを開発しています。またPOSデータを含む売上データや人流データを分析し、集客を最大化する施策を事業会社と共に推進したり、業務効率化に向けたツールの開発等にも携わっています。このような経営課題や事業課題に対応した取り組みのみならず、シーズから新たな価値を生み出すR&Dのような開発も行なっています。
堀様 :
以前からもグループ各社ではAI活用に取り組んでいましたが、ノウハウや事例をグループ会社間で活用しづらい状況でした。それが現在では、DX両本部がグループ内のノウハウを集約することを進めており、スピード感を持って課題解決に取り組むことが可能となりました。専門家集団としてグループとしての強みを生かして、事業会社とともに推進していくことを期待されていると感じています。
堀様 :
顧客接点とデータ量の多さが、他業種にはない魅力です。もちろんきれいなデータばかりではなく、一部の情報しかないデータもありますが、それでもセブン-イレブンやイトーヨーカドーを始め、グループ各社の全国各地に広がる店舗網から得られる膨大な顧客データがあれば、様々な形でビジネスに活かせます。また顧客接点が多いということは、データ分析の結果をフィードバックできる場所が多いということでもあります。AIやデータの力を実際に活かせる現場がこれほど多いのは、小売・流通業ならではだと思います。
津留崎様 :
私の部署は、イトーヨーカドーやヨーク、ヨークベニマルなど、総合小売業(GMS)を手がけるグループ17社の現場を支える基幹システムや通販システムを構築・運営しています。各事業会社の5年後、10年後を見据えた提案を行い、世の中の変化に柔軟かつスピーディーに対応することが部署としてのビジョンです。
私自身はイトーヨーカドーを担当していて、現在は通販サイトに携わっています。前職では金融系のシステム開発や営業に従事していたので、小売・流通系のECサイトに関わるのは初めてですが、業務についてイトーヨーカドーの方たち、あるいは部署内の様々な方に教わりながら、プロジェクトを推進しています。
津留崎様 :
ステークホルダーが多いのは、小売・流通業の特徴だと思います。特にECサイトは、商品の仕入れから配送まで様々な部門とつながっていますし、承認を取る際も何段階もの手続きを経る必要があります。私が日々の仕事で相対するのは主にイトーヨーカドーのネット通販関連の方々ですが、その他にも多数の関係者が存在するので、「いつ、誰に、どのようなコミュニケーションをとるか」が重要な仕事だと感じています。だからこそ調整力が鍛えられますし、前職とはまた違った成長を実感しています。
滝山様 :まず前提として私たちの立ち位置をご説明します。弊社の組織概念図は、上から順に「①お客さま」「②取引先、株主、地域社会」「③セブン&アイグループ各社」「④セブン&アイ・ホールディングス」となっています。セブン&アイグループでは、ホールディングスは事業会社を下から支える存在と位置付けられています。フロントに立ってビジネスを動かしているのはあくまで事業会社であり、それを我々がバックアップするという関係性です。
ですからDXにおいても、私たちはグループ各社が目指す方向性や実現したいことに寄り添って進めていくのが基本となります。ただし先ほど話したように、ホールディングスは全体最適を考えなければいけない立場でもあります。ある事業会社にとっては良い施策でも、グループ全体の方向性から外れていることもあれば、他の事業会社に良くない影響を及ぼすこともある。そのバランスをいかにとるかが難しい点です。
堀様 :
一方で、事業会社ごとにやりたいことが違うからこそ、多様で幅広い施策に関与できるのがホールディングスの面白さでもあります。セブン&アイグループでは、セブン-イレブンやイトーヨーカドー、ヨークベニマル、アカチャンホンポ、ロフト、デニーズなど、多岐に渡る業態を展開しているので、DXを推進する上でやるべきこともそれぞれ異なります。
時にはある事業会社で必要ないと判断された施策が、別の事業会社に相談したところ必要になったりする。そして実際にやってみて成果が出れば、さらに他の会社へ横展開できることもある。このように一つの施策に広がりが生まれ、グループで横串を通したDXを展開できるのが、ホールディングスの立場で関わるメリットです。
津留崎様 :
私の場合はイトーヨーカドーの仕事をしていますが、ホールディングスに所属していることで他グループ会社の事例や進捗をいち早くキャッチできるので、有効な施策があればイトーヨーカドーのシステムに迅速に反映できます。事業会社のDXを進める上で重要なのは、コスト負担をできるだけ抑えつつ、いかに売上や利益を最大化するかです。コストパフォーマンスの良い施策を選択し、最短最速で物事を動かしていくためにも、グループ内の成功事例を横展開できる立場にいるメリットは大きいと感じます。
堀様 :
小売業のグループですから、お客様主義が根付いています。一般のお客様はもちろん、コンビニエンスストア事業ではオーナー様も“お客様”になるので、加盟店に対してどのように利益を還元していくかを強く意識して仕事をしている人が多いと感じます。
津留崎様 :
業務へのこだわりが強く、小売業に誇りを持っている人が多い印象です。イトーヨーカドーの方たちと話していると、ECサイトの担当者でありながら、物流倉庫の業務を詳細に把握していることに驚かされます。現場を大事に考え、ものを売ることに誇りを持っている人が多いからこそ、DXやITを担当する我々も業務について学び、理解を深める努力が必要です。
滝山様 :
私の前職はITコンサル会社ですが、当時鍛えられた課題発掘力は今も役立っています。まだどこにどのような課題があるかわからない状況を整理し、課題を洗い出して構造化し、解決策を見出していく。これはどんな仕事でも通用するスキルだと感じています。
一方で学び直しおよび意識改革が必要だと感じたのは、視座の高さ・視野の広さを持ってグループ各社とのコミュニケーションを取ったり、日々の業務を推進することです。コンサルタント時代は、特定の期間のプロジェクトに参画し、クライアントにとって最適な解は何か常に考え続けていましたが、私たちは5年後、10年後を見据えて自社の成長を考えなければいけないので、視座を高くして長いスパンで思考することが必要です。しかもセブン&アイ・ホールディングスは幅広い業態の事業会社を抱えているため、全体最適を捉えるには広い視野も必要になる。これは新たに鍛えていくべき部分だと感じています。
津留崎様 :
私はSIer出身ですが、前職で身につけたコミュニケーション力は今の仕事でも通用しています。現在は事業会社寄りの立場になりましたが、関係各所と調整が必要な点は前職と変わりません。相手がどのようなコミュニケーションを望むかを考え、「この人は設計の細かい話が好きだから、そこから話を始めよう」「この人は技術的な話が得意ではないから、概要をわかりやすくまとめて簡潔に報告しよう」といったアプローチの使い分けはSIerでも実践していましたし、現在の職場で調整を行う際も役立っています。
ただし立場が変わったことで、仕事の進め方や取り組み方を変えなければいけない部分もあります。SIer時代は、設計書の作成やプログラミングなど自分たちで手を動かす作業がメインでした。現在は私が外部のベンダーに作業を依頼する立場なので、他の人が作った設計書やプログラムをレビューし、それを社内で上層部に通したり、イトーヨーカドーに説明したりする役割です。同じプロジェクト推進でも、ベンダーと事業を推進する側ではPM・PLの役割が異なるので、その点での学び直しは必要だと感じています。
滝山様 :
自ら課題を見つけ、解決のために何をすべきか考えられる「自走力」が必要です。まだ環境が整備されていない未成熟な部分もある組織であり、また小売業のDXという観点ではいくらでも改善や改革できる業務があります。ある意味混沌とした状態・環境に不満を言うだけでは何も進まない。どんな状況下でも「今できることは何か」を前向きに考え、自分で出した解決策をやりきる力が不可欠です。
堀様 :
私の部署はビジネスに直結したソリューションを扱う組織なので、「いかにしてビジネスインパクトを出すか」という目的意識を持つことが大切です。そしてインパクトを出すには、ビジネスを理解しなければいけない。事業会社とコミュニケーションを取りながら必要な情報や知識を吸収しつつ、最適なカスタマイズやチューニングに落とし込んでいくことが求められます。
津留崎様 :
私の部署の仕事はステークホルダーが多く、調整の中で妥結点を探る必要があるので、正論ばかりを言っても物事は進みません。教科書的に仕事をすればいいと考えるのではなく、関係者全員が一定程度納得できるポイントを粘り強く探っていく忍耐力とコミュニケーション力が必要です。
滝山様 :
まだ成熟していない組織だからこそ、解決すべき課題はたくさんある。新しいチャレンジがしたい人にとって、やりがいある環境が待っています。しかもこの会社には、チームの皆で一緒にチャレンジをやり遂げようとする雰囲気があります。様々な業界や企業から転職した人材が集まっていますが、「前の会社ではこんなやり方をしていた」などと自分のやり方に固執したりせず、他人を否定することもない。皆でワイワイ楽しく仕事ができる非常にフラットな組織です。「自分一人が成果を出せればいい」と考えるのではなく、「チームで何かを成し遂げたい」という志向がある人にフィットする会社だと思います。
堀様 :
セブン&アイ・ホールディングスは多様な業態を持ち、お客様との接点も多いので、DXによって社会に大きなインパクトを与えることも可能です。私たちとしても、大きなことを成し遂げたいと考える意欲ある方とぜひ一緒に働きたいです。中途採用の社員が多く、多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まるミックスカルチャーな組織なので、これから入社する人も馴染みやすいはずです。
津留崎様 :
色々な業界や職種の出身者がいるので、自分の“普通”が他の人の“普通”ではないこともよくあります。資料一つとっても、人によって色々な作り方があるし、物事の考え方に至っては無限にある。私はそれがすごく面白いと感じています。考え方の違う者同士が自由に考えや意見を言い合いながらチャレンジできる。そんな環境を楽しめる人なら、きっと活躍できると思います。